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『医療倫理学の方法――原則・手順・ナラティヴ』

宮坂 道夫 20050315 医学書院,276p.


Last update:20101104
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宮坂 道夫 20050315 『医療倫理学の方法――原則・手順・ナラティヴ』,医学書院,276p.,ISBN:4-260-33395-X ISBN-13:978-4260333955 \2940 [amazon][kinokuniya] ※
 http://www.clg.niigata-u.ac.jp/~miyasaka/hce/methodology/hce00.html

http://www.clg.niigata-u.ac.jp/~miyasaka/hce/methodology/hce00.html

■内容


出版社/著者からの内容紹介
原則論・手順論・物語論から倫理的問題を分析・検討する系統立った方法を軸に据えた,医療倫理学の入門テキスト。[総論]で医療倫理の歴史と方法論を学習し,[各論]では,死と喪失,性と生殖,個人の権利と公共の福祉,研究と先端医療のテーマに分け,ケーススタディにより倫理的問題をどのように検討すべきかを具体的に考える。

内容(「BOOK」データベースより)
原則論・手順論・物語論から、保健医療における倫理的問題を分析・検討する系統立った方法を軸に据えた、医療倫理学の入門テキスト。

内容(「MARC」データベースより)
意見は異なっても、問題を考える方法そのものは共有できる-。原則論・手順論・物語論から、保健医療における倫理的問題を分析・検討する系統立った方法を軸に据えた、医療倫理学の入門テキスト。

著者からのコメント
 「立場は異なっても、方法は共有できる」 これが本書のスタンスです。医療を学ぶ人や医療従事者のための倫理教育の教科書として使用することを想定していますが、一般の読者にも読んでいただける内容です。
 おもな特色は以下の3つです。
(1)医療倫理の歴史について解説しています。
 これまでの類書には、歴史についての詳しい記述がありませんでした。医療倫理は、歴史的事件の積み重ね(その中には患者が被害者となった悲劇的なものも多数含まれます)のうえに成り立ってきたものです。日本の医療倫理も、731部隊の人体実験やハンセン病問題などをあらためて見つめ直しながら考える視点が必要です。本書は冒頭の第1部が、まるごと歴史の記述になっています。

(2)この領域の最新の方法論を分かりやすく解説しています。
 倫理の学習では、理論的な学習と実践的な学習とがともに不可欠です。執筆にあたって、この「両輪」をいかに組み合わせ、またいかに分かりやすく解説するかに、細心の注意を払いました。第2部が本書の核心部分である方法論の解説です。これまでに提案されてきた方法論を、原則論、手順論、物語論の3つに系統立てて整理しました。  専門用語には解説を付けるなど、一人で学べるような内容構成と記述を心がけ、図版も倫理の本としてはかなり多く入れました。その一方で、これまで日本ではほとんど紹介されてこなかった「欧州型の四原則」や「物語論」など、この分野の最新の知識も盛り込んでいます。

(3)レビューとケーススタディによって、具体的な問題を解説しています。
 日本人は、現実の事例を抽象的な理論に結びつけて考えるのが不得意だと言われてきました。本書では、学習者の手がかりになるように、第3~6部の各論(死と喪失、性と生殖、患者の権利と公共の福祉、医学研究と医療資源)を、「レビュー」と「ケーススタディ」によって解説しました。
 「レビュー」では、これまでにどんな問題が生じ、どのような議論がたたかわさ~~れてきたのかを解説しています。「ケーススタディ」では、典型的な事例(いずれも、現実の事例を参照しながら作成した架空のものです)を題材に、第2部で解説した方法論を応用し、考えてゆくためのヒントを提供します。

 このように、あくまで「自分で考える」ことを手助けしながら、他の人との対話を促し、「なぜそのように考えるのかを説明できる」能力(説明能力=アカウンタビリティ)を獲得することが、本書のねらいであり、倫理教育の大きな目標だと考えています。
 本書は大学、大学院、各種学校などの講義での、数年間にわたる試行錯誤によって生まれました(学生さんたちに感謝します!)。  お陰様で、多くの学生さんや読者の皆さんからご好評をいただいています。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
宮坂 道夫
1965年、長野県松本市生まれ。新潟大学医学部保健学科助教授。早稲田大学教育学部理学科生物学専攻卒、大阪大学大学院医学研究科修士課程修了、東京大学大学院医学研究科博士課程単位取得。医学博士(1998)。専門は、医療倫理学、生命倫理学など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

抜粋
[事例]人工呼吸器の取りはずしを望む患者
 58歳の男性のALS患者Cさんは,人工呼吸器をつけて在宅療養していた。ほぼ完全な四肢麻痺だが,右手の指を動かすことが多少できるので,パソコンを使って意思表示をしている。
 呼吸器をつけて生きることには,介護をしてくれる人に大きな負担がかかる。…それでも家族はCさんに生き続けてほしいと願い,大変な介護を引き受けているのだった。
 最近,最も多くの時間介護をしている妻が体調を崩し,家族での介護がきつくなってきた。Cさんは,一人息子が大学を卒業して就職するまでは頑張って生きるつもりでいたが,その息子は数年前に無事就職し,介護も手伝ってくれていたのだが,最近,県外への転勤を持ちかけられているという。
 Cさんは,この機会に,人工呼吸器をはずして死にたいと思うようになった。これ以上妻に負担をかけ続けられないし,高齢の母親の介護負担を増やすわけにもいかない。息子が結婚するのにも,自分のような父親がいては邪魔になると思う。
…Cさんの言うように,人工呼吸器をはずす,ということを実行してよいだろうか?
(本文113ページより抜粋)

■目次

第1部 医療倫理の歴史
 [第1講] 古代から近代の医療倫理の変遷
  古代医療における医療倫理
   倫理規範と倫理綱領
   患者優位の関係
  中世から近代にかけての医療倫理の変化
   集約的医療施設の誕生
   科学としての医学の誕生
   優生学の誕生
   近代医療の導入期における日本の医療倫理
 [第2講] 現代−患者の権利の時代へ
  医療従事者が人命を奪った悲劇とその断罪
   ドイツ
   日本
   ドイツと日本の医師たちの戦時犯罪の処断
  被験者の権利から患者の権利へ
   米国から世界に波及した患者の権利
   日本での患者の権利

第2部 医療倫理学の方法
 [第3講] 基本的な概念と構造
  倫理問題を検討するためのルール
   人物と議論の評価を区別する
   根拠を明示する
   事実と評価とを区別する
   事実と評価を吟味する
  医療従事者のおかれた社会的立場
   医療従事者同士の関係―「臨床」内部の重層構造
   医療従事者と社会の関係―「臨床」外部の重層構造
  ケーススタディ
   〈事例〉救急救命士による気管挿管
   倫理問題を検討するためのルール
   医療従事者のおかれた社会的立場
 [第4講] 三つの方法論−原則・手順・ナラティヴ(1)   原則論 principle-based approach
   原則とは何か
   原則の内容
   原則の適用
  手順論 procedure-based approach
   手順とは何か
   手順の内容
   臨床倫理検討シートという汎用的な方法
   情報源について
 [第5講] 三つの方法論−原則・手順・ナラティヴ(2)
  物語論 narrative-based approach
   物語・ナラティヴとは何か
   物語・ナラティヴ(1):語り―ナラティヴ
   物語・ナラティヴ(2):意味の生成―物語
   医療倫理の方法論としての物語論
  三つの方法論の統合

第3部 死と喪失
 [第6講] 死と喪失についてのレビュー
  現代人の死生観
  絶望と希望
  死と自己決定
   日本の自殺肯定の美意識
   死を間近に見よ
   死はみずから決するものではない
  医療と死
   倫理的問題はどこにあるか
 [第7講] 告知−深刻な診断を知る,それを伝えるということ
  「悪い知らせ」とは何か
   ケーススタディ―手順論による問題点の抽出と論点整理
   〈事例〉がんの告知
   事実の把握―不明確な情報は何か
   倫理的問題はどこにあるか
  告知をめぐる倫理的問題の視点―原則論と物語論による掘り下げ
   原則論からの分析
   物語論からの分析
   新しい手順―事前指示書
 [第8講] 尊厳死−最後まで生きる,その人にかかわるということ
  尊厳死とは何か
   ケーススタディ―手順論による問題点の抽出と論点整理
   〈事例〉人工呼吸器の取りはずしを望む患者
   事実の把握―不明確な情報は何か
   把握は評価の難しい情報は何か
  尊厳死をめぐる倫理的問題の焦点―原則論と物語論による掘り下げ
   原則論からの分析
   物語論からの分析
 
第4部 性と生殖
 [第9講] 性(セクシュアリティ)について
  性についてのレビュー
   性の重層性
   セクシュアリティと倫理
   セクシュアリティと医療
  ケーススタディ
   〈事例〉性的な介助を求められた理学療法士
   手順論による分析
  倫理的問題の焦点
   原則論からの分析
   物語論からの分析
 [第10講] 生殖について
  生殖についてのレビュー
   生殖と「弱い立場の人」の権利
   生殖をめぐる倫理的問題
  ケーススタディ:生殖補助医療
   〈事例〉妹からの卵子提供による体外受精を考えている事例
   手順論による分析
  倫理的問題の焦点
   原則論からの分析
   物語論からの分析
 [第11講] 障害児の出生を「防ぐ」ということ
  ケーススタディ
   〈事例〉障害をもつ子どもの中絶を考えている事例
   手順論からの分析
  倫理的問題の焦点
   原則論からの分析
   物語論からの分析

第5部 患者の権利と公共の福祉
 [第12講] 患者と第三者の利害の対立
  感染症による他者危害
   ペストとインフルエンザ
   伝染病の大流行と社会の混乱
   ハンセン病と結核―伝染病と差別
   日本のハンセン病対策の過ち
   現在の日本の感染症対策
  精神障害による自己危害・他者危害
   精神障害のとらえ方
   中世キリスト教社会での迫害
   「科学の時代」における解放と迫害
   日本の精神障害対策
  思想信条による自己危害
   エホバの証人の輸血拒否
  倫理的問題はどこにあるか
 [第13講] 自己危害と他者危害
  ケーススタディ:感染症による他者危害の防止
   〈事例〉肺結核症患者への対応
   手順論からの分析
  倫理的問題の焦点:自己危害の防止
   原則論からの分析
   物語論からの分析

第6部 医学研究と医療資源
 [第14講] 生体と医療資源
  医学研究
   研究目的についての議論
   研究対象、研究方法についての議論―特に動物実験について
   動物の道徳的地位についての基準
  医療資源
   医療資源の種類
   医療資源の配分
 [第15講] 医療資源の配分と医療情報
  ケーススタディ:資源化の是非
   〈事例〉ES細胞を利用した歯の再生技術の開発
   手順論による分析
  倫理的問題の焦点:資源化の是非
   原則論からの分析
   物語論からの分析
  ケーススタディ:医療資源の配分
   〈事例〉家族介護の限界と介護支援の拡充
   手順論からの分析
   原則論からの分析
   物語論からの分析

あとがき

[事例]
救急救命士による気管挿管
がんの告知
人工呼吸器の取りはずしを望む患者
性的な介助を求められた理学療法士
妹からの卵子提供による体外受精を考えている事例
障害をもつ子どもの中絶を考えている事例
肺結核症患者への対応
痴呆症状のある老人の身体拘束
ES細胞を利用した歯の再生技術の開発
家族介護の限界と介護支援の拡充

[資料〕 WMAヘルシンキ宣言 ヒトを対象とする医学研究の倫理的原則
患者の権利に関するWMAリスボン宣言
日本医師会 医の倫理綱領
日本薬剤師会 薬剤師倫理規定
日本看護協会 看護者の倫理綱領
日本理学療法士協会 倫理規程
日本作業療法士協会 倫理綱領
日本視能訓練士協会 倫理規定
日本臨床衛生検査技師会 倫理綱領
日本歯科技工士会 歯科技工士の倫理綱領

索引

■書評・紹介

◆立岩 真也 2005/06/25 「書評:宮坂道夫『医療倫理学の方法――原則・手順・ナラティヴ』,『看護教育』46-06(2005-06):(医学書院)

■言及

◆立岩 真也 20140825 『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3700+ [amazon][kinokuniya] ※


UP:20080808 REV:20101104, 20140824
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