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『日本のお金持ち研究』

橘木 俊詔・森 剛志 20050325 日本経済新聞社,227p.


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橘木 俊詔・森 剛志 20050325 『日本のお金持ち研究』,日本経済新聞社,227p. ISBN-10: 4532351359 ISBN-13: 978-4532351359 1890 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

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出版社 / 著者からの内容紹介
「金持ち父さん」とはどんな人? 医師や弁護士、企業経営者は本当に儲かる職業なの? 全国規模のアンケート調査とデータから現代日本の富裕層とは誰かを浮き彫りにし、金持ちになった背景や社会制度の実態に迫る。

■著者紹介

橘木俊詔[タチバナキトシアキ]
1943年生まれ。小樽商科大学卒業、大阪大学大学院、ジョンズ・ホプキンス大学大学院修了(Ph.D.取得)。その後、仏、米、英、独にて研究職・教育職を歴任。京都大学経済研究所教授、経済企画庁客員主任研究官、日本銀行客員研究員などを経て、京都大学大学院経済学研究科教授、日本経済学会会長(2005年度)。主著、『個人貯蓄とライフサイクル』(共著、日本経済新聞社、1994年、日経経済図書文化賞受賞)、『日本の経済格差』(岩波新書、1998年、エコノミスト賞受賞)、『家計からみる日本経済』(岩波新書、2004年、石橋湛山賞受賞)ほか

森剛志[モリタケシ]
1970年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、京都大学大学院博士課程修了(博士号取得)。帝塚山大学経済学部非常勤講師、日本学術振興会会員を経て、2005年4月より甲南大学経済学部専任講師

■目次

序章 「お金持ち」とはどんな人々か
第1章 医療の需要と供給からみた医師
第2章 弁護士という職業
第3章 経営者はお金持ちか
第4章 日本の上流階級
第5章 お金持ちの資産形成
第6章 お金持ちの日常生活
第7章 高額所得者への課税
第8章 結論

序章 「お金持ち」とはどんな人々か
知ってるようでよくわからない現代日本のお金持ち像/お金持ちの全国調査などできるのか――生活実態調査アンケートの敢行/日本のお金持ちは2つのタイプ――集計結果からみえてきたこと/企業経営者と医師が高額納税者の2大メジャー職業/お金持ちのプライベート・ライフ  他
 コラム お金持ちはどんなところに住んでいるのか

第1章 医療の需要と供給からみた医師
アメリカの先行研究/日本の資料からみた医療の需要と供給/拡大する糖尿病患者/水は高きから低きに流れる/大組織から個人へ
 コラム(1) ある眼科開業医からの手紙
 コラム(2) 子は親の思いどおりには育たない

第2章 弁護士という職業
日本の弁護士の経済状況/歌舞伎役者と裁判官と弁護士は有名になればなるほど忙しい/高額所得弁護士は4タイプ/多様な人材が集まるアメリカ法曹界
 コラム(1) 極貧の中から弁護士を志す
 コラム(2) ある弁護士からの手紙

第3章 経営者はお金持ちか
戦前の経営者群像/戦後の経営者群像/日本は「学歴主義」社会か/経営者層と学歴との関係/誰が経営者になるのか  他
 コラム 一流の経営者の語る人生観と世襲

第4章 日本の上流階級
階級とは何か/階級を歴史でみるとどうか/戦前の高額所得者の姿/高額所得者から高額納税者へ――戦後の実相/パワーエリート  他

第5章 お金持ちの資産形成
お金持ちの貯蓄率は高い/従来の仮説でお金持ちの貯蓄行動を説明できるか/遺産を考慮したモデルでは説明できるか/資本家精神モデル
 コラム(1) 年齢と資産との関係
 コラム(2) 年齢・学歴
 コラム(3) 親と子の結びつき

第6章 お金持ちの日常生活
平均的日本人の余暇の過ごし方/お金持ちの余暇の過ごし方/年齢が高くなるにつれて、より仕事に精を出す人が増える不思議/お金持ちが望む将来の活動/どんな価値観が大事なのか
 コラム 高額納税者の自家用車

第7章 高額所得者への課税
高額所得者への課税の現状/なぜ累進度を弱めるのか/所得税の累進度をめぐる議論(1)――容認論/所得税の累進度をめぐる議論(2)――否定論/経済学からみた累進所得税制  他

第8章 結論

参考文献

■引用

第7章 高額所得者への課税
 高額所得者への課税の現状
 なぜ累進度を弱めるのか
 所得税の累進度をめぐる議論@――容認論
  (1) 所得分配の不平等否定
  (2) 支払い能力説
  (3) 税収確保説
 所得税の累進度をめぐる議論A――否定論
  (1) 労働意欲と貯蓄意欲にマイナス
  (2) 自由束縛説
  (3) 有能で生産性の高い人は社会の宝物
 経済学からみた累進所得税制
 「以上のような経済学による最適所得税制に関する分析をまとめると、次の三つが重要な要因である。(1)どのような社会的厚生関数を想定するか、(2)所得税が労働供給に与える効果、(3)人の能力分布の形状、である。
 この三つの要因を考慮した上で、日本経済における最適所得税制を求めたものとして、アトダ=タチバナキ(二〇〇一)がある。この研究の結論は、一九七〇〜八〇年代の所得税の累進度は、ほぼ最適に近いものであったとするものである。すなわち、効率性と公平性の兼ね合いを考慮した上で、日本の所得税制はほぼ理想に近かったのである。
 当時の最高税率は七〇%、最低税率は一〇%であり、しかも一五段階の税率が定められていたことはすでに述べた。すなわち、所得税制の累進度は相当強かったのであるが、経済学の計算上からは望ましい税制だったのである。現在は図7−1でみたようにその累進度が相当弱められて<0188<いるが、これは最適な税制から離脱したものである、その解釈が可能である。言い換えれば、日本の最適所得税制を求めるのであれば所得税の累進度を強めることが要請されているのである。」(橘木・森[2005:188-189])
 日本の所得税制の実態:外国との比較を含めて


UP:20081217 REV:
橘木 俊詔  ◇  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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