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『当事者が語る大人のADHD――私たちの脳には翼(はね)がある!』

ロクスケ・WingBrain委員会メンバー 20041015 明石書店,272p


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ロクスケ・WingBrain委員会メンバー 20041015 『当事者が語る大人のADHD――私たちの脳には翼(はね)がある!』,明石書店,272p. ISBN-10: 4750319864 ISBN-13: 978-4750319865 1890 [amazon][kinokuniya] ※ adhd. a07.

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内容(「BOOK」データベースより)
わかってほしいADHDとして生きること!豊富なアイデアや特別な才能があるといわれながら、努力しても失敗の連続、失う信用。社会の偏見も加わって、まさに置き去りにされる大人のADHD。そんな当事者の体験談から、「個性」と上手につきあい能力を発揮する実践法まで、ADHDの現実と希望を描きだす。

内容(「MARC」データベースより)
豊富なアイデアや特別な才能があるといわれながら、失敗の連続、失う信用。社会の偏見も加わって、置き去りにされる大人のADHD。当事者の体験談から、能力を発揮する実践法まで、ADHDの現実と希望を描きだす。

注意力がない、人の話を聞けない、約束を守れない…
そんなマイナスの側面ばかりが強調され、また実生活でもさまざまな困難をともなうADHDの人たち。
本書は大人のADHD専門サポートグループ・WingBrainのメンバーが、正しいADHDの知識、自らの体験、上手につきあう実践法をまとめた、当事者に勇気と自信を与える一冊。

■目次

プロローグ 私たちの脳には翼(はね)がある!
PART1 医者も知らないオトナのADHD
 天才? それとも厄介者?
 差別と偏見
「障害」とはどういうことか
 あなたの身近にいるADHD〜私が出会ったYTのこと、私のこと
PART2 当事者それぞれの自分との闘い
 ペットの「もぐりん」のこと〜わたしのペット遍歴[mogurin]
 先延ばし癖のある人の心の負担を軽くする法[Bunny_Lab]
 「鬱」という二次障害を改善するために[ナオニャム]
 職場で自分が、あるいは誰かがADD/ADHDだったら?[小町]
 子供を育てて初めて知ったわたし自身のADHD[MUSICA]
 年金請求の不条理についてのはなし[むーんらいず]
 面接ひとりバトル[はるか]
 生きるということ、生きていくということ[みゆき]
PART3 あなたの「翼」をよく知るために
 あなたにあう医師を見つけるには
 あらためて考える。ADHDは障害か
 自分の立場を認識する
 ミステイクン・アイデンティティーをこえて[Rosamonde]
 ADHDの診断基準について
PART4 さあ、あなた自身のリハビリを始めよう!
PART5 再び、エジソンはADHDだった?
エピローグ ADHDの役割

■引用

 「プロローグ 私たちの脳には翼(はね)がある!

 この本の編集者である「WingBrain」は、大人のADHD専門サポートグループです。自らもADD/ADHDか、または、はっきりと診断はされていないけれどもそうでないかと感じている人びとによる、いわば当事者の自助グループともいえます。

 WingBrain(翼のある脳)。私たちはADD/ADHDのことを、そう呼んでいます。
 脳に翼があるという言葉に、あなたはどんなイメージを持たれるでしょうか。そのものズバリの絵を思い描いて「ちょっとグロテスク〜」なんて感じるかもしれません。「翼が生えてるなんてエラそーだ!」「自分には翼なんかない」……人によって感じ方はさまざまでしょう。でも私たちはこんなふうに考えています。<0003<
 
一 自由であること
 私たちは「既成の枠」にとらわれない自由な発想を持っています。「私にはない」と思われる方、そんなことはありません。ほんの小さな出来事の中にきっと自由な発想をしている自分を発見することがあるでしょう。
二 不便なこともある
 「翼が生えてる」ために不便を感じることもあります。「足」で歩いている普通の人は、決められた道を目的に向かって真っ直ぐに歩くことができます。「翼」のある私たちが進むのは、道のない空。あちこちフラフラして疲れてしまうことだってあるんです。
三 特権階級ではない[…]」(ロクスケ・WingBrain委員会メンバー[2004:3-4])

 「ADHDが脚の悪い人と違うのは、自覚できるかできないかだ。脚の悪い人は、本人もまわりもまったく誤解なく障害の存在を理解できる。だから、うまく歩けないことに誰も疑問を持たないし、人と同じように歩くことをその人に強要することはない。
 だが、ADHDは目に見えないからまわりにもわからないし、本人さえ知らないことも普通だ。となると、本来はやっても無駄な努力に時間とエネルギーを費やし、本人は自己嫌悪に陥り、まわりは怠け者だとの烙印を押す。人の話を聞けないのは仕事を馬鹿にしているからだ、人を侮っているからだ、と責められる。
 
 ある面、嫌われても仕方がない。なにしろADHDの欠点、すなわち約束を守らない、人の話を聞かない、時間がでたらめ、金銭感覚がでたらめ、計画通りに仕事ができず、忘れっぽく飽きっぽい、これらは誰にでもある欠点であり、何をどう言い訳しようと、本人の努力不足だと思われるからだ。
 たしかに多少なら、それらのうちのいくつかは普通の人の欠点だといえる。むしろ、これらの欠点をまったく持っていない人はいない。だが、普通の人はそれらの欠点もほかでカバーできる範囲であり、つまり許容範囲なのだ。注意を促すとちゃんと治るし、本人の努力で治すことも可能だ。

 ADHDの場合、許容範囲をまったく超え、しかもそれらの欠点が集中して一人に集まっている。それが、どんな困難を本人にもたらすか想像できるだろうか。
 本人は自分の欠点を自覚し、何とかしなくてはと焦る。自分でも努力不足であり、怠けているからだと思う。つまり自分を責めるのだが、問題は解決せず、あいかわらず人と諍いを起こし、恥をかき、あきられる。当然まともな社会生活などできなくなるし、うつが高[ママ]じたり対人恐怖に陥ったりすく。さらに悪いことには、あまりに周囲に負担をかけていると、通常なら許容範囲として認めてもらえる多少の欠点も厳しく責められる。
 […]<0145<[…]
 何が単なる欠点で、何が障害なのかは区別が難しい。誰でも持ちうる欠点だから障害と認識されにくいのだが、対処の方法が違うのだから、やはり区別する必要がある。
 
 結局、正面から取り組んで改善されるなら単なる欠点であり、正面から取り組んでも非常に効率が悪いか、あるいは改善されないのであれば、障害だと認識した方がよいのではないか。」(ロクスケ・WingBrain委員会メンバー[2004:144-146])

■言及

◆立岩 真也 2008- 「身体の現代」,『みすず』2008-7(562)より連載 資料,

◆立岩 真也 20140825 『自閉症連続体の時代』,みすず書房,352p. ISBN-10: 4622078457 ISBN-13: 978-4622078456 3700+ [amazon][kinokuniya] ※


UP:20090509 REV:20140825
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