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『あの扉のむこうへ――自閉の少女と家族、成長の物語』

藤家 寛子 20050501 花風社,297p.


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■藤家 寛子 20050501 『あの扉のむこうへ――自閉の少女と家族、成長の物語』,花風社,297p. ISBN-10: 4907725647 ISBN-13: 978-4907725648 1680 [amazon][kinokuniya] ※ a07.

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内容(「BOOK」データベースより)
自閉スペクトラムの作家が、自閉の子どもの心のうちを、読みやすい物語につづりました。自閉の人々と、「一般」の人々との架け橋となる一冊。

内容(「MARC」データベースより)
「こういう風に接してもらえたらあんなに怖がらずにすんだかもしれない…」 自閉スペクトラムの作家が、自閉の子どもの心のうちを、読みやすい物語につづりました。自閉の人々と、「一般」の人々との架け橋となる一冊。

■著者紹介

藤家寛子[フジイエヒロコ]
作家・大学生。解離性障害を克服後、20代前半でアスペルガー障害と診断される。自分が自閉スペクトラムだと知ってから、幼い頃の追憶や診断後の心の動き、自分で編み出した生活上の工夫を、著書「他の誰かになりたかった多重人格から目覚めた自閉の少女の手記」にまとめた

■目次

どうしてこの本を書きたかったのか。
プロローグ
涙のわけ
迷路の入り口
出口を捜しながら
出口の先にある長い道へ
募る不安
ひとすじの希望
努力への道
ゆっくりするから見えてくるもの
クリスマスの願い事
みんな仲良くしたいのに
スマイルマークに弓矢をはなて
ひとりじゃないから
ランドセルに託す未来
みはらし小学校に向かって
エピローグ
藤家寛子エッセイ いまさらごめんね二〇〇四夏

■引用

どうしてこの本を書きたかったのか。
 「私はこの童話の主人公、ゆめ、と同じく、自閉です。/二〇〇三年の一月、発達障害の一種、アスペルガー症候群と診断を受けました。/日々の生活は、ずいぶん過ごしやすくなってきましたが、困ることもまだあります。
 自閉について知ったのは、もちろん診断を受けてからです。/生まれつきの障害なのだから、治ることはありません。/でも、「自閉」の特徴を受け入れたあと、一つの目標ができました。/どうゆう環境なら、おびえずに生活ができるのか知ってもらいたいというものです。」(藤家[2005:7])

迷路の入り口
 「テレビの人が言います。/「最近はこういうお子さんは、めずらしくありません。かなり高い確率でいると思います」/途中から観たせいもあって、こころお母さんには、意味がわかりませんでした。「発達障害は、それほど身近なものなのです」/「ハッタツショウガイ」/テレビの人は続けて訴えています。「日常の中にこそ、障害があるのです。ですから、やはりご家族が注意して、その子どもさんについて知ることが大事ですね」/司会者らしい女性が、『よくみられる特徴』と書かれたボードを出しました。<0025</チャンネルを変えようとしていたこころお母さんの手が、ピタリと止まります。/ボードが変わっていくたびに、ここのお母さんの胸は、早鐘を打つように、ドクドクと不安に震えます。/「ち…ちょっと待ってよ。そりゃあ、当てはまる部分もあるけど。ほら、部屋中駆け回ったりしないし! でも、ゆめは体に触ると強烈に嫌がるし、泣くし……。でも…でも……」/こころお母さんの頭の中では、でも、という言葉が飛び交っていました。/たまに、当てはまるところもあるのです。/認めなくても確かにあるのです。/ゴクっとつばを飲んだこころお母さんは、「当てはまるところはあるけど、そうじゃないところのかだが多いっていうのを確かめに行こう」と思いました。/まるで自分に言い聞かせるように、「行こう」と何度も繰り返しました。/ふと食卓の上を見ると、新聞がのっています。/ヤスシお父さんが、読み終わったまま、二つ折りになっています。/こころお母さんは、新聞を手に取りました。/そして、急に追いつめられた気になり、さっきの番組のゲストだった人の名前を、紙に書き写しました。」(藤家[2005:25-26])

■言及

◆立岩 真也 2008- 「身体の現代」,『みすず』2008-7(562)より連載 資料,

◆立岩 真也 20140825 『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3700+ [amazon][kinokuniya] ※


UP: 20090509 REV: 20140824
藤家 寛子  ◇自閉症  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK 
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