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『ダーウィン的方法――運動からアフォーダンスへ』

佐々木 正人 20050323 岩波書店,313p.


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佐々木 正人  20050323 『ダーウィン的方法――運動からアフォーダンスへ』,岩波書店,313p. ISBN-10:4000056484 \3360 [amazon][kinokuniya] r02


■目次

運動と環境へのプロローグ
1運動を環境に解体する
 1ダーウィン的方法
2運動に何を見るか
 2エドワード.S.リードの仕事
 3行為にとって「誤り」とは何か
 4ソウルの心理学
3一回の柔軟な創造
 5発達すること
 6運動研究1990年代
4運動はどのように環境に出会うのか
 7ナヴィゲーションと遮蔽
 8ベルシュタインの3つの発見
 9物で行為を描く試み
エピローグ 「ダーゥイン的方法が始まる」
あとがき

■引用

「光の感覚のない視覚障害者が歩行を習得する課程を始めて観察したのは1991年の夏だった。場所は所沢の国立身体障害者リハビリセンター。対象者は1968年生れの男性M氏である。」「ナヴィゲーションと遮蔽」p197

「壁が切れていることを発見してMが立ち止まると、訓練士は、いまなぜとまれたのかと毎回聞いた。そのつどMはたとえば以下のように答えた。「一瞬こっちに(横の通路を指す)空気が流れた」、「(横の通路の)向こうの方で音がした」「(あちらから)空気がある。」「何かやっぱり音が、開いている感じとか」
ある回でMは切れ目でまずとまり、それから杖で床を何度か叩いた。今なぜとまれたのかと質問されて、Mは「(杖で床を)叩いた時に(横の通路の)向こうまで(音が伝わった)からだ」とこたえた。訓練士は「そうじゃなくて叩く前に(開けている横の通路の方にMの身体が)向いたでしょ」と言って「どうしてわかったの」とさらに続けた。Mは「わからない空気かな」と答えた。訓練士は「今歩いているときになんだか音がしたって言ったでしょ。ほんの微細な音でも、壁から出たとき結構聞こえる。意識するかしないうちにあれっている感じで捕まえることができる。さっき右向いたときになんでかわからないって言ったじゃない。知らないうちに他の情報を使っているわけなんだ。そういうのを自分で意識しながら使ってみるとすぐにね、みつけられる可能性がある。」と述べた。訓練士は切れ目を発見する技術を支える注意の特徴についてこのように述べた。Mは「コウモリになったつもりで」と応答して、二人で笑った。 p201−202

「どこかへ行こうと思い立った移動者は、この遮蔽システムに没入していることになる。遮蔽から包囲しているところのすべてを探り、その縁のすべてを知っていると言える日は遠い。しかし、目的地を何とか見出すことくらいはできる。すべての縁を知っていると言える日までこのシステムを探る移動が繰り返される。可逆的にである。移動に限りない喜びを与えているのはそういうシステムである」p250

■言及



*作成:近藤 宏
UP:20081029
リハビリテーション  ◇身体×世界:関連書籍 2005‐  ◇BOOK
 
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