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『日常生活のためのてんかんのくすり』

社団法人日本てんかん協会 編 八木 和一・藤原 建樹・井上 有史 監修 20030610 日本文化科学社,194p.

last update:20131208

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■社団法人日本てんかん協会 編 八木 和一・藤原 建樹・井上 有史 監修 20030610 『日常生活のためのてんかんのくすり』,日本文化科学社,194p. ISBN-10:4821073188 ISBN-13:978-4821073184 ¥2500+税 [amazon][kinokuniya] ※ sjs

■内容

(「MARC」データベースより)
てんかんとは何か?、診断、抗てんかん薬治療の実際など、てんかんという病気と薬物治療の現状について正しく理解できるよう解説。薬の表記や用量、薬物濃度の単位や薬の略記号などの豆知識や知って得する情報も収録。

(出版社内容情報)
てんかんは適正な服薬によって症状を抑制し、通常の生活を維持することができる。そのためには抗てんかん薬の知識が不可欠である。本書は、てんかんに関わる人(医療機関、親、当事者等)のための実際的入門書である。

■目次

発刊にあたってのすいせん文/@
はじめに/B
薬の豆知識
薬の表記/C
薬の用量/G
薬物濃度の単位/H
薬の略記号/I

第1章 てんかんとは何か? …1
第2章 てんかんの診断…15
第3章 てんかんとてんかん発作の分類…27
第4章 てんかんの治療…35
第5章 抗てんかん薬による治療とは?…39
第6章 抗てんかん薬の働き…51
第7章 抗てんかん薬治療の実際…63
1 フェニトイン/63
2 カルバマゼピン/68
3 フェノバルビタール、プリミドン/72
4 ゾニサミド/76
5 バルプロ酸ナトリウム/79
6 エトサクシミド/84
7 ベンゾジアゼピン系薬剤/87
8 その他の薬/97
第8章 抗てんかん薬の副作用…103
第9章 緊急治療…113
第10章 発作以外の薬物療法…122
第11章 薬の処方と管理…130
第12章 薬物治療と生活…138
第13章 知って得する情報…154

文献紹介/167
資料/
 てんかん、てんかん症候群および関連発作性疾患の分類(1989)/168
 てんかん発作分類改定案(lLAE1981)/169
 抗てんかん薬とてんかん治療に使われる薬剤(2003年4月作成)/174
索引/191

■SJSに関連する部分の引用

p.70
カルバマゼピン
副作用
 カルバマゼピンの副作用は以下の二つに分けられます。
@きわめてまれではあるが重大な副作用
A一般的に見られる副作用
 @に属する副作用には、スティーブンス・ジョンソン症候群またはライル症候群といわれる発疹や高熱を主症状とするもの、および再生不良性貧血があります。これらの副作用はきわめてまれではありますが、その可能性が疑われたらすぐに薬剤の中止が必要です。副作用を早期に発見するため、服薬開始後は全身状態の観察と血液検査を定期的に受けることが重要です。
 Aの副作用は約30%の人が経験するといわれていますが、服用量に依存した副作用であることが多く、服用量を調整することで改善できることが多いものです。これらを列記すると、中枢神経系の副作用として、眠気、認知の障害、イライラ、頭痛、眼球運動や視覚の障害、振戦やジスキネジアなどの不随意運動など、消化器系の副作用として食欲不振、嘔気、便秘、肝障害など、内分泌系への影響として低ナトリウム血症、甲状腺ホルモン低下など、実にさまざまです。軽度の白血球や血小板の減少もときにみられますが、臨床的に問題となることはまずありません。副作用によりカルバマゼピンの中止を余儀なくされる人は5%程度といわれています。また妊婦の服用する抗てんかん薬が胎児に及ぼす影響としては、とくにカルバマゼピンとバルプロ酸の組み合わせで奇形発現率が高まるという報告があります。妊娠の予定がある場合はあらかじめ主治医に相談し、服薬内容について検討してもらいましょう。


(pp85-86)
エトサクシミド
副作用
 もっともよく見られるものとしては吐き気、嘔吐、胃部不快感、食思不振などの消化器症状があります。これらは通常、服薬を開始した最初の数日以内に起こります。その他、眠気、不眠、めまい、しゃっくりなどがあります。これらは、用量依存性の副作用で、投与量を減らすことで消失します。一方、投与量にあまり関係しないものとしては頭痛があります。また、意識障害、不安、うつ、幻視、幻聴といった精神症状が生じたという報告もあります。欠神発作以外の発作が悪化したとの報告もいくつかありますが、多くの報告でははっきりと悪化したような例はないとしています。全般性強直間代発作が出現することがあるのは、もともと経過中に欠神発作に合併しやすく、エトサクシミドでは効果がないことから、悪化というよりは偶然に起こったと考えられています。
 特異反応として薬疹が出現することがあります。このときの症状としては発熱、紅斑、リンパ節腫脹、好酸球増加が見られ、重篤な場合はスチーブン・ジョンソン症候群のような全身性の皮膚炎にいたることもあります。通常、薬剤を中止することで回復し[p86>ますが、重篤な場合は副腎皮質ホルモンによる治療が必要なときもあります。また、SLE様症状(発熱、紅斑、リンパ節腫脹、筋肉痛、関節炎など)を呈したり、再生不良性貧血、汎血球減少、溶血性貧血など重篤な血液障害を呈した症例も報告されています。定期的な血液検査が必要です。


(pp103-104)
第8章 抗てんかん薬の副作用
1.はじめに
 抗てんかん薬の副作用は大きく二つに分けることができます。一つは特定の人に限って出現する副作用で、もう一つは薬の量が多いために出現する副作用です。後者は誰にでも出現する可能性があります。副作用をチェックするために、定期的(6月〜1年ごと)に血液検査や生化学検査を受けるようにしましょう。

2.特定の人に限って出現する副作用
 日本人の多くはそばを好んで食べますし、そのそばが病気の原因になるなんて思いもしません。しかしこのそばを食べると呼吸困難になったり、皮膚に発疹ができたりする人がいます。この人たちは、そばに対する特異的な体質をもっている人たちです。抗てんかん薬も、そばアレルギーのように、特定の人に限って副作用が発現することがあります、この副作用はそばアレルギーと同様に出現頻度は低いのですが、まれに重篤な症状に至ることもあります。特定の人に限って出現するので特異反応型副作用とか過敏反応型副作用といわれています。

症例1:抗てんかん薬の投与で皮膚に発疹ができた症例
 13歳中学生の男児。1年前から眼球が右側に動いたあとに、[p104>頭部が右側に回旋し意識を消失する発作が出現した。近くの病院で治療を受けたが、発作が月に3回から8回の頻度で繰り返し出現するので当院を受診した。当院の外来で症候性部分てんかんと診断しフェニトインが処方された。フェニトインを服用しはじめた翌朝から皮膚が赤くなり、その翌日には程度が強くなった。このためにフェニトインをすぐに中止した。

 フェニトイン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、ゾニサマイド、バルプロ酸、エトサクシミドは、実際の診療で多く使われている薬ですが、いずれも特定の人に限って皮膚に特異的な副作用が出現する可能性があります。出現頻度は1,000人に1人か2人と推定されています。クロバザムやクロナゼパムではこのような副作用の出現はさらに少ないといわれています。この症例のように、皮膚が赤くなったらすぐに薬剤を中止するのが適切です。皮膚の症状だけにとどまれば問題は少ないのですが、まれに皮膚がやけどをしたかのような状態になり、口腔内の粘膜がただれ、口にも障害が及び失明することがあります。重篤な状態になった場合は、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)と呼ばれます。スティーブンス・ジョンソン症候群は、風邪薬を含めたさまざまな薬が原因となり、その報告数は日本で1年間に300人程度といわれています。出現頻度は少ないのですが、このような副作用があることを知っておく必要があります。
 この他に特定の人だけに出現する副作用としては、フェニトイン、カルバマゼピン、ゾニサマイド、エトサクシミドによって生ずる再生不良性貧血、白血球や血小板の減少、バルプロ酸による肝障害、高アンモニア血症、急性膵炎などがあります。これらの副作用を服薬前から予知することは困難です。皮膚の症状に限らず、薬を服薬した直後に発熱、倦怠感、嘔き気、食欲不振などの症状が生じたときには、早めに医師の診察を受けてください。


*作成:植村 要
UP:20131208 REV:
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