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『あなたの患者になりたい――患者の視点で語る医療コミュニケーション』

佐伯 晴子 20031015 医学書院,117p.


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■佐伯 晴子 20031015 『あなたの患者になりたい――患者の視点で語る医療コミュニケーション』,医学書院,117p. ISBN-10: 426012711X ISBN-13: 978-4260127110 1260 [amazon]

■出版社/著者からの内容紹介
「次回もこの医師にかかりたい」患者がこう思うのはどんな時か? 医学教育に深くかかわる、ある模擬患者が綴ったユニークな医療エッセイ集。

内容(「BOOK」データベースより)
「患者本位の医療」、「患者中心の医療」がいわれて久しいのに、世の中は「医療不信」の話ばかり…。信頼できる医療とは何か?患者が「次回もこの医師にかかりたい」と思うのはどんな時か?模擬患者団体の代表として、医学教育に深くかかわる著者が綴った話題の医療エッセイ集。

【著者の紹介】
佐伯晴子(さえき・はるこ)
大阪外国語大学ロシア語科卒業。1983-1993年イタリア滞在中に、ミラノ国立がんセンターにある欧州緩和ケア協会事務局にてボランティアとして活動する。帰国後、翻訳、英語・イタリア語講師を経て、95年東京SP(模擬患者)研究会の設立時より事務局を担当。模擬患者およびコーディネーターとして医療者教育にかかわる。現在、同研究会代表。東京慈恵会医科大学などで非常勤講師。日本医学教育学会評議員。厚生労働省社会保障審議会医療部会・他で委員を務める。主な著書に『話せる医療者』(医学書院刊、日下隼人氏との共著)。「教育の中で患者の存在が意識されることが、患者中心の医療の実現につながる」というのが持論。教育の前提として医療制度の改革が必要と考え、2006年東京医科歯科大学大学院医療政策学コースに入学し、地域医療計画作りにおける住民参加と合意形成を研究中。

■目次

01 患者の視点で語る医療コミュニケーション
02 こんな医療者に出会いたい ふつうの人
03 異文化との出会いは自己紹介から あなたとの最初の出会い
04 キロクブノイタミノセイジョウハ? 通じることば(1)
05 その一分が待てない 理解は「聴く」ことから
06 「わかりました」がわかりません ありのままを理解してほしい(1)
07 その手にふれられて 清潔は最初の安心(1)
08 ご覧の通り、異常ありません
09 大きな病気、簡単な検査 通じることば(2)
10 SP実習をしてくれない あなたの医療面接実習
11 挨拶しなくなった君へ 医療面接が止まっているところ(1)
12 安全は誰のために? 信頼できない表現
13 きれい、きたない、きがつく、きになる 清潔は最初の安心(2)
14 キョウカンのためのキョウカン 医療面接が止まっているところ(2)
15 からだにしみついた習慣 無防備な非言語メッセージ
16 「患者様」と患者の椅子 「患者中心の医療」以前
17 禁じられた恋い 新しき酒は新しき皮袋に(1)
18 医療面接ビジュアル系 医療面接で何をめざすのか
19 「してあげる」と「させる」の関係 主語と目的語の関係
20 続・「患者様」と患者の椅子 患者も医療者も中心になる医療
21 こんな医療者と一緒に歩きたい 新しい医療者に望むものは
22 「OSCEなので五分!」 医療面接が止まっているところ(3)
23 「納得診療」は適切な訳語か? インフォームド・コンセントをめぐって
24 タイに行きましたか? 通じることば(3)
25 エレベーターは患者さん優先 プロとアマ(1)
26 クスリやりますか? ふつうの言葉と感覚
27 有事の人 人生の落とし穴
28 守秘義務と中待合い 新しき酒は新しき皮袋に(2)
29 私の笑顔をおぼえてほしい 写真つきカルテのすすめ
30 勝手にするなよ、相談してよ みんなのインフォームド・コンセント
31 「洗いましたけど!」 プロとアマ(2)
32 犯人探しの前に現場検証を ありのままを理解してほしい(2)
33 難しい患者 見方をかえてみれば
34 あなたも物語の登場人物 患者−医療者関係
35 「おたがいさま」で「おかげさま」 医療面接が向うところ
あとがき

■紹介・引用

【本の構成と紹介】
医学会新聞に掲載されていた模擬患者およびコーディネーターとして医療者教育に深くかかわる立場からのエッセイをまとめたものであり、全部で35題から成っている。医療者、特に医学生や医師に、模擬患者を通して、患者視点での医療コミュニケーションのあり方への期待が多く含まれる。医療面接の目的は、診断や治療のための正確な情報収集と医師−患者関係の構築である。この関係構築の最初の鍵となるのが、基本的態度とコミュニケーション能力である。患者は、ふつうに話が出来る人を望んでいる。つまり、患者が医療者へ期待することは、『社会人(大人)としての適切な態度とマナー』や『教育や経験に応じた正しい専門知識と確かな技術や技能』の両方を身につけていることである。しかし、医療面接において、医学生はキョウカンのためのキョウカンを行うが、患者への関心は低いこともある。患者への関心のない共感は共感とはいえない。医療面接以前に、まずは、同じ人間として出会い、自分の言動が相手にさまざまな感情を引き起こすことなど『気づき』を大事にしている。そのため、模擬患者を通して、自分のコミュニケーションを見直すことができる。学生が手本とできるような医療者のあり方にも、疑問を投げかけている。


*作成:橋本顕子(応用人間科学研究科対人援助領域)
UP:20070825
BOOK ◇患者の権利/インフォームド・コンセント
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