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『文化人類学文献事典』

小松 和彦・田中 雅一・谷 泰・原 毅彦・渡辺 公三 編 20041200 弘文堂,1072p.


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■小松 和彦・田中 雅一・谷 泰・原 毅彦・渡辺 公三 編 20041200 『文化人類学文献事典』,弘文堂,1072p. ISBN-10:4335561016 ISBN-13:9784335561016 \2100 [amazon][kinokuniya] ※ ma

■内容

「未開の地」が消失し、植民地が「解放」された現在、颯爽と登場し20世紀の知の中心的位置をしめた文化人類学は、もはや衰退したのか……、という素朴な疑問が聞こえてきます。一方で、「自分とはちがう人」と、どのようにコミュニケーションをするか、これが21世紀の課題であり、わたしたちには「他者」や異文化に対する、よりいっそうの理解が求められています。国際政治や経済から環境問題やフェミニズムにまで、〈人類学的知〉は広く深く浸透しているのです。いやむしろ、閉塞状況のなか、人と人との関係において人類学がもたらす知見が今ほど求められている時代はない、とさえ言えるでしょう。

これまでの学問的蓄積を総括し、新しい挑戦に踏み出そうとする21世紀の人類学に、注目を!

■目次 ■引用

 ああ、こんな生き方もあるんだ――フィールドワークのエッセンスは、この言葉に尽きる。他人(ひと)の生き方を語ることで、自らが生きるという捩じれた道を選んだ人びと=文化人類学者たちが、いま、この世界にむかってなにを語りうるのか。

 子どもが子どもに危害を加え、母親が幼いわが子を虐待することに驚くわたしたちは、ひとつの超大国が数千キロ離れた国に戦争をしかけ、数千キロ離れた国々がそれに荷担することに驚かなくなっている。

 わたしたちは、身近な人の存在への配慮と、遠い他者への想像力のバランスをとりながら、綱渡りのような人生を生きることの実感を、いつ失ったのだろう。

 身近な人との関係を考察し、他者や異文化への想像力を鍛え、自然と人との多様な関わりを観察することに努めてきた文化人類学が、いま、わたしたちに何を提示しているのか。

 文化人類学の文献を精査し、そのエッセンスを集約した、この『文化人類学文献事典』が、考えるためのヒントを提示している。

 ……わたしたちはどこから来たのか、どこにいるのか、そしてどこへ行くのか。

 「ポスト近代」という言葉が聞かれてからすでに久しい。

 近代社会のなかに形成され、近代社会を説き明かすはずの人文・社会科学のさまざまなディシプリンが、今日、自らの存立の基盤を問い直している。

 前近代や非近代の世界への共感と参入の経験を出発点に、諸科学の遭遇する場に身を置き、人間についての総合的な視点を模索してきた文化人類学は、どのような展望を示すことができるだろうか。

 文化人類学はひとつの回答である以上に問いを立てる行為であり、既定の答えに対する新たな問いの立て方の模索だったことは、この刊行の言葉そのものが一連の問いのかたちになっていることにも表れている。文化人類学を、常に未完であり続ける総合への挑戦あるいは〈野生の知〉として再確認することがこの事典の目標でもある。

 遭遇の経験から総合への挑戦に向かうために、これまで獲得されたものを確認し共有財産とすることは不可欠な基礎作業である。

 学会の蓄積を広く共有化する試みが結晶し、この事典となった。さまざまな関心をもった多様な分野の多くの読者によって、個々の結晶の知的な成分の含有率や、開かれた多孔性の組成や、刺激に満ちた腐食力などを試みていただければ、編集者としてのそれ以上の喜びはない(刊行のことば)。

■書評・紹介

■言及



*作成:本岡 大和
UP: 20100217
人類学/医療人類学  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
 
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