『取調室の心理学』
浜田 寿美男 20040514 平凡社新書,210p.
last update:20111026
■浜田 寿美男 20040514 『取調室の心理学』,平凡社新書,210p. ISBN-10:4582852262 ISBN-13:978-4582852264 \735 [amazon]/[kinokuniya] ※ c01 c0106 c0111 i011979
■内容
内容(「BOOK」データベースより)
本書で扱うのは「冤罪の過ち」である。なぜ被疑者・被告人はやってもいないことを「やった」と言ってしまうのだろうか。なぜ私たちはその「嘘」を見抜けないのだろうか。「過ちの現場」となる取調室で何が起こっているのだろうか。心理学者として供術証拠の真偽を鑑定してきた著者が探る「取調室の謎」と「過ちの構造」。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
浜田 寿美男
1947年香川県生まれ。京都大学大学院文学研究科(心理学)博士課程修了。専攻は発達心理学および法心理学。現在、奈良女子大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
はじめに
泥沼の刑事裁判
二つの過ち
取調室という現場
第1章 取調室の謎――広島港フェリー甲板長殺し事件
1 新聞報道の背後で
自白そして逮捕
三年半後の無罪
ブラックボックスのなかの取調室
2 手書きの自供書
「甲板長殺し預金奪う」
Fさんが疑われたわけ
一時間四〇分で全面自白に落ちて
手書きの上申書
3 無知の暴露
石手川丸はそこに停泊していなかった
真犯人の間違いとはいえない
真犯人の嘘か、無実の人の想像の産物か
死体はどこまで漂流できるか
無知の暴露
事故、あるいは自殺の可能性
4 Fさんという人
自白と否認の並行
Fさんの人柄
迎合性テストと被暗示性テスト
Fさんは取調官の尋問の圧力にどこまで抵抗できたか
取調室の謎
第2章 確信が証拠を生み出す――小さな事件から
1 無実の被疑者を追い詰める構図
証拠なき確信
誤った指紋鑑定
自ら書いた自供書
現場検証と自白調書
マインドコントロールと同じ構図
鑑識の重大な問題
2 生み出される「過去」――日常のなかの事件
事件なき冤罪
作られた記憶
ことばは嘘をつく
3 「過去」とは何なのか
家庭教師のわいせつな事件
不安が疑惑を生み、疑惑はやがて確信になる
ことばと「過去」の世界
それでもなお問うべきこと
第3章 「証拠なき確信」に巻き込まれた画家――帝銀事件
1 戦後最大の毒殺事件
最初は小さな疑惑から
帝銀事件とは
未遂事件と目撃者
毒物
未遂事件で残された名刺
2 疑惑が確信を生み、確信が証拠を作り出す
平沢さんへの疑惑
平沢さんの逮捕
クロ心証を決定づけた日本堂事件
平沢さんの自白
自白のなかの嘘
3 歪められる記憶――目撃証言はどのようにして変遷するのか
目撃供述
「似ている」ということ
汚染されやすい人間の記憶
4 支店長代理の目撃供述
Y氏の目撃供述を追う
薄氷のような記憶
「犯人と断定して間違いありません」
手の記憶
心理過程に触れない裁判所の認定
取調室の謎が暴かれないかぎり
第4章 知的障害の男が舞台に押し上げられて――野田事件(1)
1 陰惨な少女わいせつ殺人事件
無実を訴えることの難しい人
証拠偽造の疑い
事件の発生
竹林のなかで発見された遺体
2 青山正さんの逮捕
流布された「変質者犯行説」
逮捕の根拠――乾電池
カバンと衣類の発見の奇妙さ
いくつもの物証
3 カバン布片の謎
切り取られた布片
自白の経緯
布片の発見
裁判のなりゆき
自白鑑定の依頼
録音テープの存在
獄中すでに一〇年
第5章 証拠偽造の疑惑――野田事件(2)
1 取調室のすき間から洩れ見えたもの
布片発見の日の録音テープ
問題の布片はなかった!?
押収物の貸し出し
それでも「有罪」
2 証拠偽造の可能性
証拠偽造への誘惑
偽造の手口
立証の難しさ
警察官・検察官の犯罪
3 自白と訴訟能力
青山さんの自白について
青山さんの意地
新聞広告切り抜きの謎
訴訟能力の有無と精神鑑定書
4 法廷は取調室の謎を解き明かすことができたか
裁判長の誘導尋問
「ほんとうはボク、殺したんじゃねえもの」
野田事件とは何だったのか
「やっちゃったの商売」
現実に目を凝らして
あとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:樋口 也寸志