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『人体の個人情報』

宇津木 伸・菅野 純夫・米本 昌平 編 20040625 日本評論社,288+xxvp.


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■宇津木 伸・菅野 純夫・米本 昌平 編 20040625 『人体の個人情報』,日本評論社,288+xxvp. ISBN-10: 4535514100 ISBN-13: 978-4535514102 3500 [amazon][kinokuniya] ※ r06 64hd g01

■内容

日経BP企画
人体の個人情報
 バイオテクノロジーの進歩により、個人の生物学的な情報が容易に得られるようになってきた。この「究極の個人情報」の悪用を防ぐべく、経済産業省、厚生労働省、文部科学省の3省では、ヒトの遺伝情報の取り扱い指針の見直しが現在、進められている。

 本書は、このような状況を理解するために必要な知識を提供する。個人の遺伝情報や疾患に関する情報の保護と利用のためのシステムを解説し、現状の問題点を指摘している。

 具体的には、過去の大規模疫学研究で生じたトラブル事例の紹介や、患者から提供された試料を用いた研究の成果を特許とする場合の問題点、再生医療と個人情報のかかわりなどを詳しくまとめている。また、ヒト遺伝情報の保護の法学的な解説と、生命倫理の研究者が作成した、研究対象者保護法の試案も掲載している。


(日経バイオビジネス 2004/09/01 Copyright(c)2001 日経BP企画..All rights reserved.)

内容(「BOOK」データベースより)
患者や被験者の個人情報保護のあり方とは?医学の進歩という「公益」が従うべきルールを多角的に考究する。

内容(「MARC」データベースより)
患者や被験者の個人情報保護のあり方とは? 医学の進歩という「公益」が従うべきルールを多角的に考究。地域がん登録からみた個人情報、研究対象者保護立法の意義と展望、ゲノム時代の遺伝研究と個人情報保護等の論文を収録。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
宇都木 伸
東海大学法科大学院教授

菅野 純夫
東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカルゲノム専攻教授

米本 昌平
科学技術文明研究所所長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

はじめに――医学研究と個人情報  坪井栄孝 p.iii
 1 ヘルシンキ宣言の改訂 p.iii
 2 個人情報保護法と日本医師会の取り組み p.iv
 3 医療情報は誰のものか p.vi
 4 診断現場からみた遺伝子情報 p.viii
 5 地域医療と個人情報 p.x
 6 いま、医療は p.xi

序 章 なぜいま「人体由来の個人情報」が問題なのか  河原ノリエ p.1
 1 はじめに p.1
    (1) 公益と人権の相克
    (2) 専門家に何が求められているか
 2 医療から研究へ p.3
    (1) 医学界と一般社会の常識と非常識
    (2) 遺伝子解析が個人情報集積に与えたインパクト
    (3) インフォームド・コンセントの現状
    (4) 「匿名化」の幻想
 3 公共の利益と疫学研究 p.7
    (1) 被爆者の追跡調査――がん登録の嚆矢
    (2) 「がん登録」の仕組みと実態
 4 コホート研究の光と影 p.13
    (1) 久山町研究から何を学ぶか
    (2) 熊野町の事件
 5 人体の資源化 p.19
    (1) 人間の身体から利潤が生まれる
    (2) モノ経済から情報経済へ
 6 私のカラダに特許がかかる? p.23
    (1) 由来者の権利
    (2) 医学情報と特許
 7 個人情報保護法の陥穽 p.28
    (1) 学術の除外規定への疑義
    (2) 迷走した個人情報保護法
 8 「人間の尊厳」というコンセプトの再構築 p.31

第T部 医療における個人情報

第1章 医療現場における診療情報とその管理  恒松由記子 p.36
 1 はじめに p.36
 2 医学の変遷と医学研究における医療情報 p.37
 3 標準的な診療録 p.41
    (1) 現代の診療録の書き方が生まれるまで
    (2) POMRの構造
 4 保護医療分野政策における最近の動向 p.43
    (1) 診療情報に関連した定義
    (2) わが国における保険医療分野のIT化の動き
    (3) 医療保険制度改革――特定機能病院におけるDPCの導入
    (4) 診療管理体制加算と診療情報管理士
 5 医療サービスの現場における診療情報の種類 p.47
 6 中央管理されていない医療情報 p.51
 7 紙ベースのカルテの構造 p.52
 8 病院情報システムと電子医療録システム p.53
 9 臨床検査情報と人体から離れた検体からの医療情報 p.55
 10 診療情報管理が整然とおこなわれている病院をたずねて p.57
 11 おわりに p.58

第2章 医療者と患者の間の医療情報  佐藤雄一郎 p.60
 はじめに p.60
 1 医療情報の利用の例 p.60
    (1) 感染症予防法による届出制度
    (2) 人口動態調査
 2 医療情報をめぐる法律の規定 p.63
    (1) 守秘義務・証言拒否権
    (2) 診療録保存義務
    (3) 診療録の開示、閲覧
    (4) 証拠保全手続、文書提出命令
 3 状況の変化 p.69
    (1) 疾病構造の変化と患者の積極的かかわりの必要性、協同作業性
    (2) 自己情報コントロール権
    (3) 情報の電子化
    (4) 診断技術の向上
 4 問題点 p.74

第3章 地域がん登録からみた個人情報  大島明 p.83
 1 地域がん登録の概容 p.83
 2 地域がん登録における個人識別指標の必要性 p.84
 3 地域がん登録の役割 p.85
    (1) がん罹患率の計測
    (2) がん患者の生存率の計測
    (3) 全国値の推計
    (4) 国際共同研究への参加
    (5) 対がん活動の評価
    (6) 疫学研究への応用
    (7) がん検診の有効性評価と精度管理
 4 地域がん登録事業と疫学研究にかんする倫理指針 p.93
 5 がん登録における機密保持 p.97
 6 地域がん登録事業と健康増進法および個人情報保護法 p.99
 7 米国と英国における地域がん登録の法的裏づけ p.101
    (1) 米国における地域がん登録
    (2) 英国における地域がん登録
 8 今後の課題 p.104
 9 追記 p.106

第U部 医学研究における個人情報

第4章 ポストシークエンス時代の医学研究と医療情報  菅野純夫 p.112
 1 はじめに p.112
 2 ヒトゲノムシークエンス解読と医学研究 p.113
 3 疾患関連遺伝子の探査 p.115
 4 サンプルの重要性 p.119
 5 医療情報と個人情報の保護 p.122
 6 おわりに p.124

第5章 医学研究における個人情報保護  丸山英二 p.127
 1 個人情報保護法 p.127
    (1) 旧法案までの経緯
    (2) 旧法案の概要と帰趨
    (3) 新法案とその可決
 2 人体情報の取扱いに関する基本的原則 p.131
 3 医学・生命科学研究の関する政府指針とヘルシンキ宣言 p.132
    (1) 人体情報の取得に対するインフォームド・コンセント
    (2) 守秘・個人情報保護
    (3) 本人および第三者に対する開示
 4 カルテ情報の疫学研究利用 p.143
 5 結びにかえて p.147

第6章 個人情報の研究利用――人体理解の一形態としてのゲノム研究は個人情報で成り立つ  増井徹 p.151
 1 はじめに p.151
 2 感染症の時代から生活習慣病の社会へ
   ――周りの気になる病気から個人の病気へ p.152
 3 他者からの情報への依存 p.153
 4 ゲノム研究の位置づけ p.155
 5 ゲノム研究――ゲノム情報による人集団のグループ化 p.155
 6 ゲノム研究を売り込む p.156
 7 まるのままの人のからだを覗う試み p.157
 8 動物との相似性から人体の理解 p.158
 9 体の一部から全体の理解へ p.159
 10 分子からの体の理解 p.160
 11 情報による人の理解 p.160
 12 ヒトゲノムプロジェクトの意味するもの p.162
 13 ゲノム情報の性質 p.162
 14 ゲノム型と表現型の距離 p.164
 15 ゲノム情報の問題を「リスク」として捉えることができるのか p.165
 16 ゲノム研究は市民の個人情報の保護と利用の枠組みの上に成り立つ p.166
 17 英国での動き p.167
 18 逆風の中での計画進行 p.169
 19 病歴の研究利用について p.172
 20 日本でのゲノム研究指針の動き p.174
 21 学問領域での除外と研究専門家の自律 p.175
 22 ゲノムコホート研究が要請するもの p.178
 23 英国との比較において p.178
 24 おわりに p.178

第7章 研究対象者保護立法の意義と展望――「研究対象者保護法要綱試案」における人情報研究の扱いについて  光石忠敬 p.182
 1 はじめに p.182
 2 人情報研究の位置づけ p.184
    (1) ヘルシンキ宣言の「医学研究」
    (2) ヘルシンキ宣言の整理における問題点
 3 人情報研究の新しい活用 p.185
 4 診療情報に対する患者のコントロール p.186
    (1) 守秘義務による情報保護の限界
    (2) ゲノム情報の性質
    (3) 情報セキュリティ
 5 プライバシー侵害事例 p.188
    (1) ケース・スタディ
    (2) 問題点
 6 憲法に照らしてみた人情報研究 p.190
    (1) 研究の自由とその制限
    (2) プライバシー権の制限
 7 国際人権法に照らしてみた人情報研究 p.191
    (1) OECD8原則
    (2) EU指令
    (3) アメリカのHIPAA法にもとづくプライバシー・ルール
 8 現行法における人情報研究 p.195
    (1) 刑法
    (2) 民法
    (3) 個人情報保護法
    (4) 現行法制
 9 試案 p.197
    (1) 試案の主な特徴
    (2) 試案の適用対象
    (3) 試案(本文および考察)
    (4) 医療全般に関する個人情報保護法制との相互関係の制度設計

第V部 資源化される個人情報

第8章 人由来物質と個人医療情報  宇津木伸 p.208
 1 医学研究にとっての資料 p.208
    (1) 本稿の課題
    (2) 人由来物質をめぐる法的・制度的状況
    (3) 医療情報をめぐる法制度的状況
 2 ヘルシンキ宣言と人由来物質・情報 p.213
    (1) ヘルシンキ宣言と2000年改訂
    (2) 人由来物質およびデータの特殊性
 3 モノの情報の「贈与」「取得」ということ p.219
    (1) 人由来物質を研究の場に持ち来たらせる過程について
    (2) 情報の取得
 4 保存と使用のために――包括的承諾論 p.223
    (1) バンクというもの
    (2) バンクが本質的に抱える矛盾
 5 よりよい研究環境の整備のために p.227
    (1) R v Department of Health, ex parte Source Informamtics Ltd.
    (2) 研究における倫理の重要性
 6 まとめに代えて p.230

第9章 個人情報と産業  三宅淳・金村米博 p.236
 1 はじめに p.246
 2 海外における再生医療の研究開発と産業化の現状 p.237
    (1) 海外における再生医療の研究開発動向
    (2) 海外における再生医療の産業化の歴史とその現状
    (3) 法規制、ガイドラインの整備および研究開発を推進する国家的な取組み
 3 日本における再生医療の産業化の現状 p.239
 4 再生医療の産業化の方向性と今後の問題点 p.240
    (1) 自家か同種か?
    (2) トランスレーショナルリサーチの必要性と品質管理
    (3) 研究開発費の投資と知的所有権
 5 再生医療にかかわる倫理と個人情報の保護 p.243
    (1) 概要
    (2) 再生医療と個人情報とのかかわり

第10章 科学技術政策と個人情報  牧山康志 p.248
 1 生命科学技術政策の現状 p.248
    (1) 生命科学技術の急速な進展と人間・社会への影響、
      そして生命科学技術の一環としての社会科学研究
    (2) 科学技術基本計画ならびにバイオテクノロジー戦略大綱における
      ライフサイエンスの位置づけと生命倫理問題・個人情報保護
    (3) 生命科学技術政策と個人情報との接点
    (4) ヒトゲノム遺伝情報における科学技術の展開
      ――国際ヒトゲノムプロジェクト
    (5) ポストゲノムプロジェクト政策における個人情報
      ――テーラーメイド医療実現化プロジェクトを例に
    (6) プロジェクトにおける個人情報の取扱い
    (7) プロジェクトのあり方を概観する
      ――全体構想と実施体制における今後の課題
    (8) 「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」
    (9) 個人情報保護とインフォームド・コンセント
 2 生命科学技術と試料・情報提供者の個人情報の取扱いに係る政策 p.262
    (1) 諸外国の状況――法律にもとづいて設置される専門的管理機関
    (2) フランスにおける個人情報管理機関
    (3) わが国における規制を考える――何をどのように規制するか
    (4) 法律とガイドラインの関係
    (5) 法律とガイドラインを両立させるシステムにおける
      許認可機能を有する管理機関の役割
 3 生命科学技術の臨床応用とフォローアップ p.271
    (1) 科学技術の不確定性の問題
    (2) 「生まれる子の福祉」の視点
 4 おわりに p.274

終 章 ゲノム時代の遺伝研究と個人情報保護  米本昌平 p.277
 1 科学革命としてのヒトゲノム解読 p.277
 2 20世紀型生命倫理の論理とその限界 p.279
 3 情報化社会の展開とEUの機能 p.281
 4 日本が取り組むべき課題 p.283

おわりに  河原ノリエ p.287

■引用

■書評・紹介

■言及

◆立岩 真也 2013 『私的所有論 第2版』,生活書院・文庫版


*作成:野口 陽平 
UP:20081204 REV:20090812, 20130302
米本 昌平  ◇患者の権利/インフォームド・コンセント  ◇ヘルシンキ宣言  ◇遺伝子…  ◇本:遺伝子/ヒト細胞・組織/ES細胞/クローン…  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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