『高齢社会のケアサイエンス――老いと介護のセイフティネット』
筒井 孝子 20040620 中央法規出版,266p.
■筒井 孝子 20040620 『高齢社会のケアサイエンス――老いと介護のセイフティネット』,中央法規出版,266p. ISBN-10: 4805824670 ISBN-13: 978-4805824672 \3150 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
本書では、「老い」という貴重な期間を自立して過ごすために、必要と考えられ整備されつつある新たなセイフティネットについて紹介し、その実態と問題を論述している。
すなわち、介護者の介護負担感について、実証的なデータを用いて構造化し、その内容を分析することによって、介護者は、具体的には、何によって介護負担を感じるのか、また、この介護負担感を軽減するためには、どのような方策があるかについて検討した結果を述べている。
■目次
推薦の言葉
はじめに
本書の目的と構成
序章 家族・世間・社会の変容と高齢者介護の現状
第1節 「社会による介護」と高齢者像の変容
第2節 「家族における個人化」がもたらす高齢期におけるセイフティネット
第3節 「世間」から「社会」へ
第1部 要介護高齢者の特徴と介護負担の構造が示す在宅生活の実際
第1章 要介護高齢者の在宅での生活
第1節 在宅で介護を受けている高齢者の生活―実態把握の現状
第2節 研究の目的、方法
第3節 介護の状況と介護保険サービス等の利用状況
第4節 家族による介護の内容と介護サービスの利用
第5節 要介護度別の介護保険サービス利用の特徴
第6節 痴呆性高齢者とその他の高齢者との介護内容の比較
第7節 要介護認定の調査方法論上の問題
第8節 在宅介護の調査方法論上の問題
第9節 在宅における痴呆性高齢者に対する介護の実態
第10節 「運動機能が低下していない痴呆性高齢者」に対する要介護度の変更に関する問題
第11節 家族の介護の実態と介護負担との関係
第2章 人々は、「痴呆症状」をどのように認識しているのだろうか?――痴呆の認知および身体機能と問題行動の関連性
第1節 要介護認定における一時判定ロジックの変更は、誰のために実施されたのか?
第2節 痴呆性高齢者の増加の根拠となっている「痴呆性高齢者の判断基準」の曖昧さ
第3節 研究の目的、方法
第4節 問題行動、認知機能、身体機能の得点分布
第5節 「痴呆」に関する因子モデルの適合度の検討
第6節 「認知機能」「身体機能」「問題行動」の相互の関連性
第7節 痴呆を概念化するモデルの構築
第3章 家族の介護負担を評価する意味と評価尺度の考え方
第1節 要介護高齢者に対する家族員の介護負担感の性格の測定のために
第2節 研究の目的、方法
第3節 家族が介護に負担を感じる原因は何か
第4節 「介護負担感モデル」の検討
第5節 介護負担感と介護者の属性との関連性
第6節 介護負担感評価尺度の利用
第7節 介護が家族に及ぼすネガティブな影響の構造
第4章 在宅で生活する痴呆性高齢者の経年的変化と利用した介護保険サービス
第1節 痴呆性高齢者に対する介護の課題
第2節 研究の目的、方法
第3節 高齢者の状態像の経年的変化
第4節 問題行動有無別介護サービスの提供実態
第5節 痴呆性高齢者の経年的変化と介護サービスの提供状況
第6節 痴呆性高齢者の経年的変化と家族の介護負担感との関係
第7節 介護保険制度における「高齢者の立場」
第2部 「世間」を超えて、「社会」で生きるための仕組み
第5章 家族が介護を放棄するとき――社会問題となった高齢者虐待
第1節 児童虐待との比較からみた高齢者虐待への対応の難しさ
第2節 高齢者虐待に関する研究の種類と年代別の推移
第3節 高齢者虐待の定義や実態把握に用いられる高齢者虐待分類とその内容
第4節 わが国の高齢者虐待に関する調査研究における虐待の定義とその内容
第5節 日本における高齢者虐待調査研究における問題
第6節 高齢者虐待の定義のあり方
第7節 高齢期の安全確保のためのマネジメント
第6章 高齢期のセイフティネット
第1節 介護保険制度が始めた契約がつくる世界とは
第2節 成年後見制度による高齢期の生活支援
第3節 任意後見制度とは
第4節 地域福祉権利擁護事業とは
第5節 地域福祉権利擁護事業の対象者および援助内容
第6節 介護保険制度と成年後見制度および地域福祉権利擁護事業との関係
第7節 「制度としての権利擁護」の必要性
第7章 地域福祉権利擁護事業の実態
第1節 介護保険制度と地域福祉権利擁護事業の関係
第2節 研究の目的、方法
第3節 分析データの概要
第4節 介護保険担当課の「地域福祉権利擁護事業」の認知度および情報入手経路
第5節 介護保険担当課における相談業務の実績について
第6節 介護保険担当課の実態と他機関への協力依頼の状況
第7節 介護保険担当課における地域福祉権利擁護事業の連携の実態
第8章 地域福祉権利擁護事業を利用している人々
第1節 地域福祉権利擁護事業の対象となった事例の特徴
第2節 事例となった世帯の社会的支援の状況と権利侵害の実態
第3節 相談経路別の事例の特徴について
第4節 地域福祉権利擁護事業の利用者と市町村および基幹的社会福祉協議会の具体的な対応
第5節 介護保険担当課との連携状況
第6節 最初の相談から基幹的社会福祉協議会による地域福祉権利擁護事業利用までの経路
第7節 基幹的社会福祉協議会の利用が示す老親扶養の実態
第3部 安心な社会システムの構築をめざして――「公」サービスの向上は、評価と情報公開から
第9章 基幹的社会福祉協議会の専門員の連携活動能力および連携機関、連携職種の有用性の評価――平成14年度全国調査結果から
第1節 連携活動をどのように評価すべきか
第2節 研究の目的、方法
第3節 収集されたデータの概要
第4節 他の関係機関および専門職種との連携の有無および有用性
第5節 「他職種との連携にかかる有用性に関する評価尺度」の開発
第6節 専門員における関係機関および他職種との連携実態
第10章 「連携活動評価尺度」の開発
第1節 専門員の連携活動を評価する必要性
第2節 研究の目的、方法
第3節 専門員の特徴
第4節 連携活動の内容
第5節 「連携活動尺度」の開発
第6節 「連携活動能力」評価得点に関する分析
第7節 地域福祉権利擁護事業が利用されるために
第11章 介護保険制度における「質の高い介護サービス」
第1節 介護サービスの質の向上における高齢者の役割
第2節 研究の目的、方法
第3節 介護予防と質が高いサービス
第4節 要介護度の推移を予測するモデルの開発――介護予防を進めるために
第5節 利用者審査制度の導入に関して
第6節 要介護度の悪化を予防する管理「介護管理」とは
終章 「神話」を超えた、老いがいのある社会とは
第1節 家族による介護の限界の理由
第2節 「神話」を語る人々
第3節 神話の崩壊を求めて
第4節 「老いがい」のある場所と、「goog death」
第5節 神話を超えて
おわりに
謝辞
索引
著者紹介
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:三野 宏治