『生殖の哲学』
小泉 義之 20030530,河出書房新社, 126p.
last update:20130926
■小泉 義之 20030530 『生殖の哲学』,河出書房新社, 126p. ISBN-10:4309242855 ISBN-13:9784309242859 \1500+税
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■内容
クローン万歳! バイオテクノロジーはすばらしい。なぜならそれが怪物たちを生み出すから……。全く新しい視点からバイオを論じ、哲学のテーマとしての生殖を取り上げる、ポレミカルな思想への招待。未来はこの一冊から始まる。
■目次
はじめに
第一章 未来からの視線――生命・自然
死と死者にとらわれた時代
未来の予測――地球温暖化・環境化学物質・移入種・バタフライ効果
未来の徴候――ターミネーター・エイリアン
性と死――生ける屍
生殖の未来――フランケンシュタイン博士・モロー博士・ダナ・ハラウェイ
有望な怪物――優生思想批判
第二章 生殖技術を万人のものに――「交雑個体」を歓待する
論外なこと
生殖補助技術
クローン技術
新胚作出技術
第三章 未来と生殖をめぐって
あとがき
■引用
――では、生殖技術に関連させて尋ねますが、障害者を歓待す>113>るということと、「交雑個体」を歓待するということは、どこでどう繋がるのでしょうか。
ここでも、率直に言ってしまいます。各種の生殖技術にはリスクがある。障害をもたらすリスクがある。遺伝子改造技術にしても、
通常の意味での優生を実現することなど不可能です。生殖細胞の遺伝子に介入すれば、確実に障害を発生させる。だからということで、たいていの人は、
慎重になりましょうと反対したり、改善するために努力しましょうと賛成したりしてますが、私は、だからこそ進めましょうと言い切りたい。各種の生殖技術は、
未見の障害を発生する可能性がある。未曾有の変異を生きる人間を生む可能性がある。だからこそ、進めるべきなのです。優生社会を目指すかに見える技術は、
切り捨て淘汰を許しさえしなければ、確実に劣生社会を切り開く。だからこそ、進めるべきなのです。(pp.112-113)
■書評・紹介
■言及
*作成:本岡 大和 *増補:北村 健太郎