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『年金改革の比較政治学——経路依存性と非難回避』

新川 敏光・ジュリアーノ ボノーリ編 20041020 ミネルヴァ書房,341p.


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新川 敏光・ジュリアーノ ボノーリ 編  20041020 『年金改革の比較政治学——経路依存性と非難回避』,ミネルヴァ書房,341p. ISBN-10:4623041204 ISBN-13:9784623041206 \3500 [amazon][kinokuniya] ※ i04j

■内容
年金改革はすぐれて政治的な問題である。異なる問題状況や多様な制度構造のなかで、政治はどのように作用しているのか。本書は、世界各国の年金制度、高齢化問題、年金改革を比較分析し、年金政治の共通性と多様性を規定する要因とその効果を浮き彫りにする. 。2003年に開催されたシンポジウム、「Social Policy to Population Ageing in the Globalization Era」に提出された報告を基にした年金改革に関する論文集。

■目次
序章 西ヨーロッパ、北米、東アジアにおける高齢化と年金改革の論理
      1.世界的高齢化
      2.高齢化のパターン
      3.異なる出発点―年金政策の制度的多様性
      4.年金改革の多様な論理
          社会保険型諸国
          多柱型諸国
          準備すマルク型諸国
      5.東アジア・モデルの可能性
      6.要点の確認

第1章 スウェーデンの年金改革―成熟した年金システムにおける抜本的改革
      1.年金の拡充から縮減へ
      2.1994~98年改革以前の年金政策
      3.年金問題の出現
      4.年金改革論争の出現
      5.改革のプロセス
      6.新しい年金システム
          給付
          財源調達
          管理運営
          政治的余波
      7.改革のプロセス
      8.システム安定とリスクの転嫁

第2章 イタリアの年金改革―膠着から包括的改革へ
      1.年金制度の概略
      2.1980年代―危機と膠着
      3.交渉による協定を通じての年金制度の再編成
          制度と知識
          アマート政権―非常事態の処理と交渉を通じた(部分的)年金改革
      4.ベルルスコーニ政権からディーに政権へ―異なる経緯、異なる結果
      5.段階的改革から10年、その光と影
      6.年金改革の成果と教訓

第3章 ドイツの年金改革―継続とパラダイム転換の間
      1.改革の文脈―経済のグローバル化と少子高齢化社会の到来
      2.ドイツにおける老齢および公的年金
          端緒
          拠出率の将来的上昇の抑制―1989~97年の一般的および選択的縮減
          公的年金から退職後所得維持政策へ
      3.公的年金改革から高齢者保障政策へ―その評価
          年金改革の必要性
          年金改革合意の利点
          緩やかな衝撃、しかしパラダイム転換か?
          負担の公正な分配か?
          高齢化対策として首尾一貫した設計がなされているか?
          改革その後
      4.ドイツの経験―目がトレンドに対する後追い的対応

第4章 フランスにおける年金制度改革の政治過程―交渉、デモ、遅延
      1.年金制度改革の概観
      2.フランスの年金制度
      3.1980年代―年金問題の出現
      4.1993年の改革
      5.1995年―ジュペの試み
      6.近年の動向
      7.年金貯蓄基金の発展に向けて
      8.早期退職から活力ある高齢化へ
      9.最近の動向

第5章 スイスの年金改革―厳しい制度的制約の下で社会的変化に順応した新制度を作る試み
      1.スイスの年金制度が直面している課題
      2.スイスの政治システム、拒否店、および政策形成
          政治制度
          政策形成における慣行
      3.年金政策における戦後の和解(1945~85年)
      4.1990年代―経済危機と年金破綻の懸念
          1995年年金改革(第10次老齢遺族年金制度改革)
      5.高齢化社会に相応しい年金制度を作るために
          第11時老齢遺族年金制度改革
          第1次職域年金制度改革
          職域年金制度における法定最低金利
      6.スイスの年金制度改革の展望―スイスは特殊なのか?

第6章 イギリスの年金改革―自由主義的福祉国家のテスト・ケース?
      1.イギリスの政策文脈
      2.イギリスの年金システムの主な特徴
      3.年金の戦後合意と改革の第一波
      4.1980年代における年金問題
      5.改革の第二波
      6.新たな問題の発生―規制と不正販売スキャンダル
      7.労働党の政策転換
      8.改革の第三波―1997年以降
      9.新たな問題―規制のゆるい民間部門から十分な年金をいかにして確保するか
      10.最後の論点
      11.イギリスの経験が教えるもの

第7章 アメリカの公的年金改革―なぜ改革は実現しないのか
      1.アメリカの年金政策のアジェンダ・変化・結果
      2.アメリカにおける年金政策の展開
      3.問題の発生
      4.変化への制約
      5.「削減」と「財源再調達」のはじまり
          カーター政権下とレーガン政権下での漸進的変化
          クリントン政権期の「削減」提案
      6.抜本的な「再構築」に向けて?
      7.年金アジェンダの限界
      8.政策結果
      9.年金改革を妨げた政治的要因

第8章 カナダの年金改革―変化のなかの均衡
      1.年金改革とその正当性
      2.カナダの年金制度の起源
      3.「年金大論争」から縮減の政治へ
      4.「普遍主義」への攻撃の失敗
      5.高齢者給付の引き上げと引き下げ
      6.協議の政治―カナダ年金制度(CPP)の改革
      7.分析
          カナダ連邦制と非難回避の政治
          「ニューエコノミー」の政治
          年金改革のモラル・エコノミー
      8.制度の持続性

第9章 韓国の年金改革―社会連帯と財政不安の葛藤
      1.急速な年金制度の拡大と改革の圧力
      2.高齢者の所得保障体系の概略
      3.国民年金の制度的特徴
          国民年金の基本構造
          財源調達および基金運用方式の特徴
      4.国民年金の問題と改革要求の登場
          国民皆年金の適用拡大問題
          国民年金の財政不安問題
      5.第一次年金改革論争(1997~99年)
          企画団の改革案と国会立法
          都市地域への国民年金拡大と基金分離論争
          年金改革とその意味
      6.第二次年金改革のはじまり
          世界銀行の年金改革要求
          急速な高齢化と出生率の低下
      7.研究結果と理論的含意
          年金改革の牽引役としての財政不安問題
          政治制度、経路依存症と年金改革
          「親福祉同盟」と国民年金改革
          グローバリゼーションと国民年金改革

第10章 高齢化への経済対策―シンガポールを事例に
      1.シンガポールにおける高齢化
      2.労働力不足への対応
          移民労働者の受入増加
          国内の雇用増加
      3.個人の所得税収入低下への対応
      4.高齢社会に対応する社会保障財政逼迫への対応
      5.グローバリゼーションとCPF
      6.CPFの今後の展望

第11章 日本の年金改革政治―非難回避の成功と限界
      1.準ビスマルク型の限界事例
      2.歴史的制度論と福祉国家の新しい政治
      3.年金補充の政治―経済依存症と手柄争い
      4.年金縮減の政治Ⅰ
      5.年金縮減の政治Ⅱ
      6.非難回避戦略の限界
      7.2004年年金改革
      8.企業年金の改正
      9.ビスマルク型への移行


■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:本岡 大和 
UP:20090225 REV:20100522
新川 敏光  ◇年金  ◇身体×世界:関連書籍2000  ◇BOOK
 
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