『戦後責任論』
高橋 哲哉 20050410 講談社,288p.
last update:20100802
■高橋 哲哉 20050410 『戦後責任論』,講談社,288p. ISBN-10:4061597043 ISBN-13:978-4061597044 \1,008 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
内容説明
甦る戦争の記憶と戦後日本の責任を問い直す戦後60年を経てもなぜ日本の戦争責任が問われるのか。台頭する新ナショナリズムを鋭く批判しかつて破壊したアジアの民衆との信頼関係を回復する戦後責任を論述
内容(「BOOK」データベースより)
中国・重慶での反日暴動、従軍慰安婦を巡る諸問題など、ある日突然、亡霊のように甦る戦争の記憶。冷戦構造が崩れて直面したアジアの戦争被害者の声に、日本はどのように応答すべきか。ユダヤ人大量虐殺を否定する歴史修正主義や、台頭する新たなナショナリズムを鋭く批判し、アジアの民衆との信頼関係回復のため戦争責任を問い続ける俊秀の力作。
■目次
学術文庫版へのまえがき
原本まえがき
T 戦後責任を問いなおす
1 「戦後責任」再考
「もはや戦後ではない」から「戦後は今ようやく始まった」へ
応答可能性としての責任
応答可能性としての戦後責任
応答責任は国境を超える
「日本人としての」戦後責任
他者との関係を作り直す
2 記憶・亡霊・アナクロニズム
戦争の記憶と「亡霊」
2つの亡霊‐『ショアー』と『ハムレット』
アナクロニズム‐忘却への反逆
記憶の継承は可能か
3 ジャッジメントの問題
アーレントと責任者処罰の問題
なぜジャッジメントが必要なのか
正義の要請
過去との和解、処罰と赦し
法、政治、倫理
報復の論理を超えて
U ネオナショナリズム批判
1 日本のネオナショナリズム1‐自由主義史観を批判する
はじめに
「自虐史観」批判の一般化
否定論としての自由主義史観
証言のポリティクス
2 日本のネオナショナリズム2‐加藤典洋氏「敗戦後論」を批判する
はじめに
戦後日本の「人格分裂」という仮説
「押しつけ憲法」という問題
天皇の戦争責任
戦死者の追悼という問題
奇妙な前提、有効性への疑問
閉じられた追悼共同体としての「日本国民」
ナショナリズムと民主主義
3 ネオナショナリズムと「慰安婦」問題
はじめに
「歴史主体論争」
「敗戦後論」と「自由主義史観」
ドイツ軍「強制買春」と日本軍「慰安婦」
断定のレトリック
「責任」のネットワークへ向けて
V 私たちと他者たち
1 汚辱の記憶をめぐって
戦後50年の〈今という時〉
「自国の死者」のみを「先に置く」ことはできない
2 哀悼をめぐる会話
先か後か、内か外か
アーレント、同胞意識、土管の中の「ぼく達」
レヴィナス、享受、他者、恥
アジア、天皇、〈天皇のために死ぬこと〉
比喩と比較‐日本、ドイツ、ユダヤ
3 日の丸・君が代から象徴天皇制へ
はじめに
まつろわぬ民への暴力
「私たち」とはだれのことか
戦争の「負債」を返す道とは
国民主権も「押しつけ」だったら
象徴天皇制という問題
新たな「皇民化」への圧力
「国民的合意」が排除するもの
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:竹川 慎吾 更新:樋口也寸志