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『生命の政治学――福祉国家・エコロジー・生命倫理』

広井 良典 20030724 岩波書店,277p. ISBN:4-00-023636-9 2940


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広井 良典 20030724 『生命の政治学――福祉国家・エコロジー・生命倫理』,岩波書店,277p. ISBN:4-00-023636-9 2940 [amazon][kinokuniya][bk1] ※ *

■内容説明[bk1]
「生命」とは何か。従来、個々バラバラに論じられてきた、社会福祉・保障、環境政策・政治、生命科学・倫理における生命観を、社会システムという観点から統合的に考察。人間理解の新しい視点を提示し、社会のあり方を構想。

■著者紹介[bk1]
1961年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。厚生省勤務等を経て、現在、千葉大学法経学部教授。著書に「日本の社会保障」など。

■目次
 第I部 社会システム
 第II部 ケア/生命
 第III部 生命の政治学

はじめに

 第I部 社会システム
第1章 生命科学の政治学――「生命倫理」を超えて
[インターミッション・1]「安全保障」より「社会保障」を――同時多発テロ事件直後のアメリカにて
第2章 エコロジーと福祉国家――比較福祉・環境政策のために
[インターミッション・2]宗教と社会福祉国家
第3章 福祉国家の接近と多様化――「持続可能な福祉国家/福祉社会」へ
[インターミッション・3]宗教と社会福祉国家

 第II部 ケア/生命
第4章 ケアをめぐるクロス・オーバー――サイエンスとケアの接点
[インターミッション・4]フィンランドの「サイレンス」
第5章 自然のスピリチュアリティ――エコロジーの再定義
[インターミッション・5]アメリカとヨーロッパ

 第III部 生命の政治学
第6章 生命の政治学のために
[インターミッション・6]「日米同盟」を問い直すとき
第7章 定常型社会へ

参考文献

はじめに


 第I部 社会システム

第1章 生命科学の政治学――「生命倫理」を超えて

[インターミッション・1]「安全保障」より「社会保障」を――同時多発テロ事件直後のアメリカにて

第2章 エコロジーと福祉国家――比較福祉・環境政策のために

[インターミッション・2]宗教と社会福祉国家

第3章 福祉国家の接近と多様化――「持続可能な福祉国家/福祉社会」へ

 「第一は、一定の失業が生じること自体は原理的にも不可避なことなのであるから、「成長による解決」を志向するのではなく、象徴的にいえば、一定水準の「失業との共存」という発想へと転換していくことである。それは失業に関する社会保障システムの強化であり、この中には、ヨーロッパ諸国に比して日本において不十分な失業保険の拡充や、職業訓練や労働移転の支援などの積極的雇用策が含まれる。もちろんこれ(85)には財源の拡大が必要となるが、こうした対応は、「成長による解決」のために公共事業等を際限なく繰り返すという現在の政策より、はるかに健全かつ将来に禍根を残さないものであることは銘記されるべきであろう。つまるところ「公共事業型社会保障」から「失業に関する社会保障の整備(含積極的雇用政策)」への転換が必要なのだ。
 第二は、労働時間の削減である。先に論じたように、労働生産性が上がった場合に、人がそれまでと同じ時間だけ働けば、マクロ的にはそれが失業発生の原因となる。しかしもうひとつの選択は、同じだけのアウトプット(ないし所得)が得られればよいと発想を変えて、労働時間のほうを減らすことである。これによって先の「経済成長と労働生産性上昇の無限のサイクル」から離脱することが可能になる。ちなみに、九〇年代以降ドイツやフランスで週三五時間労働を促進する政策が採られているのは既に様々なかたちで議論されているとおりである。」(pp.85-86)

[インターミッション・3]宗教と社会福祉国家

 第II部 ケア/生命

第4章 ケアをめぐるクロス・オーバー――サイエンスとケアの接点

[インターミッション・4]フィンランドの「サイレンス」

第5章 自然のスピリチュアリティ――エコロジーの再定義

[インターミッション・5]アメリカとヨーロッパ


 第III部 生命の政治学

第6章 生命の政治学のために
[インターミッション・6]「日米同盟」を問い直すとき

第7章 定常型社会へ

参考文献

 「[…]「定常型社会」において求められる政治哲学はどのようなものと考えられるだろうか。
 結論からいえば、おそらく「環境主義/エコロジズムと結びついた社会民主主義」という理念が、いわば”時代の政治哲学”という位置を担い、それが自由主義と一定の緊張関係や対立をもちつつ(また環境問題に関して保守主義と微妙な関係に立ちつつ)、二大政党的な”振り子の揺れ”を経験しながら展開していく、という姿になるのではないかと筆者は考える。」(p.245)

 「これからの社会保障は「医療・福祉重点型」ともいうべき姿が妥当であり、市場の失敗の起こりやすい医療や福祉分野については公的な保障をしっかり維持するとともに、逆に年金については大幅なスリム化を行い、所得再分配機能を中心とする(厚めの)基礎年金主体のものに縮減すべきである」(p.252)

◆立岩 真也 2005/05/31「書評:広井良典『生命の政治学――福祉国家・エコロジー・生命倫理』」,『福祉社会学研究』2


UP:20050109 http://www.arsvi.com/b2000/0307hy.htm REV:0111
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