『差異と隔たり――他なるものへの倫理』
熊野 純彦 20031017 岩波書店,256p.
last update:20131027
■熊野 純彦 20031017 『差異と隔たり――他なるものへの倫理』,岩波書店,256p.
ISBN-10:4000230085 ISBN-13: 978-4000230087 \3000+税
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■内容
〈他なるもの〉――それは私との隔たり・差異である。しかし、〈他なるもの〉との関係を私は避けて通ることはできない。身体や生命の所有、過ぎ去ったものについて語り、
他者に向けて発せられたことばなど、およそ倫理的とされる問題は、すべてそこから生じるように。私との差異、私との隔たりとしての「他者」。それをめぐる思考は、
他者への関わりとしての「倫理」を紡ぎ出す行為である。切り離しがたく、越えがたい〈他なるもの〉と自己との関係を、日常の経験の襞にわけいって考察し、
倫理ということばに新たな息吹を吹き込む、強靭で柔軟な思考の軌跡。所有、時間、言語を足がかりに、他者と自己との関係=倫理に新たな息吹を吹き込む清新な思考。
■目次
まえがき
第 I 部 所有と非所有との〈あわい〉で――自己所有論をめぐる思考
第一章 所有の始原――いのちあるものの占有をめぐって
1 所有の定義
2 生命の所有
3 支配の制御
第二章 身体と所有――はたらく身体と痛む身体とのあいだで
1 道具と身体
2 身体の所有
3 固有な身体
第三章 所有と贈与――不可能な〈贈与〉としてのいのちの始まり
1 所有の諸相
2 死の所有?
3 生命の贈与
第 II 部 他者と時間性との〈はざま〉で――歴史と他性をめぐる思考
第一章 他性の諸相――〈他なるもの〉から〈他者〉へ
1 非知の次元
2 知覚の深層
3 現前の痕跡
第二章 時間と他者――和辻倫理学における〈信頼〉の問題をめぐって
1 身体と空間
2 信頼の根拠
3 時間と他者
第三章 歴史と他者――〈過ぎ去ったもの〉をめぐる思考のために
1 追想の物語
2 傷痕の過去
3 歴史と他者
第 III 部 語ることから呼びかけることへ――言語と他者をめぐる思考
第一章 言語の経験――〈語ること〉の経験をめぐって
1 言語と記号
2 規則と転用
3 発話の連鎖
第二章 言語の生成――ことばと意味の発生をめぐる思考のために
1 言語と交流
2 表情と表現
3 表現と意図
第三章 言語と倫理――〈語ること〉と〈呼びかけること〉とのあいだで
1 指示と贈与
2 記号と主体
3 言語と他者
註
あとがき
初出一覧
人名索引
■引用
■書評・紹介
◆20031220 小泉 義之 「書評:熊野純彦『差異と隔たり』」『図書新聞』第2658号
■言及
*作成:大谷 通高 *増補:北村 健太郎