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『日本の税金』

三木 義一 20030820 岩波新書,210p.


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三木 義一 20030820 『日本の税金』,岩波新書,210p. ISBN-10: 4004308496 ISBN-13: 978-4004308492 735 [amazon] ※ t07.

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出版社/著者からの内容紹介
所得税,法人税,相続税から消費税,地方税まで,日本の税制の仕組みはどうなっているのだろう.なにが問題で,どう変えるべきなのだろう.専門家や政治家・官僚の手にもっぱら委ねられがちな税の問題を市民の目線で検討すると,気づかなかった世界が見えてくる.消費税の大幅引上げが取り沙汰される現在,必読の書.

内容(「BOOK」データベースより)
所得税、法人税、相続税から消費税、地方税まで、日本の税制の仕組みはどうなっているのだろう。なにが問題で、どう変えるべきなのだろう。専門家や政治家・官僚の手にもっぱら委ねられがちな税の問題を市民の目線で検討すると、気づかなかった世界が見えてくる。消費税の大幅引上げが取り沙汰される現在、必読の書。

■目次

序章 もっと税金を知ろう
第1章 所得税―給与所得者は優遇されている?
第2章 法人税―選挙権がないので課税しやすい?
第3章 消費税―市民の錯覚が支えてきた?
第4章 相続税―自分の財産までなくなる?
第5章 間接税等―税が高いから物価も高い?
第6章 地方税―財政自主権は確立できたのか?
終章 税金を監視しよう

■引用

第1章 所得税―給与所得者は優遇されている?

 配偶者控除論争 33-35
「ジェンダー研究者による配偶者控除の廃止論が従来から主張されているが、その主張の多くは配偶者控除を「働かないということを税制上優遇する制度」とか、専業主婦の夫を優遇するにすぎない制度と理解し、その廃止を求めている。しかし、このような理解は配偶者控除の正しい理解とはいえないのである。
 憲法は二五条で「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、所得のある者には最低生活費を控除することを命じている。これが前述の基礎控除である。<0034<憲法は二五条によりすべての人間に基礎控除を保障しているといえる。ところで、家事労働が所得を生み出さないということ自体が実は問題であるが、専業主婦には家事労働からの所得はないとされ、そして現行の夫婦別産制により夫の給与等に対する持ち分もない。つまり専業主婦は無所得者であり、基礎控除という制度を利用できない。しかも、国家は専業主婦に社会給付をするわけではない。そうすると、この人たちの最低生活費はどこが負担しているのだろうか。いうまでもなく、夫のものとされている、夫名義の所得からである。そこで、夫の所得から所得のない配偶者の最低生活分を控除するのが配偶者控除なのである。つまり、OLが自分の最低生活費を基礎控除として引いているのと同様に、専業主婦も自分の最低生活費を(夫の所得から)引いているだけのとこである。これが配偶者控除の本来の性格である。優遇でも何でもなく、所得のない者にも基礎控除分の最低生活費を課税上除く工夫がされているだけの話である。この点を見誤ると、感情論からの増税容認論になる。」(三木[2003:34-35])

 言及:http://blog.zaq.ne.jp/spisin/daily/200812/15

 「累進税率に対しては高額所得者の「勤労意欲の喪失」等を中心<0042<とした批判も多く、近年の改正では徐々に税率構造がフラット化され、消費税導入前の成功税率が七〇%であったのに、導入後五〇%に、一九九四年改正でさらに三七%にまで引き下げられてきているのである。
 このような最高税率の引き下げをどう評価すべきなのだろうか。「金持ち優遇」という側面があるのは事実だが、この面だけを強調するのは必ずしも妥当でないように思われる。というのは、確かに累進度は弱まってきているが、客観的に負担感が平等といえる累進税率といえるものが確立しているわけでもなく、現行の最高税率は、後述のように、住民税も加えると五〇%になっており、半額の税負担というのも決して軽くはないからで開く。ただ、従来の最高税率が引き下げられ、それに替わる消費税の導入、消費税率の引き上げという大きな改正の流れからすると、「広く薄く」低所得層にも税を負担させる方向にシフトしていることは間違いなさそうであるし、高所得者が実質的に税負担を軽減できる特別措置が今名と多く存在していることも忘れてはならない。」(三木[2003:42-43])

■言及

◆立岩 真也 2009/09/10 「軸を速く直す――分配のために税を使う」,立岩・村上・橋口[2009:11-218]*
*立岩 真也・村上 慎司・橋口 昌治 20090910 『税を直す』,青土社,350p. ISBN-10: 4791764935 ISBN-13: 978-4791764938 2310 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

 「比べて、直接税改革はそれほどには注目されなかった。ただ消費税導入と引き替えというものでもある減税、「中間層」の減税は宣伝され、減税である限りにおいてその部分は大きな反発を招かなかったこともあるのだろうが、直接税の制度もまた、幾度か変更されていった。戦後、賃金・物価の水準が上がっていく状況下での累進税率の固定は実質的には増税になるから、それを補正するという性格の減税は毎年のようになされてきたのだが、この時以降、累進率を低下させる方向に変更されていった。最低税率一〇・五%から最高税率七〇%の一四区分だった所得税は、一九八七年に、最低税率一〇・五%から最高税率六〇%の一二区分になった。次に一九八八年、一〇%から五〇%の五段階。そして一九九九年、一〇%から三七%の四段階になった。その後も含め第2部第1章図表1(224─225頁)に記されている◇09。
 その上で、すぐにいくつの補足説明をする必要がある。以上には住民税が含まれていない。含めればもっと高くなる(所得税+住民税:七〇+一八→六〇+一六→五〇+一五→三七+一三)。
 次に、収入の全体に対してこの額が課されるわけではない。各種控除があるのは知られているが、より基本的な算出法として、「超過累進税率」と呼ばれるものが使われている。多くのことを知らないか忘れてしまった私を含む多くの人は、所得税と住民税を合わせると税率九三%といった時代があったと聞くと、驚く。だがまず一つ、この率は「限界税率」であって、所得の全体に対して適用される税率ではなく、ある額を超えた部分に対して適用される税率である。だから(限界)税率の高い方が五〇%であるとして、納税額が所得の半分になるといったことはない。一九九九年からの制度ではA:三三〇万円以下一〇%、B:Aを超え九〇〇万円以下二〇%、C:Bを超え一八〇〇万円以下の金額三〇%、D:Cを超える額三七パーセント、と計算して算出する。だから、一〇〇〇万円の課税所得がある人の税は三〇〇万円ではなく、一七七万円になる。(第2部第1章でも解説される→224頁)
 もちろん、このことは税に関わる人であれば誰もが知っていることではあり、新書その他でわかりやすく解説されることもある(三木[2003:40-42]等々)。読めばそのことはわかりはする。しかし、時には書かれていないことがあり、すくなくともそこだけを読めば、無知な私たちに誤解が生ずることになる。後で(85頁)引用する山下[1987]等も、すなおには、そのように読める。
 次は、何に対する課税なのかである。」

 「三木義一(法学・税法)『日本の税金』(岩波新書)

 累進税率に対しては高額所得者の「勤労意欲の喪失」等を中心とした批判も多く、近年の改正では徐々に税率構造がフラット化され、消費税導入前の最高税率が七〇%であったのに、導入後五〇%に、一九九四年改正でさらに三七%にまで引き下げられてきているのである。
 […]どう評価すべきなのだろうか。「金持ち優遇」という側面があるのは事実だが、この面だけを強調するのは必ずしも妥当でないように思われる。というのは、確かに累進度は弱まってきているが、客観的に負担感が平等といえる累進税率といえるものが確立しているわけでもなく、現行の最高税率は[…]住民税も加えると五〇%になっており、半額の税負担というのも決して軽くはないからである。ただ、従来の最高税率が引き下げられ、それに替わる消費税の導入、消費税率の引き上げという大きな改正の流れからすると、「広く薄く」低所得層にも税を負担させる方向にシフトしていることは間違いなさそうであるし、高所得者が実質的に税負担を軽減できる特別措置が今なお多く存在していることも忘れてはならない。(三木[2003:42-43])」(立岩[2009])



UP:20081110 REV:20081214
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