『存在論的メディア論――ハイデガーとヴィリリオ』
和田 伸一郎 20041220 新曜社,349p.
■和田 伸一郎 20041220 『存在論的メディア論――ハイデガーとヴィリリオ』,新曜社,349p. ISBN-10: 478850930X ISBN-13: 978-4788509306 /3360 [amazon]/[kinokuniya]
■内容
ケータイを持ったハイデガー。ハイデガーの“現存在”をめぐる難解な思考を現実の体験にしたメディアの進歩。最新のメディア体験を読み解きながら、現象学がめざしているものを明らかにする、俊英の瞠目すべき論考。
ハイデガーの「現存在」をめぐる難解な思考を現実の体験にしたメディアの進歩。ハイデガー哲学に依拠し、ヴィリリオの示唆も手がかりにしつつ、最新のメディア体験を読み解きながら、現象学がめざしているものを明らかにする。
■目次
序論
技術と主体化
ハイデガーとヴィリリオ
主体概念の呪縛
第1章 現象学的還元からメディア利用者の〈不安〉へ
導入
1 〈後ずさり〉
映像の過剰な〈現前性〉
バルトによる写真の経験
電話通話者の〈不安〉とは何か
〈遠さ‐除去〉としての近づけ
防衛機制としての距離どり
〈表象〉と〈現前化〉
身体の「消滅」、「喪失」というメディア論的言説
2 メディア現象学
ドレイファスによるメディア現象学
〈図〉と〈地〉の反転
〈超越論的意識〉から《存在》へ
心理学ではなく現象学
3 〈現存在〉とその〈存在論的〉〈不安〉
フロイトと「グラモフォン・フィルム・タイプライター」
〈消滅の美学〉
〈現存在〉の《存在》とは何か
〈存在了解〉
恐怖ではなく〈不安〉
幽霊という主題
ドアをノックする幽霊
4 〈主体〉から〈現存在〉へ
制御不能な技術の《ポテンシャル》と人間
〈主体〉であることを維持する努力から〈現存在〉の〈実在〉することへ
第2章 〈現存在〉としてのメディア利用者、〈頽落〉の引力としての〈不活性〉
1 〈現存在〉としてのメディア利用者
電話通話者の〈頽落〉
「あそこ」から「ここ」を了解するということ
電話通話者の前存在論的了解
〈現存在〉の構造とその内的引力
頽落における「引力」と「迅速さ」のモチーフ
頽落的メディア利用と、そうではないメディア利用
2 メディア技術のポテンシャルの人間化から脱人間化へ
メディア利用と「ヒューマニズム」
ハイデガーの技術論における反ヒューマニズム
人間という概念とその「外」
リアルタイムの近さ
〈実存〉から〈脱‐存〉へ
ヴァーチャルな〈空間〉
近隣よりも近い遠方
配慮の機能不全
《存在忘却》としての距離の「見捨て去り」
3 〈現‐存在〉から〈速度‐存在〉へ
怠惰と頽落
〈動かない乗物〉と住居
ポテンシャルとしての〈速度〉
実存と速度
乗物としてのメディア
技術の《ポテンシャル》としての速度とその人間化
人間と速度
速度と根本気分
〈不安〉から〈退屈〉へ
メディア利用者の「深い退屈」
不活性への欲望
絶対的な定住性
技術の本質と人間の本質を理解すること
第3章 〈表象〉の近代から〈現前〉の現代へ
1 〈表象すること〉とギリシア人
〈表象すること〉
ギリシア人と〈現前〉
〈物〉としての「壺」
2 〈対象〉と〈モノ〉
3 表象的ではないものとしてのメディア技術
メディアと〈表象すること〉
視覚機会としての監視カメラ
画面のスクリーンから身体をスクリーンとすることへ
現代人の〈現前〉への好み
4 〈対象〉としてのまなざしの〈現前〉
〈対象a〉としてのまなざし
写真と《存在》としての光
5 身体残像、あるいは残像身体
第4章 存在の露現としての〈立て組み〉
《存在》と技術
《存在》と《性起》
〈立て組み〉
〈立て組み〉と〈ロジスティックス〉
自動機械
別の原初
最後に
註
あとがき
文献
索引
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:影浦 順子