『現実の向こう』
大澤 真幸 20050201 春秋社,227p.
last update:20111020
■大澤 真幸 20050201 『現実の向こう』,春秋社,227p. ISBN-10:4393332288 ISBN-13:978-4393332283 \1890 [amazon]/[kinokuniya] ※ p06 d08 hj04 rr01
■内容
出版社/著者からの内容紹介
9.11以降新時代に入った世界、オウム事件以降新たな段階に突入した日本――ふたつの劇的な変化が交差する地点にわれわれはいる。テロリスト、テロ国家、オウム。共通項は、理解できない不気味な他者。
共通の土俵をまったく持たない他者との相互理解は不可能に見える。しかし、他者の脅威を武力で殲滅しようとしても終わりなき戦争を招来するだけだ――ブッシュ政権のように。だが、共生の道はあるのか。
ローティ、ハーバーマス、デリダなど現代思想のアイディアを批判的に検討しつつ、現代にこそ要請される平和憲法の意義を抽出。北朝鮮問題の処方箋から、「民主主義を超える民主主義」の着想と国連改革の指針まで、綿密な論理的演繹に基づきつつ、わかりやすい口調で行われる数々の提案が、理解不能な他者とのかそけき共生の可能性をひらき、われわれが直面する困難を克服する方途を示す。
内容(「BOOK」データベースより)
ブッシュ・ドクトリンやネオコンの論理、リメイクされた松本清張原作のドラマ『砂の器』の詳細な解析を通じて炙りだされる国際社会と戦後日本の隠されたメカニズム。平和憲法の現代性、あっと驚く北朝鮮問題の処方箋、「おたく」の定義、「他者」と「未来」の共通性、偽記憶を生みだす心の仕組みなど、手品のようにくりだされる意表を突く分析と提言の彼方に、現在の大沢社会学の到達点が啓示される。
内容(「MARC」データベースより)
9・11以降の世界情勢、オウム事件以降の日本社会など現在の最も先鋭なテーマに社会学の俊英が真っ向から挑んだ評論集。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
大沢 真幸
1958年、長野県松本市に生まれる。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。千葉大学助教授などを経て、京都大学大学院人間・環境学研究科助教授(比較社会学・社会システム論)。社会学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
第1章 平和憲法の倫理
はじめに
1 問題状況
日本のアメリカ支持
欧/米の分裂
ハーバーマスとローティ
ローティの共生の論理
〈不確実性〉の機能
二種類の「可能性」
「他者」の定義
「他者」という恐怖
偶然性からの逃走
終わらせない戦争の時代
疎外
2 憲法と安全保障
憲法と安保の矛盾
日米同盟?
矛盾解消の二つの道
3 二つの提案
北朝鮮問題
北朝鮮民主化計画
絶対的貧困への義務
贈与の直接性
「中立」という欺瞞
「他者の尊重」
変化する「他者」と「自己」
ホスト=ゲスト
4 民主主義以上の民主主義
もうひとつの〈普遍性〉
民主主義はどういう政治制度か
アイロニカルな没入
不徹底な偶有性の自覚
民主主義を超える民主主義
偶有性を内包した新しいシステムへ
第2章 ポスト虚構の時代
1 理想の時代と虚構の時代
「反‐現実」から見る時代
冷戦と理想
理想の時代の光輝と衰亡
虚構の時代と「おたく」
閉じられた空間
元号と西暦の断層
2 現実への逃避
現実への逃避
現実への飢餓
「歴史の終わり」の終わり
3 死者の回帰
ふたつの『砂の器』
一九一六年の『砂の器』
過去を隠蔽する六〇年代
繁栄の裏のうしろめたさ
第三者の審級
アメリカへの信頼
よみがえる過去の声
4 もうひとつの『砂の器』
二〇〇四年の『砂の器』
三〇人殺しの父
他人になりかわる方法
紙吹雪の女
惹かれあう二人
名前の謎
父が犯した殺人をめぐる疑問
和賀英良はなぜ殺人を犯したのか?
不遇な僕ら
5 もうひとつの時代へ
幼児虐待
偽記憶症候群
殺人の真の動機
父のラディカルな否定
不可能性の時代へ
第3章 ユダとしてのオウム
1 問題の極限・解決の前衛
2 四つの提案
提案1――圧倒的な開放性
提案2――教義とサリン事件
提案3――謝罪修行
提案4――裏切り
あとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:樋口 也寸志