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『福祉の公共哲学』
塩野谷 祐一・鈴村 興太郎・後藤 玲子 編 20040116
東京大学出版会,公共哲学叢書5,336p. ISBN 4-13-051119-X 4410
福祉国家の規範と公共性に関するシンポジュム
このHP経由で購入すると寄付されます
■塩野谷 祐一・鈴村 興太郎・後藤 玲子 編 20040116 『福祉の公共哲学』,東京大学出版会,公共哲学叢書5,336p. ISBN 4-13-051119-X 4410 ※
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■内容説明([bk1])
社会保障を中核とする福祉国家・福祉社会の「制度」と「理念」はどうあり、どうあるべきか。ロールズ、セン、ドゥオーキン、ノージック、ハイエクなどの規範理論の対立的構図を乗り越え、福祉国家システム像の再構築をめざす。
■著者紹介([bk1])
〈塩野谷〉1932年生まれ。一橋大学名誉教授。経済哲学専攻。
〈鈴村〉1944年生まれ。一橋大学経済研究所教授。厚生経済学専攻。
■著者・出版社コメント([bk1])
出版社からのオススメ 販売部 こや 2004/02/14
異なる見解をもつ規範理論の討議を通じて,福祉国家を支える規範とそれを実現する社会保障システムのあるべき姿を探ることを目的とし,現存する福祉国家を支えている表層的には対立的な諸規範と多様なシステムのなかから,それらを整合化する観点を探る
◇以下、東京大学出版会のHPより
http://www.utp.or.jp/shelf/200401/051119.html
塩野谷祐一・鈴村興太郎・後藤玲子編
『福祉の公共哲学』
公共哲学叢書5
A5判 336頁 本体価格 4200円
ISBN 4-13-051119-X
異なる見解をもつ規範理論の討議を通じて,福祉国家を支える規範とそれを実現する社会保障システムのあるべき姿を探ることを目的とし,現存する福祉国家を支えている表層的には対立的な諸規範と多様なシステムのなかから,それらを整合化する観点を探る.
■主要目次
第1章 社会保障論の公共哲学的考察(山脇直司)
第2章 二つの「方法論争」と福祉国家(塩野谷祐一)
第3章 ロールズの正義論と福祉国家(塩野谷祐一)
第4章 ロールズにおける「福祉国家」と「財産所有制民主主義」(
渡辺幹雄
)
第5章 センの潜在能力アプローチと福祉国家システムの構想(鈴村興太郎)
第6章 ハイエクと社会福祉(嶋津 格)
第7章 ロナルド・ドゥオーキンの倫理的責任論(長谷川晃)
第8章 リバタリアンが福祉国家を批判する理由(
森村 進
)
第9章 分配論の構図(
立岩真也
)
第10章 福祉にとっての平等理論(盛山和夫)
第11章 福祉国家の改革原理(
新川敏光
)
第12章 就労・福祉・ワークフェア(宮本太郎)
第13章 福祉国家とケアの倫理(今田高俊)
第14章 正義とケア(
後藤玲子
)
補論1 福祉公共哲学をめぐる方法論的対立(小林正弥)
補論2 規範理論の整合化と重層的福祉保障の構想(
後藤玲子
)
*立岩がこの本に書いた文章(第9章「分配論の構図」)そのものは、立岩
『自由の平等』
序章の本文とほぼ同じです☆01。 この刊行に合わせた
シンポジゥム
が開催されることになり、私も参席することになります。→しました※
※2004/02/15
「福祉国家の規範と公共性に関するシンポジュムのためのメモ」
(配付資料)
福祉国家の規範と公共性に関するシンポジュム
於:立命館大学
例えば塩野谷祐一氏の論(第3章「ロールズの正義論と福祉国家」)は、私が『自由の平等』第3章で限界があるとしたものです☆02。他方、盛山和夫氏の
Dworkin, Ronald
についての言及には同書第4章で私が述べたところと重なる部分があります。等。
☆01 序章・注01「この章の本文は[2004a]とほぼ同じ。[2004a]が収録されている塩野谷他編[2004]は、国立社会保障・人口問題研究所の研究プロジェクトを受けた『季刊社会保障研究』[2002]を踏まえて編まれた。その号に掲載された私の文章[2002e]はやはりこれまでの作業の概要と今後の課題を列挙するといった性格のもので、こちらは若干の加筆・修正を施した上で山口他編[2003]に同じ題の文章[2003c]として収録されている。また[2002c]をもとに立命館大学の公共研究会で報告した記録として[2002d]があり、ホームページに掲載した版は質問への応答などを含み[2002e]の倍程の分量がある。[…]」
☆02 第3章・注04「社会福祉・社会保障を贈与でなく保険と捉える考えの限界について[1995a:230-231][2000a:(上)70-71](「自分のためにという説明の効力とその限界」)で述べた。公的年金保険・医療保険を正当化する経済学の論では、非加入者の医療や生活を結局税金で賄わなくてはならなくなること、そして非加入者はただ乗りの利益を得てしまうことが言われるが(島田・清家[1992:173]、橘[2000:84][2002:147]、等)、それは公的扶助等の社会的分配の存在を既に前提して言えることであり――むろんその限りでは当たっている――社会的分配そのものを正当化する理由にはならないこと等を述べた。
[…]
原初状態における社会契約について言われていることを現実を持ち出して批判すべきでないという主張は塩野谷[1984:446]にも見られる。しかし、この主張と同時に当人のリスクを基底に置いて社会保障・福祉を正当化しようとするなら、つまり本文で二番目にあげた主張を行うなら、論理の整合性が問題になる。そしてこの正当化は成功しない。菊池[2000:252-253]に関連する記述と、保険として社会保障を基礎づけようとする塩野谷[1997]等の文献の紹介がある。齊藤[2001:32,42]でもこの主題が取り上げられ、井上[2003b:204]にはドゥオーキンの「仮想的保険市場」(第4章注2)について私の主張と同じ指摘がある。もちろん「セーフティネット」はけっこうなものではあるのだが、その位置づけが大切であり、それを支持する論理を間違えてはならない。貧困の状態に置かれる人に対する制度から所得の多寡に関係なく誰もがサービスを受ける制度に社会福祉が変化していると言われることがある。そう捉えられる変化があることを否定しない。例えば生活保護が政策全体に占める割合は減少している。しかしこのことをもって贈与の要素を軽視してよいと考えるなら、それはちがう。義務を本質的な規定としないものを中核に置くことは義務としての贈与という契機を弱めることになり、実際に保険の原理で制度を運営するなら義務という性格は壊れてしまうだろう。保険の機能を拡充し、ここに述べている分配をその中に含みこむようにした方が人々の支持を得られるという考え方には一理あるとしても、また「互酬」という言葉の口あたりがよいとしても、社会が義務を負うことの意味がどこにあるのかははっきりさせるべきである。」
第14章 「正義とケア――ポジション配慮的<公共的ルール>の構築に向けて」
後藤玲子
1 はじめに
2 本研究のアプローチ
……
シオノヤ ユウイチ 塩野谷 祐一 20040116
「二つの「方法論争」と福祉国家――経済学と倫理学との思想史的接点」
塩野谷・鈴村・後藤 編[2004:017-035]
シオノヤ ユウイチ 塩野谷 祐一 20040116
「ロールズの正義論と福祉国家」
塩野谷・鈴村・後藤 編[2004:037-053]
ワタナベ ミキオ 渡辺 幹雄 20040116
「ロールズにおける「福祉国家」と「財産所有制民主主義」」
塩野谷・鈴村・後藤 編[2004:055-071]
スズムラ コウタロウ 鈴村 興太郎 20040116
「センの潜在能力アプローチと福祉国家システムの構想」
塩野谷・鈴村・後藤 編[2004:073-100]
シマヅ イタル 嶋津 格 20040116
「ハイエクと社会福祉」
塩野谷・鈴村・後藤 編[2004:101-119]
ハセガワ コウ 長谷川 晃 20040116
「ロナルド・ドゥオーキンの倫理的責任論」
塩野谷・鈴村・後藤 編[2004:121-139]
モリムラ ススム
森村 進
20040116
「リバタリアンが福祉国家を批判する理由」
塩野谷・鈴村・後藤 編[2004:141-157]
タテイワ シンヤ 立岩 真也 20040116
「分配論の構図」
塩野谷・鈴村・後藤 編[2004:159-178]
セイヤマ カズオ 盛山 和夫 20040116
「福祉にとっての平等理論――責任-平等主義批判」
塩野谷・鈴村・後藤 編[2004:179-195]
シンカワ トシミツ 新川 敏光 20040116
「福祉国家の改革原理――生産主義から脱生産主義へ」
塩野谷・鈴村・後藤 編[2004:197-214]
ミヤモト タロウ 宮本 太郎 20040116
「就労・福祉・ワークフェア――福祉国家再編をめぐる新しい対立軸」
塩野谷・鈴村・後藤 編[2004:215-233]
イマダ タカトシ 今田 高俊 20040116
「福祉国家とケアの倫理――正義の彼方へ」
塩野谷・鈴村・後藤 編[2004:235-261]
ゴトウ レイコ 後藤 玲子 20040116
「正義とケア――ポジション配慮的<公共的ルール>の構築に向けて」
塩野谷・鈴村・後藤 編[2004:263-280]
コバヤシ マサヤ 小林 正弥 20040116
「福祉公共哲学をめぐる方法論的対立――コミュニタリアニズム的観点から」
塩野谷・鈴村・後藤 編[2004:281-303]
ゴトウ レイコ 後藤 玲子 20040116
「規範理論の整合化と重層的福祉保障の構想」
塩野谷・鈴村・後藤 編[2004:305-318]
20040116 01
20040810 02
UP:20040127 REV:...20040201,16,0814
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