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『ナチス・ドイツの有機農業――「自然との共生」が生んだ「民族の絶滅」 』(新装版)

藤原 辰史 20050225 柏書房,306p.

last update:20131119

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藤原 辰史 20050225 『ナチス・ドイツの有機農業――「自然との共生」が生んだ「民族の絶滅」』,柏書房,306p. ISBN-10:4760141529 ISBN-13: 978-4760141524 \2800+税 [amazon][kinokuniya]

■内容

“人間中心主義”から“生物圏平等主義”への転換を目指した生命共産国家は、なぜホロコーストに行き着いたのか?ナチス農本主義とシュタイナー農法の生命観を、 日本を含む同時代史のなかで捉えなおし、真のエコロジーとは何かを探る。

■目次

プロローグ――「人間中心主義」から「生物圏平等主義」へ
1 ナチスのエコロジー
2 バイオ・ダイナミック農法
3 日本人の視点からみたナチスの農業観
4 同時代史のなかのナチス農業
5 本書の構成

第一部 生成 一九二四〜一九三三
第一章 「バイオ・ダイナミック農法」の誕生と展開――ドイツ・ブレスラウ 一九二四年

1 BD農法誕生の背景
2 占星学的な超自然的精神世界
3 農民の伝承文化の尊重と科学批判
4 鉱物性肥料批判と生態学的循環型農場の形成
5 農業機械使用に対する躊躇と手作業の重視
6 シュタイナー農法の担い手の制限
7 BD農法の展開

第二章 「インドール方式」の誕生と展開――イギリス領インド 一九二五年
1 有機農法のもうひとつの源流
2 ハワードのシュタイナー批判
3 植民地における「インドール方式」
4 おわりに――ダーウィンのミミズ

第三章 「農民と自然の関係」をナチスはどう捉えたか?
1 はじめに
2 ナチ党の農民票獲得戦略
3 ラウシュニングの農業観
4 ヒトラーの農業観
5 ダレーの農業観と自然観
6 おわりに――ナチスの農業観と自然観の多面性

第二部 混淆 一九三四〜一九四一
第四章 緑色の第二革命

1 「農民の手だけが豊穣をもたらす」
2 カールソンとダレー
3 おわりに――「化学と経済を玉座から追い払う」

第五章 生命法則
1 帝国世襲農場法
2 生命法則
3 人種的生命法則と東洋的生命法則
4 おわりに――生命法則国家としての〈第三帝国〉

第六章 バイオ・ダイナミック農法の実践者たち
1 チューリンゲンでの禁止とルドルフ・ヘス
2 「生活改善運動」との連帯
3 バイオ・ダイナミック農民たちの活動
4 理想と実践のはざまで
5 BD農法からナチスへの歩み寄り

第七章 総力戦と土壌(戦前編)
1 はじめに
2 平時農業政策=戦時農業政策
3 生産戦の十戒
4 羊を飼え!
5 土壌を健康に保て!
6 「もったいなさ」のネットワーク――「無駄をなくせ闘争」
7 おわりに

第八章 総力戦と土壌(戦中編)
1 戦時生産戦の開戦
2 マインホルトの『戦時農業生産の諸条件』
3 戦時生産戦の帰結
4 おわりに

第九章 ロシア、この「偉大なる農民の国」――モータリゼイションをめぐって
1 「日雇い労働者の世界革命」――レールスの農業機械観
2 「農民層、農業労働者問題、そして迫り来る危険」――ダレーの機械観
3 農民の自発性
4 おわりに

第十章 ナチ農政に対する農民たちの反発
1 世襲農場法に対する反応
2 生産戦に対する反応
3 労働力不足と農作業の急速な機械化・化学化

第十一章 ダレー、バイオ・ダイナミック農場へ
1 一九四〇年六月一八日
2 農学者のBD農場訪問
3  BD農法全国連盟の幕引き
4  BD農法による教育改革――ボイムラーとバルチュ
5  BD農法からの医療改革――ホテル「ドイチャー・ホーフ」の会議
6 おわりに――〈第三帝国〉下のBD農法の実践者たち

第三部 変容 一九四一〜一九四五
第十二章 有機農業と植民地主義――再生産される故郷、〈生命空間(レーベンスウラム)〉

1 「土壌―植物―動物―人間の生物学的共生」という凶器
2 東方におけるBD農法
3 排他的景観の再生産――生命法則の機能する〈生命空間〉
4 環境世界と寄生と共生――ユクスキュルの『国家生物学』
5 おわりに

第十三章 強制収容所における有機農業――ドイツ栄養・食糧研究所
1 強制収容所に咲くダイオウの花々
2 健康によいホーム・パーティーをどうぞ!
3 有限会社ドイツ栄養・食糧研究所
4 強制収容所のBD農法
5 ブーヘンヴァルト強制収容所の菜園
6 ドイツ各地に遍在する収容所菜園
7 虐殺と循環
8 おわりに――「環境移植」のための実験場として

第十四章 同時代の小農主義――ソ連、満洲、北海道
1 はじめに
2 「農民ロシア」
3 「満州国」
4 北海道――黒澤酉蔵の「循環農法」

エピローグ 「ナチス・エコロジズム」とは何か?
1 「循環農法」・「インドール方式」・「生命法則農法」
2 ホロコーストと「ナチス・エコロジズム」
3 「異境」をめざす有機農業
4 「人間中心主義」からの脱却――おわりにかえて

あとがき

参考文献
関連年表
人名索引

■引用

■書評・紹介

KINOKUNIYA 書評空間BOOKLOG 早瀬晋三」
http://booklog.kinokuniya.co.jp/hayase/archives/2005/05/post_3.html

■言及



*作成:近藤 宏  *増補:北村 健太郎
UP: 20131016 REV: 20131111, 1119
環境/環境倫理学/環境思想  ◇優生・ナチス・ドイツ  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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