HOME > BOOK >

『痴呆老人が創造する世界』

阿保 順子 200402 岩波書店,207p.

last update: 20130527

このHP経由で購入すると寄付されます

■阿保 順子 200402 『痴呆老人が創造する世界』,岩波書店,207p. ISBN-10: 4000238213 ISBN-13: 978-4000238212 欠品 [amazon][kinokuniya] ※:[広田氏蔵書] w/aj03, a06, b01, m

■内容

内容(「BOOK」データベースより)
本格的な高齢社会到来で、認知症の人々は増えていくと予測されている。彼ら、彼女らは、どのような世界を創りあげているのだろうか。認知症の介護施設で、看護職の著者が出会ったお年寄りたちの暮らしを細やかに再現することにより、何を大切にしているのか、人間関係のありかたは、過去と今の生活をどのように結びつけているのかを解き明かしていく。

内容(「MARC」データベースより)
痴呆のお年よりは何を大切にし、どういった人間関係を築くのか。彼らは過去と今の生活をどのように結びつけているのか。著者が長年にわたって見聞きした病棟での彼らの暮らしを細やかに再現し、その世界を解き明かしていく。

著者からのコメント(kinokuniya web store より)
この本は、看護師のための専門書ではありません。専門職であるなしにかかわらず、より多くの方々に、痴呆老人の世界を知っていただきたいという思いからまとめた本です。
 一人の人間が、他の人間に起こっていることを理解するとはどういうことでしょうか。他の人々の体験を、自分自身のこれまでの生活体験に引き寄せて考えてみることで、多少は理解できると思います。看護を専門とする私は、病んでいる人々を理解することは、看護の基本であると考えています。ですが、私たちの日常的な体験から想像してみることが不可能だと思える事態に陥っている人々を理解することは、とても難しいのです。痴呆老人や終末期、あるいは精神病を煩っている人々の看護は、そういった困難を伴う看護の代表例です。当事者たちから見えている世界に添ってみないと、彼らの心も体も行動も理解できないし、理解できないと看護はうまくいきません。そういった、一人の看護師としての思いが、まずはこの本を著そうとした理由の一つです。
 一般的に、この本の主人公である痴呆老人をめぐっては、痴呆老人自身も、また彼らを介護する人々も、重い荷を背負っていると考えられています。このことは、一面の事実であります。どちらも不本意な事態として捉えている場合が多いからです。そして、人間は、いつも心のどこかで、背負っている荷を降ろしたいと願っていると思います。本書のあとがきに記した、「人は何度でも生まれかわることができる」という、私の敬愛する先生がおっしゃった言葉の意味は、きっと背負っている荷の意味をどのように転換できるか、あるいはどうやって背負っていこうとするのか、ということなのではないかと思います。痴呆ではありませんでしたが、私は、3人の身内を看取ってきました。どれも満足のいくものではありませんでした。澱のような後悔が気持ちの底に溜まっています。どこかで、私も、「看取りにおける悔い」という荷を降ろしたいという気持ちが働いていたと思います。これが、この本を著そうと思ったもう一つの理由です。
 本書を著し、痴呆老人たちと向き合えたことによって、今の自分の在りように、ちょっとした安息と希望と勇気が与えられたように思います。そして、もう一度別な生き方を探してみようと思うようになりました。多くの方々に読んでいただければ幸いです。

■目次

■著者紹介

阿保順子(あぼ・じゅんこ)
1949年弘前市に生まれる。1970年日本赤十字中央女子短期大学(現在の日本赤十字看護大学)卒業、同年より日本赤十字中央病院などに看護師として勤務。その後、厚生病院附属高等看護学院に看護教員として勤務。在任中の1979年、慶応義塾大学通信教育部を卒業。1981年より弘前大学医療技術短期大学部看護学科非常勤講師。その間1992年弘前大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1993年より東日本学園大学(現在の北海道医療大学)看護福祉学部に勤務。現在、北海道医療大学看護福祉学部教授

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:三野 宏治 更新:能勢 桂介小川 浩史
UP: 20091110 REV:20110731, 20130527
阿保 順子  ◇老い  ◇ぼけ・ぼける・痴呆・認知症  ◇精神障害/精神医療  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME (http://www.arsvi.com)