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『心が病むとき、心が癒えるとき――仲間たちの体験から』

古川 奈都子 編 20041010 ぶどう社,126p.


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■古川 奈都子 編 20041010 『心が病むとき、心が癒えるとき――仲間たちの体験から』,ぶどう社,126p. ISBN-10: 4892401757 ISBN-13: 9784892401756 1365 [amazon]
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■出版社/著者からの内容紹介
内容(「MARC」データベースより)
心を病む人たちが原稿を書き、心の病の当事者である著者がとりまとめる。何年、十数年の病歴を経て、病気と共生する境地に到達する過程がわかる。病気の当事者、家族が現在の自分の様子と照らし合わせて読める一冊。

「この本は、心の病の当事者が原稿を書いて、私が取りまとめをしました。この本を読むと、みんな、生きること、生活をすることを精一杯に考え、前向きに暮らしていることが、わかると思います。病気である以上、いやおうなしにマイナスの要因を抱えていることも事実です。それをマイナスとしないように努力をして、病気と共に生きること、病気を友達にすることを考えています。本当は、病気と共生することは簡単ではなく、何年、十数年の病歴を経て、ようやく到着する境地であるものだと思います。この本を読むと、そのような過程がわかると思います。心の病気の当事者やご家族の方が、現在のご自分の様子と照らし合わせて、この本を読んでくださると嬉しく思います。 古川奈都子」
http://www.budousha.co.jp/booklist/book/kokoroieruyamu.htm


■目次

 *自分と仲間でつくり上げていく
1章 本当の自分を見つけるため
 いじめと孤独から解放される自由を
 いつも人の気持ちに自分を合わせていた
 友人と出会い、社会とふれあいたい
 私の恋の詩
 思春期病棟の辛い日々、今は家で幸せに
 体は現実の世界に、心はバーチャルな世界に
 *人から認められたくて/私にとって大切な存在
2章 夫と子どもに感謝して
 必ず治ると、一緒に歩いてくれる彼
 私にはでき過ぎた子どもたち
 夫と子どもと私の中だけには、本当の自分が
 *家庭を持って/宇宙の広さほどの平安
3章 心の病気を抱えて生きる
 やっと精神障害者と認められるようになった私
 今も、カウンセリングと服薬を続けて
 精神病院を体験し、今はデイケアと作業所で
 世の中のすべてが自分のためにあるように思われ
 今なお、妄想と現実が混在する時も
 「生きよう」という意思があれば
 話し合いは貴重な時間
 君に贈る詩
 ワインバーグとサティア
 *心の病の世界/病気だって認めること
4章 仕事のこと、生きること
 正社員三回、アルバイト四回、ちょうせんしたけれど
 明るい作業所で、元気に暮らしています
 心を病むと、社会生活をやっていくのは大変
 作業所の職員として働きながら考えた
 *心の病を持って生きる辛さ/まだ許されない社会
エピローグ ……ポチャン……ポチン……ピチョン……


■紹介・引用
(薬の使用について言及している箇所)

「「どうしても疲れる」とまた訴えると、自分も飲んでいると言って、リタリンを処方されました。リタリンのおかげで家事はしやすくなりましたが、後で聞いた話だと、その薬は危険な薬で一種の麻薬のような症状が起きるそうです。実際、主治医を今の医師に替え、その薬を止めてからも副作用に長いこと苦しみました。」(p.48)

「医師から、「薬を出します」と言われましたが、私は断りました。
 そんな状態であっても次の子どもが早く欲しかったこと、薬の副作用で以前のようにアカシジアになってしまったら今の生活を維持することができなくなり、家族バラバラになってしまうことが怖かったからです。」(p.53)

「そこで、「精神分裂病です」と告知され、薬を飲む日々が始まった。しかし、病気を受け入れない私は、三カ月で服薬をやめてしまった。」(p.61)

「でも今は、薬を飲むことによって病状が安定してくれるならいいと思うようになりました。」(p.63)

「そして、薬もわけのわからないいろんな薬飲まされました。時には聞いていないのに知らない薬が入っていたり。しかし飲むしかなすすべがなかったです。」(p.65)

「薬がない生活は考えられません。今自分がいられるのは、薬があるのと頼れる先生がいるからです。」(p.67)

「こういう訳のわからない行動や言動にでる症状が幻覚なのです。だから私は薬を飲んで直そうとしてるんです。」(p.68)

「病院で処方された薬を飲み始めてから、薬の副作用との戦いが始まりました。布団に寝込んだまま起きあがれない生活でした。長い間寝たままなので、かかとがとても痛かったです。食欲もなくて一〇キロぐらいやせました。そのころはとても不安で、親に何回も「いつ治るの?」と聞いていました。体がどうかなりそうになるほど辛く、薬もどんどん増え、足をバタつかせて苦しみました。」(p.73)

「しばらくして、医者の許可で薬がなくなりました。それから体調の良い日が続いたのです。」(p.73)

「今から思えば、すぐに薬をやめたことは間違いだと思いました。」(p.74)

「薬の量が違うんじゃないかとも不安がわきます。医者からは、一番いいと言われている妄想に効く薬一種類だけをもらっています。」(p.78)

「先生が「薬を出しましょうか?」と言ったけど、僕は精神の病気に抵抗があり、「薬はいりません」と断った」(p.93)

「ある日の夜、ノイローゼと薬の副作用で体がマヒして、あまり動けなくて、辛くなった。それで、前の病院の睡眠薬を全部のんで死のうとした。」(p.95)

「一番気になったのは、俺が薬を飲む時だった。一七歳の青年が薬を飲むというのは、俺の価値観からすれば、恥ずかしいことだった。」(p.103)

「結局、俺にとって、心を病むということは、薬を飲むこと。これに付ずいした、副作用と戦うことだった。」(p.103)

「心を病むとは、薬を飲んで、それでも就寝や起床が、規則正しくとれないことだと思った。」(p.104)

*作成:松枝 亜希子
UP:20071004 REV:20080624
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