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『汚染される身体――食品添加物・環境ホルモン・食物アレルギー』

山本 弘人 20040901 PHP研究所,253p.

last update:20111105

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■山本 弘人 20040901 『汚染される身体――食品添加物・環境ホルモン・食物アレルギー』,PHP研究所,253p. ISBN-10: 4569638317 ISBN-13: 978-4569638317 [amazon][kinokuniya] sjs


■出版社/著者からの内容紹介


現代人は毒物に囲まれて生きている!? ふだん口にする食物や薬によるアレルギーの害を報告。野放しにされている現状に警鐘を鳴らす。
私たちが何気なく口にしている食べ物が、突然、命を奪う“毒物”に変わる……。子どもたちを襲うアレルギーの悲劇や、相次ぐ偽装表示事件をきっかけに、「食」に対する不安が高まっている。しかし、問題は容易に解決できるほど楽観的ではない。
次々と認可される食品添加物。だが、それは安全性のお墨付きを意味しない。たとえ単独では無害とされる物質も、複合汚染の可能性がつきまとう。食卓には見えない“地雷”が埋まっているのだ。
野放しにされる食品・環境行政を前に、いかにして身を守るべきなのか。社会に警鐘を鳴らす一冊。
[内容]食物によるアナフィラキシー・ショックの症状/学校に通えない!――シックスクール症候群/外出もできない化学物質過敏症/未熟児が増えている!/「天然だから安全」とはいえない/薬にも使われている添加物/添加物がキレる若者を生む!?/化学物質の組み合わせで何が起こるのか/偽装表示に対する意識の食い違い

■内容(「BOOK」データベースより)


何気なく口にしている食べ物が、突然、命を奪う“毒物”に変わる…。子どもたちを襲うアレルギーの悲劇や、相次ぐ偽装表示事件をきっかけに、「食」に対する不安が高まっている。しかし、問題は容易に解決できるほど楽観的ではない。次々と認可される食品添加物。だが、それは安全性のお墨付きを意味しない。たとえ単独では無害とされる物質も、複合汚染の可能性がつきまとう。食卓には、見えない“地雷”が埋まっている。野放しにされる食品・環境行政を前に、いかにして身を守るべきか。社会に警鐘を鳴らす一冊。


■目次



第一章 日常に潜むアレルギーの恐怖
 コンビニで突然倒れた高校生  12
 チョコレートが命を奪う!?  13
 悪条件が重なっての突然死  15
 現代人は毒物に囲まれて生きている  16
 アナフィラキシー・ショックとはそもそも何か  18
 日常生活に潜む即時型アレルギーの危険  19
 食物によるアナフィラキシー・ショックの症状  22
 給食が危ない!  24
 食卓に仕掛けられた地雷  25
 激増するアレルギー人口  28
 大都市に健常者はめったにいない!?  29
 広がるシックハウス症候群  33
 学校に通えない!――シックスクール症候群  35
 文部科学省が定めた"あいまいな"ガイドライン  43
 何の歯止めにもならない法律改正  46
 疑わしきは罰せず!?  47
 外出もできない化学物質過敏症  49
 鈍感でないかぎりだれでもかかってしまう  51
 関心の高まりが深刻さの証明  53
 有害さは戦場なみ――殺虫剤の魔の手  55
 空飛ぶ毒物  57
 汚染される母体  59
 へその緒を通して胎児に伝わる環境ホルモン  62
 続々登場する環境ホルモンのニュースター  64
 未熟児が増えている!  66
 母親の飲んだビタミン剤で子どもが停留精巣に  68

第二章 隠された食品添加物のワナ
 ダイオキシン入りの母乳よりさらに危険な粉ミルク  72
 基準値はあるが……  74
 森永ヒ素ミルク事件の悲劇  77
 発ガン物質を長いあいだ認可していた旧厚生省  80
 認可は安全性のお墨付きとはならない!  81
 食品添加物は必要なものなのか?  83
 日本は食品添加物天国  87
 一生のあいだに約産三二〇キロを摂取!  89
 東京の母親は料理ができない  90
 「天然だから安全」とはいえない  92
 食品の成分表示は信じられるのか  94
 なんと外食には表示義務がない!  97
 続発する表示義務違反事件  99
 「食品添加物はできるだけ使用しない」方針を転換  100
 表示違反が止まらない背景  102
 コンビニ弁当から消えた保存料・合成着色料  104
 微量なら問題はないか  108
 一括表示の問題点――カラメル色素の場合  110
 薬にも使われている添加物  113
 「機能性食品」をめぐる対立  118
 薬害は生まれないか  120

第三章 化学物質が人間を狂わせる
 化学物質の二つの毒性  124
 発ガン二段階説  125
 アメリカが遵守するデラニー条項  127 
 出回る発ガン性添加物  129
 変異原性・催奇形性・遺伝毒性の恐怖  133
 安全性はどのように評価されるのか  135
 根拠のない「安全係数」  137
 「タンク車六六〇台分のトニックに、ジンを一滴たらした量」  140
 否定論も出てきたが  143
 添加物がキレる若者を生む!?  145
 複数の化学物質が関与しているとしたら……  150

第四章 複合汚染にさらされる人体と環境
 現代の「食べ合わせ」の主役は食品添加物  154
 添加物と反応する魚や肉の焦げ  156
 マーガリンとハムで思わぬ結果が  159
 サンドイッチは要注意!  160
 ソースをかけるときは慎重に  161
 コラーゲンは加熱に注意  162
 レモンティーは危ない!?  164
 紙容器からも環境ホルモンの流出が  165
 輸入野菜に潜む残留農薬  168
 中国だけが悪いのか?  169
 全国各地で発覚した無登録農薬  172
 魚介類の水銀汚染  175
 臭素化ダイオキシンを発生させる難燃剤  178
 魚を経由して取り込まれるダイオキシン  180
 カネミ油症事件で注目されたPCB  182
 たばこは有害成分のかたまり  183
 環境ホルモンを撒き散らすディーゼル排気ガス  186
 一+一は?  188
 化学物質の組み合わせで何が起こるのか  190

第五章 奪われた未来は取り戻せるか
 食品安全基本法の制定  194
 消費者になぜ安全性を確保する義務があるのか  196
 食品安全委員会の設置  197
 消費者の声が反映されない委員会  199
 食品衛生法の改正  200
 変革を迫られる各国の食品行政  202
 国境を越えた食品問題  207
 予防原則を明確化したEU  209
 小売企業の積極的な添加物対策  210
 食物アレルギー原因物質の表示制度  212
 偽装表示に対する意識の食い違い  214
 フェロシアン塩のスピード認可が示唆するもの  216
 欧米が使っているから安全といえるのか  218
 国際協調という名で続々と解禁される添加物  220
 規制緩和の盲点――コンビニ大衆薬の危険性  221
 大衆薬との賢いつきあい方  224
 スティーブンス・ジョンソン症候群  226
 薬どうしの相互作用が思わぬ結果を  229
 薬と食品との複合作用がもたらすもの  232
 後手にまわってきた添加物規制  234
 水俣病の教訓  238
 求められる真の「予防原則」  241
 「危険を疑うに足る証拠」  244

あとがき
おもな参考文献


■著者紹介(「奥付」より)


山本弘人[やまもと・ひろと]
 1957年生まれ。フリージャーナリスト。大学卒業後、複数の出版社を経て、アメリカの出版社発行のビジネス雑誌、法律雑誌の編集長を務める。
 その後、自身の子どもにアレルギーが発症したことから化学物質問題にも接近。ジャーナリズムの立場から、社会に警鐘を鳴らす。
 著書に 「食べるな!危ない添加物』(リヨン社)、『戦標のパテントマフィア』(共著、DHC)、また訳書として『中国台湾侵攻Xデー』(サリュート)などがある。


■SJSに関連する部分の引用



(pp224-229)
大衆薬との賢いつきあい方
 一方、二〇〇二年八月に、コンビニエンスストアなどが加盟する日本フランチャイズチェー[p225>ン協会が消費者を対象に行なった調査では、深夜のコンビニで扱ってほしい商品・サービスとして、「薬」 を挙げた人が七割を占めたという。
 しかし大衆薬ではあっても、消費者の体質や持病、ほかの薬との飲み合わせなどによって、副作用が起こる可能性は無視できない。薬の副作用で皮膚粘膜に異常が生じ、最悪の場合は失明や死亡に至る 「スティーブンス・ジョンソン症候群」 (後述) などは、国内では年間三〇〇件ほどが報告されているが、そのなかには大衆薬が原因ではないかと疑われるケースも、わずかであるが存在する。
 日本薬剤師会は、医薬品は専門的知識をもつ薬剤師の助言をもとに服用する必要があると主張しつづけている。患者団体からも、規制緩和によって危険性を指摘されている薬が買いやすくなったら、副作用被害が増える可能性がある、という批判が上がっている。
 一般的に大衆薬は、処方薬よりも副作用が少ないといわれる。しかし、報告がないわけではない。二〇〇三年五月、市販の風邪薬一六種類について、過去七年間で少なくとも二六人が重い肺炎を起こしたことがあるとわかり、厚生労働省が注意を呼びかけたこともある。
 前述したように、胃潰瘍の薬 「H2プロッカー」 を大量に飲んだ男性が、肝不全で死亡したという例も報告されたことがある。
 福島紀子・共立薬科大学助教授は、こうした大衆薬とのつきあい方のコツを次のようにアド[p226>バイスしている。
 ・説明書をよく読む。
 ・二、三日使ってもよくならないなら中止し、薬剤師に相談する。
 ・自己判断は禁物。症状が改善しなければ別の病気の可能性も。
 ・薬には多種類の成分が含まれている。持病やアレルギーで避けるべき成分名は覚える。
 ・子どもにはあくまで小児用を。成人用を少量使うのは避ける。
 ・ほかの薬を使っている場合は必ず薬剤師に相談する。
 ・かかりつけ薬剤師をもとう。

スティーブンス・ジョンソン症候群
 薬の副作用で皮膚に発疹ができることを 「薬疹」 という。そのなかでももっとも深刻なものが、前述の 「スティーブンス・ジョンソン症候群」 である。大衆薬が原因ではないかと指摘される病気の一つである。
 皮膚の症状のほか、目や口、陰部の粘膜のただれが現われることから、「皮膚粘膜眼症候群」 とも呼ばれる。初期症状はのどの痛みなどの風邪のような症状から始まり、全身のかゆみとともに皮膚に赤い発疹が現われ、高熱が出る。とくに唇や口腔粘膜がただれ、眼の充血が顕著に[p227>
 現れる。発疹が水庖(すいほう)に変化し、全身に広がると皮膚が剥げ、全身やけどのような状態になる。
 身近な薬が原因として疑われているにもかかわらず、一般にはあまり知られていないため、誤診や診断の遅れが原因となって重症化する場合もある。とりわけアレルギー体質の人や、過去に薬を服用して発疹が出た人は注意が必要だ。失明や肝臓障害などの後遺症が残ることがあり、重症化した患者の二〜三割が死亡する。
 同じ症状がより広範囲におよぶのが 「中毒性表皮壊死(えし)症」 である。中毒性表皮壊死症の九割以上は、スティーブンス・ジョンソン症候群の症状が全身に拡大し、悪化した 「進展型」 のものといわれている。残念ながら、医療関係者も患者も、これら二つの病気に対する認識は不足しているのが現状だ。
 どちらも、さまざまなウイルスや細菌による感染症、医薬品、食物、内分泌異常、悪性腫瘍、物理的刺激などによって起こるアレルギー性の皮膚反応と考えられているが、くわしいことはまだあまりわかっていない。医薬品が原因となる場合が多いとされており、スティーブンス・ジョンソン症候群の約六〇%、中毒性表皮壊死症の九〇%以上は薬が原因であるとの報告もあるという。発症メカニズムの詳細はまだ未解明だ。
 厚生労働省によると、二〇〇〇年四月一日から二〇〇一年三月三十一日までの一年間で、企業や医療機関から同省へ報告された副作用症例報告数は二万七六二三件あった。それらのうち[p228>スティーブンス・ジョンソン症候群もしくは中毒性表皮壊死症とされた報告は、約一・一%の三〇二件であり、そのうち一般用医薬品が原因として疑われる報告は八件であった。
 また、三〇二件のうち二四症例 (約八%) が何らかの後遺症を残し、同じく二四症例 (約八%) が医薬品が関連して死亡したとされる症例だったという。なお、これらの報告症例については重複症例があり、医薬品との因果関係が明確でない症例も含まれているという。
 原因として疑われると報告された医薬品は一三四成分である。一九九七年度から一九九九年度までの三年間では、二五九成分が報告された。抗てんかん薬、抗生物質、解熱鎮痛薬などが多いが、その数は七〇〇種類以上におよぶ。なかでも、二〇〇〇年度の厚生労働省の調査によると、スティーブンス・ジョンソン症候群の原因と推定される報告が多い薬は次のとおりである。
 ・痛風治療薬……アロプリノール
 ・抗てんかん薬……カルバマゼピン、ゾニサミド、フェニトイン
 ・抗生物質……アジスロマイシン水和物、塩酸セフカペンピボキシル、レボフロキサシン
 ・解熱鎮痛薬……ジクロフェナクナトリウム、サリチルアミド・アセトアミノフェン・無水カフェイン・メチレンジサリチル酸プロメタジンの配合剤
 ・潰瘍性大腸炎治療薬……サラゾスルファピリジン[p229>
 厚生労働省が風邪薬や解熱鎮痛薬のコンビニ販売を見送ったのは、とりあえず賢明だったと思われる。
 しかし二〇〇四年三月三十日、厚生労働省は薬剤師以外も大衆薬を取り扱うことができるよう、制度を大幅に見なおす方針を決めた。この方針は、近年、薬局以外に大型量販店内の薬店やチェーン店が増加し、営業時間が長くなってきたことにより、本来はつねにいなければならない薬剤師が、およそ二割の店ではいないまま医薬品が販売されているという現状に応じたものであるという。
 医薬品を副作用などの危険性に応じて分類し、効き目や副作用などの危険性が低い大衆薬については、薬剤師の資格に類する新しい資格をつくり、それをもつ人でも取り扱えるようにする。その一方で、効き目や危険性などが高い大衆薬は、薬剤師による説明をいままで以上に義務づけるように、現行の薬事法を改めるという。


*作成:植村 要
UP: 20110920 REV: 20111105
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