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『オタクの遺伝子』

稲葉 振一郎20050303 『オタクの遺伝子』,太田出版,349p.

last update:20100517

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稲葉 振一郎 20050303 『オタクの遺伝子』,太田出版,349p. ISBN: 4872338693 1955 [kinokuniya][amazon] ※

■内容

出版社/著者からの内容紹介
オタクの楽園は、本当に不毛の荒野なのか?
『ナウシカ解読』で明晰な宮崎駿論を展開した著者が、日本で2番目にオタクの心がわかっているまんが家(by岡田斗司夫)長谷川裕一を中心に、鉄腕アトム、鉄人28号からガンダム、エヴァンゲリオンにいたるオタクの遺伝子=SFの変容と可能性を描く、壮大な長谷川裕一&SF論。
「オタク的快楽が、ある種常識的な人々に怖気をふるわせる理由は、その人工物や虚構への耽溺でしょう。(中略)しかし本当に人工物、そして虚構とは、何も生み出さない不毛なものなのでしょうか? そして人工物と虚構で埋め尽くされたオタクの楽園には、本当に「外」が存在しないのでしょうか? 本書のテーマは、実はそういうことです。オタクの楽園は本当に不毛の荒野、管理された箱庭、ポルノグラフィックなディズニーランドでしかないのか――ということです。その問題について考えるために、オタクの原点であるSFについて、いま一度考えてみよう、という作業の、とりあえずの最初の一歩です。――稲葉振一郎「はじめに」より

出版社からのコメント
従来、「美少女」というタームで語られることが多かったオタク論に対し、SFこそ、オタクの遺伝子であったというもう一つのオタク論の主張であり、いまや「動物的」と呼ばれるようになってしまったオタクの可能性を探ったのが本書です。
その際に、著者が取った戦略は、オタキング・岡田斗司夫をして「日本で2番目にオタクの心が分かっているまんが家」と言わしめた長谷川裕一との対話を通じて、日本のオタク文化の系譜を検証するという手法です。
長谷川裕一というまんが家は、オタク第一世代であり、SFへの耽溺を出自に持ち、その作品において、ロボットと人間という問題では手塚治虫の、ユートピアという問題では宮崎駿の、宇宙観という問題では富野由悠季の、美少女という問題では吾妻ひでおの、いわばオタク文化の先達の遺産を継承し、展開している稀有な存在です。また特撮に関する評論、ゲーム《スーパーロボット大戦》への関与など、オタク文化全般を横断する活動でも知られています。
もちろん、長谷川裕一を知らなくても読めるように、詳細な注、年表、長谷川作品の解題もつけてあります。
オタクの楽園の「外」の光景を見るためにも一読をお勧めします。

■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

1963年生。86年一橋大学社会学部卒業。92年東京大学大学院経済学研究科単位取得退学。岡山大学経済学部講師、助教授等を経て、2001年より明治学院大学社会学部助教授(社会倫理学)

■目次

目次
はじめに オタクの楽園は不毛の荒野か? by稲葉振一郎
第1章 オタクの遺伝子としてのSF 長谷川裕一vs稲葉振一郎
第2章 マルチバースのビメイダー――長谷川裕一試論 by稲葉振一郎
第3章 長谷川裕一作品解題+オタク史年表
あとがき 素材のつぶやき by長谷川裕一



REV:20100517
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