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『フリーター亡国論』

丸山 俊 20040729 ダイヤモンド社,185p.


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■丸山 俊 20040729 『フリーター亡国論』,ダイヤモンド社,185p. ISBN-10: 4478231346 ISBN-13: 978-4478231340 1200 [amazon]

■内容
(「BOOK」データベースより)
今や若者の5人に1人。「断崖の世代」を放っておいたら、日本がつぶれる。

(「MARC」データベースより)
フリーターとは何か、フリーターになる理由や増える理由、その暮らしぶり、社会におけるフリーターのプラスとマイナスについて分析し、フリーターの問題を 社会全体の問題として捉え、これから日本が進むべき道を考察する。

著者からのコメント
 本書のタイトル「フリーター亡国論」の文字をまず目にされた読者は、きっと「フリーターが国を亡ぼす」と思われたことでしょう。しかし、初めにお断りし ておこうと思います。本書の一貫したメッセージは、フリーターが国を亡ぼすのではなく、フリーターを生む社会が国を亡ぼす、というものです。どちらもフ リーター亡国論だが、その意味合いは180°違います。

 これまでのフリーターを巡る議論は、フリーター本人の意識レベルや価値観の問題として議論されることが多かったように思います。その結果、「フリーター になることはいいことだ」というフリーター肯定派と、「フリーターになることはいけないことだ」というフリーター否定派に分かれてしまい、フリーターを巡 る議論は百家争鳴といった状態となっています。フリーターの問題が個人の価値観の問題として議論されることを考えれば、意見が分かれるのは当然のことで す。

 しかし、確かな事実は、2001年にはフリーターの数が417万人に達し、主婦と学生を除く若者の5人に1人がフリーターになっていることです。そし て、所得の低いフリーターの急増が社会に無視できない影響を及ぼし始めています。もはや、フリーターの問題は、本人の問題としてだけでなく、社会全体の問 題として取り組む必要があります。

 読者の中には、フリーターである人もいれば、友人・知人がフリーターである人、兄弟・親戚がフリーターである人、息子・娘がフリーターである人もいるで しょう。この中には入らないという読者も、日常生活でフリーターを見かけないことはないでしょうし、今やフリーターのいない生活は成り立たなくなっていま す。消費者として安い商品・サービスを購入できるのも、正社員として高い賃金をもらえるのも、フリーターの犠牲によって成り立っているという面が多分にあ ります。

 しかしながら、少し乱暴な言い方をすると、消費者として、正社員として、立場の弱いフリーターを搾取し続けることは社会全体にとってプラスなのでしょう か。フリーターは無気力でも、無能でもありません。にもかかわらず、フリーターの待遇やキャリア、保障といったものは正社員のそれとは明らかに違います。 もちろん、そうかといって、社会にすっかり取り込まれてしまっているフリーターという働き方を完全に否定してしまうことはできませんし、意味がありませ ん。また、旧来の価値観にとらわれずに柔軟な働き方を望む若者も増えています。

 では、どうしたらいいのか、これが本書の最大のテーマです。本書では、しばしば正社員は働き者のアリに、フリーターは遊び人のキリギリスに喩えられま す。しかし、もともと人はアリ的な部分とキリギリス的な部分を持ちあわせているのではないでしょうか。働くときは働き、遊ぶときは遊ぶ生き方を「アリギリ ス」と言うそうです。「アリ」を前提とした社会でも、「キリギリス」を前提とした社会でもない、「アリギリス」を前提とした社会こそ、本書が目指す最終的 な社会の姿です。そして、そのためには、誰がどう変わらねばならないのかということについても本書は述べています。

 おそらく、最後まで読み進められた読者は、フリーターの問題とは、単に働かない、あるいは働けない若者の問題ではなく、ひとりひとりの働き方を巡る問題 であることに気付かれることと思います。それだけ、フリーターの増加が私たちひとりひとりに問い掛ける意味は重く、それにどう答えるかが問われています。 本書がその答えを見つけ出す一助となれば、これに代わる喜びはありません。

■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
丸山 俊
1978年埼玉県生まれ。2001年早稲田大学政治経済学部卒、三和総合研究所(現UFJ総合研究所)入社。エコノミストとして景気予測、マクロ経済分析 を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

まえがき
1章 フリーター社会の到来
 1 もう「個人の問題」では済まない
 2 フリーターを正しく理解する
 3 誰がフリーターになるのか
2章 なぜフリーターは増えるのか
 1 若者側の理由
 2 企業側の理由
 3 社会・経済環境の変化
 4 フリーター社会の未来予想図
3章 フリーターの暮らしぶり
 1 フリーターの所得
 2 フリーターの税金と保険料
 3 フリーターの消費
 4 フリーターの貯蓄
 5 フリーターの年金
4章 なぜフリーターが増えると悪いのか
 1 マイナスの影響
 2 プラスの影響
 3 プラスとマイナスどちらが大きいか
5章 フリーターで日本は亡びるのか
 1 悪いのはフリーターか、社会か
 2 変わり始めたフリーター
 3 変わらない企業
 4 おわりに

あとがき
参考文献


UP:20080116
「若年者雇用問題」文献表
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