『明治・大正・昭和 軍隊マニュアル』
一ノ瀬 俊也 20040720 光文社,光文社新書,217p.
last update:20111009
■一ノ瀬 俊也 20040720 『明治・大正・昭和 軍隊マニュアル』,光文社,光文社新書,217p. ISBN-10:4334032575 ISBN-13:978-4334032579 \735 [amazon]/[kinokuniya] ※ mw
■内容
出版社/著者からの内容紹介
入営者の心得、出征兵士への送辞例…マニュアルに見る当時の真の戦争観
明治期から太平洋戦争期にかけて、軍隊にまつわる「決まり文句」の数々を収録した軍隊「マニュアル」とも呼ぶべき本が多数出版された。これらは、出征する兵士が住んでいる村の幹部たちが行った激励の演説、それに応えて彼ら入営者が行う挨拶などを収録したもので、当時の書店でふつうに売られていた。
この軍隊「マニュアル」を読むと、軍隊という巨大な存在に対する当時の人々の迷いや不安、反抗心といった心のひだが透けて見える。本書は、徴兵・戦争という巨大な経験に、近代の人々がどう向かい合ってきたのかを、建前と本音の両面から、ひとつの通史として描く試みである。
■「軍隊は人生学校」
■「軍隊は出世の場」
■「兵士の食事は極めて栄養分に富んでいる」
■「兵士には名誉と金銭(恩給)が与えられる」
■「軍隊は楽なところ、別天地である」…
気持ちよくお国のために戦っていただくためのあの手この手の懐柔策
内容(「BOOK」データベースより)
明治期から太平洋戦争期にかけて、軍隊にまつわる「決まり文句」の数々を収録した軍隊「マニュアル」とも呼ぶべき本が多数出版された。これらは、出征する兵士が住んでいる村の幹部たちが行った激励の演説、それに応えて彼ら入営者が行う挨拶などを収録したもので、当時の書店でふつうに売られていた。この軍隊「マニュアル」を読むと、軍隊という巨大な存在に対する当時の人々の迷いや不安、反抗心といった心のひだが透けて見える。本書は、徴兵・戦争という巨大な経験に、近代の人々がどう向かい合ってきたのかを、建前と本音の両面から、ひとつの通史として描く試みである。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
一ノ瀬 俊也
1971年福岡県生まれ。98年九州大学大学院比較社会文化研究科博士後期課程中退。博士(比較社会文化)。現在、人間文化研究機構・国立歴史民俗博物館助手(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
はじめに
第一章 軍隊「マニュアル」の出現――明治一〇年代〜日清戦争期
徴兵令の通俗解説書
教科書による兵士教育
徴兵正当化の論理
軍隊は人生学校?
兵士が「書くべき」手紙――「軍人文範」の登場
日清戦争と弔辞「マニュアル」
国家の命運と自己のそれの一体現
【コラム1】兵士の一日
第二章 発達・多様化する「マニュアル」――日露戦争期
英露に対する敵愾心の昂揚
朝鮮人に対する根深い猜疑心
「徴兵忌避」の禁忌を浸透させるしかけ
兵士にとっての法律問題
戦場での死をどのように受容するか
「捕虜=禁忌」という観念
ロシア兵捕虜に向けられたまなざし
社会の輜重兵観
屈辱的な講和条件を受け入れた真相
"将来の潜在的敵"アメリカ
【コラム2】兵士の給料
第三章 平和な時代の「マニュアル」――日露戦後〜大正期
なぜロシアに勝てたのか
「捕虜になるくらいなら死ね」
負傷した戦友はどう扱うべきか
"裏マニュアル"で処世術を解く
「最後に物をいうのは学力」
社会的イメージを気にしはじめた軍
「父兄は兵士に送金すべからず」
兵士の食事は悪くない
作文を書くことで体制に順応していく
「軍隊=楽なところ」というイメージの流布
精神力重視主義の合理化
平和を謳歌した時期に登場した「玉砕」の語
【コラム3】兵士と死と遺骨
第四章 どろ沼の戦争と「マニュアル」――日中・太平洋戦争期
なぜアメリカと戦争をしなければならないのか
戦争に勝つ見込みはどう説明されていたのか
日中戦争を世界戦争の一部ととらえる認識
瞑想する敵愾心の矛先
あるべき銃後の女性像
凱旋のない戦争
遺書「マニュアル」の出現
おわりに
あとがき
参考文献
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:樋口 也寸志