|
>HOME >BOOK
鹿嶋 敬 200312 岩波新書新赤版867,235p. ISBN:4-00-430867-4 780 (購入額の3〜5%が、[amazon]のところからその本を買っていただけると5〜7%が、寄付されます。) ・鹿嶋 敬(かしま・たかし) 200312 『男女共同参画の時代』,岩波新書新赤版867,235p. ISBN:4-00-430867-4 780 [amazon]/[bk1] ・この本の紹介の作成:O(立命館大学政策科学部3回生) 目次 はじめに T、男女共同参画とは何か 1, 低い認知度 2, 男女共同参画社会基本法か生まれたわけ 3, 基本法、基本計画の中身 4, 基本法の制定はなぜ急がれたか 5, 激しさ増す男女共同参画批判 6, 母親の就労と子ども U、企業の男性中心型体質は変わるか 1, 入札審査の条件 2, 企業の「ジェンダーフリー」改革 3, 進む女性の非正社員化・・・パート労働を中心に 4, 見えにくくなった差別の構造 5, 男性の働き方は変わるのか V、男と女 仕事と家庭の良好な関係 1, なぜ男は暴力を振るうのか 2, ワーク・ライフ・バランスとは何か 3, 家族経営協定が 結ぶ絆 W、動き出した邦・自治体の推進体制 1, 条例制定への試練 2, 苦情処理・監視、影響調査とは何か @ 苦情処理・監視専門調査解 A 影響調査専門調査会 3, 自治体の推進体制 X、共同参画の時代に向けて 1, 遅い変化 2, 動くか、固定的な性別役割分業 3, 「ジェンダーの主流化」という戦略 〈付録 1〉男女共同参画社会基本法 〈付録 2〉男女共同参画基本計画 おわりに T、男女共同参画とは この章では、まず「男女共同参画社会基本法」という法律の認知度の低さについて述べられている。比較的大学教師やマスコミ関係者、行政関係者など、有識者には知られているものの、一般国民にはほとんど知られておらずそのため様々な誤解、曲解が生まれる原因になっている。 1995年に世界女性北京会議が開かれ、「北京宣言」が採択された。ここには女性のエンパワーメントの促進がうたわれ、そのためには各国が政策や計画に「ジェンダーの視点」を反映する必要があると要請している。この北京宣言をうけ日本では男女共同参画審議会が「男女共同参画ビジョン」を答申した。その後政府は「男女共同参画二〇〇〇年プラン」を策定、施行した。これは「ジェンダーに敏感な視点の定着と深化を」という主旨が徹底された初めての計画である。同時に、そうした主旨を施策に反映するとすれば、基本法を制定してそれをさらに深化させる行政の展開が必要であるということで「男女参画社会基本法」がうまれた。 「男女共同参画社会」の考え方は、豊かで安心できる経済・社会を築くには、「男女」が社会のあらゆる分野で「対等なパートナー」として参画することが条件であるとするものである。また政策や制度のみならず、男性にもそれを理解してもらわなければジェンダー平等の達成などはおぼつかないと述べられている。 この章では特に、少子化の問題に焦点をあて、男女共同参画社会の実現により少子化の解消につながるとしている。つまり仕事と家庭の両立が可能な社会になることで女性は安心して結婚・出産を行えるということである。 しかし、一方で男女共同参画に対する批判も多い。その理由として、@男女共同参画は男らしさ、女来差を否定するのではないか A家族を否定する考えではないか B女性がみんな外に出たら、子どもは誰が育てるのか C専業主婦を軽視する内容になっている等々があげられる。千葉県の県条例が廃案になった経緯や、母親の就労と子どもの問題についての意見が述べられている。 U、企業の男性中心型体質は変わるか ここでは資生堂の「ジェンダーフリー」改革が取り上げられている。資生堂では社員一人ひとりが性別にとらわれることなく、能力を十分に発揮できるような企業風土を醸成する事を目的に「ジェンダーフリー推進事務局」が設置された。これにより長期に働き続ける人が増えた、管理職候補の女性が増えた、女性株主が増えた等々の効果が出ている。 ジェンダーフリー改革が進化すると、ダイバーシティ改革にたどり着く。ダイバーシティとは多様性という意味であり、女性だけに限らず、社員全員の多様性を重視した戦略といえる。この改革を推進するためには中間管理職の意識改革が第一に必要であると述べられている。 他にも、女性のパート労働についてもふれられており、就業形態がますます多様化する中で、「働きに応じた公正な処遇」を確立しなければ、働き方の男女間格差をいつまでたっても埋められないとしている。 V、男と女 仕事と家庭の良好な関係 この章では、ドメスティック・バイオレンスについてが述べられている。DV問題の背景にあるものは「女性蔑視」「所有意識」「固定的な性別役割分担意識」の3つに分類される。このDV問題は法律がまだまだ不十分であり、女性の自立が困難である。セクハラについても男性と女性の見解の違いから、多くの問題が起こっている。 いずれの問題にしても女性に対する暴力の根絶という課題が残されているといえる。 また「男性も女性も家族としての責任を担い、また、社会がこれを支援していくことが重要となっている。特に男性については、従来の職場中心の意識・ライフスタイルから職場・家庭・地域のバランスのとれたライフスタイルへの転換が求められている」。現代女性の仕事志向の強さを考えれば、育児と仕事が両立できる形に環境をととのえることが、少子化の解消にもつながることになる。そのように考えれば男女の職業生活と家庭・地域生活の両立の支援という課題は重要度がきわめて高いといえる。このように男性も含めた働き方の見直しが強く求められている。 W、動き出した国・自治体の推進体制 ここでは国の苦情処理システム、自治体の推進体制が紹介されている。 地方自治体は、男女共同参画基本条例の中に参画社会作りをどのように推進するかを盛り込むようになった。例として兵庫県、長野県の苦情処理体制があげられている。 このように十分とはいえないまでも体制は整ってきたが、運営はスムーズに行われていない。その最大の理由は住民がどんな申し出をしたらいいのかよく分からないことである。二番目の理由は苦情処理機構の権限に限界があることが見えてきたことである。 X、共同参画の時代に向けて 男女の問題について、日本の常識と世界の常識との間に大きな格差があるという。そのことについてこの章では、韓国と日本の比較によって説明されている。従来日本とともに「男性中心社会」と考えられてきた韓国が今では世界に歩調を合わせつつある。この改革は「人為的な、上からの改革」という点に特徴がある。日本では本来、男女共同参画を推進しなければならない与党政治家の中に、むしろ足を引っ張るような言動も目立つ。与党は、今を生きる人々、これからを担う国民が幸せや生きがいを見いだせる国としての条件を責任をもって整備しなくてはならない。それにはよき個人を育てその結果よき家族が国を支える方向にシフトすべきではないか。そして、その大前提として、個人の尊厳を尊重する意識を培うことが求められよう。 ジェンダー平等の達成はすでに国連女性会議で合意を得た課題であり、またそれを達成するための手段として「ジェンダーの主流化」という名の戦略が動き始めている。しかし、男女共同参画の問題は、世界的に見てもこれからの課題である。しかもジェンダーの主流化に熱心なのはEUを中心とした欧州諸国である。 日本は非常に遅くはあるが「男女共同参画社会の形成」という名の下、経済の変化や国連を中心とした国際社会の風圧などを受けながら、徐々に、そして日本の特質ともいうべき慎重さで変わろうとしている。世の中政治や経済を軸に変わるのが常だったが、今それに、「男女共同参画」という軸が加わろうとしている。 結局、男女共同参画とは、男性中心型として構成されてきた社会に女性も対等な形で加わることになったので、共生できるような形に環境を整備しようということである。現在の社会の中のいびつな個所、例えば性によって生き方の固定化を促すような制度、慣行があれば修理する。そして男性であろうと女性であろうと、自分らしさを十分発揮できる生き方を追求することが可能な世の中にしようというのが本旨なのである。 それは、女性への暴力をなくす、政策や方針を決定できるような立場の女性を増やす、男女ともに仕事と家庭生活の両立がしやすい等々の目標が達成できて初めて可能なことである。 UP:20040209 ◇2003年度受講者作成ファイル ◇2003年度受講者宛eMAILs ◇BOOK TOP(http://www.arsvi.com/b2000/0312kt.htm) HOME(http://www.arsvi.com)◇ |