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『ライフ・サイクルと社会保障・福祉――生・労・老・死の投資と収益』

岡崎 昭・萱沼 美香 20040530 晃洋書房,249p.

last update:20100720

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■岡崎 昭・萱沼 美香 20040530 『ライフ・サイクルと社会保障・福祉――生・労・老・死の投資と収益』,晃洋書房,249p. ISBN-10:4771015597 ISBN-13:9784771015593  \3000 [amazon][kinokuniya] ※ e05

■内容

個人は、生・労・老・死を通じて、日常生活上の様々なリスクや、長命のリスクに対処するため、自助努力はもとより、様々な社会的仕組みを利用し、それに必要な費用を租税や社会保険料で負担している。しかし、自助努力には限界があり、個人がライフ・サイクルを通じて、社会保障制度や福祉サービスに依存しながら、社会的リスクに対応しなければならない機会が増えている。本書は、個人が生涯を通じて出会う社会保障制度や福祉サービスを、単なる制度論ではなく多角的に議論している。(「BOOK」データベースより)

■目次

第1章 個人のライフ・サイクルと投資・選択行動
第2章 ライフ・サイクルと社会保障の現状と課題
第3章 胎児から就学終了まで
第4章 若年勤労時代の仕事と社会保障・福祉
第5章 中・高年勤労時代――税と雇用
第6章 相互扶助機能の変容と社会保障機能の多様化
第7章 ライフ・サイクルと福祉サービス
第8章 高齢・退職時代と人生の黄昏・終焉

■引用

◇ライフサイクルと社会保障
「個人が「生・労・老・死」、すなわち、この世に生を得て、幼・少時代からの学校生活を体験し、一般には、40年前後に及ぶ労働時間を終えた後、静かに老齢期を過し、やがて死と対面するという80数年にわたる人生行路においては、多種多様な「投資」機会と、かなりリスクの高い「回収」というチャンスに恵まれることになる。」(1)
「長い人生航路を歩む個人は多種多様なリスクに囲まれ、「一寸先は闇」だといわれているが、いつ暗闇に立たされても行き先を見失わないよう、人々は「自助」「共助(互助)」「公助」という3つの明かり(灯火)に導かれ、社会保障プログラムを通じて、生活の安全が維持されている」(1)

◇公費負担と社会保険
「社会保障施策の中には、公的扶助・各種の社会福祉サービスのように、最初から社会保険方式に馴染まないものが含まれている」(15)
「社会保険方式の下で、社会保険料という特性を持つ費用負担は、給付に対し直接明確な対応関係を持つのに対し、公費負担方式の場合は、かなり不明確であり、個人の費用意識を重視すれば、社会保険方式が優っていると言える。ただし、被用者保険における事業主負担は、被用者の意識にはのぼらないのが普通であろう。」(16)
「しかし、最近では、社会保障の機能・役割も個々人の生活様式の多様化に伴い、大きく変わろうとしており、これまでの20世紀型の社会保障=社会保険の図式では、個人生活上のリスクへの対応が困難になってきている。これらに自己資金を適当にミックスした組み合わせが重視され、一つが突出するのは好ましくないと考えられる」(16)

◇最適ライフサイクル/異時点間再分配
「あらかじめ、個人が将来の最適進路を念頭に置き、生活設計を行う場合、その個人の過去の生活や現在の生活水準の制約を全く無視して、行動することは非常に困難である。」(26)
「パソコンを媒介とする情報の収集により、個人は平均余命を考慮しながら、健康保険等を活用し、自らの家族の@健康管理を行うことができる。」(26)
「さらに個人は、最後のライフステージに備えて、D遺産計画を立案し、誰に・何を・どの程度残すかという資産配分と、そのために望ましい資産構成、及びその管理・運営を自らやるのか、第三者に委託するのか、などが重要課題となる。」(27)
「ライフ・サイクルを通じて、個人の生活と密着しているのは、普遍主義に基づき社会化され、主として社会保険方式を用いている各制度であると考えている。中でも、誕生前から死亡までをカバーしている医療保険、20歳から強制的積立貯蓄の性格が強い保険料を負担し、政府のパターナリズムに基づき、最長45年間という異時点間所得再分配を基本として目指す公的年金等は、いずれも最も生活密着型の社会保険となっている」(31)
 

■書評・紹介

■言及



*作成:角崎 洋平
UP: 20100720 REV:
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