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『日本の医療に未来はあるか―間違いだらけの医療制度改革』

鈴木 厚 20030410 筑摩書房,213p.


Last Update:20100819
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■鈴木 厚 20030410 『日本の医療に未来はあるか―間違いだらけの医療制度改革』,筑摩書房,213p. ISBN-10:4480061088 ISBN-13:9784480061089 \756 [amazon][kinokuniya]

■内容

内容(「BOOK」データベースより)
医療事故が相次ぎ、日本の医療の評判はがた落ちである。平成一五年四月からサラリーマンの本人負担率の引上げや老人医療費の値上げ等が実施され、批判はさらに高まっている。なぜ、日本の医療はよくならないのか?それは医療への批判が的外れに終始しているからである。本書は、現場の医師が目の当たりにした日本の医療制度の病巣をえぐりだすことによって、これからの医療の方向性を見極め、行政は、また医師や患者は何をすべきかを問う問題作である。

著者 鈴木厚, 2003/04/14
日本の医療危機
日本の医療には多くの問題がありますが,枝葉の問題に目を奪われ,根本的問題に迫ろうとしない,あるいは根本的問題がどこにあるのか分からないのが現状だと思います.国民の医療に対する危機感はあまりに希薄です.病院が経営難から廃院となれば住民が困るのに,病院が廃院になる現状を住民は知らないのです.これまでの日本の医療があまりに恵まれていたため,これから予想される医療改悪を想像できないのだと思います.
医療問題を議論する,あるいは医療問題を解決させるためには正確な現状把握が必要です.国民は医療に強い関心を持ちながらも,「医療のあるべき姿」が議論されていないのです.
ところでイラク戦争でアメリカは軍事大国のイメージがありますが,アメリカの軍事予算は国家予!算の約19%です(日本は6%).いっぽう福祉・医療関連の国家予算は52%です(日本は20%).つまりアメリカは軍事大国というよりも福祉大国なのです.日本の医療は世界一と自慢していますが,それは患者にとって世界一であり,医療関係者にとっては最悪の労働条件が続いています.
私は日本医学会総会のシンポジウムの前で,本書を自費で1000冊無料配布しました.日本医学会総会のシンポジウムでは厚労大臣,日本医師会長などが講演をしましたが,彼らはきれい事しか言えず,出来合レースになると予想したからです.事務のお嬢さんたちが10人ほど手伝ってくれ,心配していた配布は無事終了しました.医療に対する私の考えが正しいかどうかは読者に判断してもらうとして,本書が危機的日本の医療に対する国民的関心の呼び水になればよいと考えています.織田信長が桶狭間の戦いで歴史を変えたように,一介の医師が書いた本が混迷する日本の医療を変える可能性はゼロではありません.私には私心はありません.金も命も名誉もいりません.ただ日本の医療が良くなることだけを念じています.本書を読んで頂けることを切にお願いします.

■目次

はじめに

T 日本の医療費
 日本の財政事情
 日本の医療財政事情
 国民医療費は誰がどのように負担するのか
 国民医療費高騰の嘘
 国民医療費の価値
 老人医療の誤解
 医療費の国際比較
 安すぎる日本の医療費

U 病院経営
 医療従事者の過労
 不足するマンパワー
 医師・看護師の多忙
 公的病院の赤字
 私立病院の深刻さ
 診療所の経営

V 日本の社会保障
 福祉の流れに逆行する日本
 公共事業が優先される実態
 年金と介護

W 医療周辺産業
 高い薬剤費比率
 製薬会社が儲かる理由
 日本の製薬会社は世界で生き残れるか
 医療機器の値段
 院外薬局の是非

X 医療現場の憂鬱
 三時間待ちの三分診療
 医療サービスとは何か
 公私の格差
 救急医療について
 救急車の値段
 高額医療費の功罪
 高額医療が良い医療なのか

Y 医師の不安神経症

Z 日本の保険制度
 国民皆保険の破綻
 保険制度にかかわる不満
 現在の医療保険と医療報酬
 保険診療の矛盾点
 健康保険組合の問題点

[ 日本の医療の推移と現状
 戦後の医療
 医師の技術料
 医療はどのように受け止められているか

\ 医療事故から考えること
 患者取り違え事件
 麻酔科医死亡事件
 安楽死事件
 都立広尾病院医療事故
 有名病院ほど事故が多い

] 日本の医療はどこへ向かうのか
 国民の願い
 どこに問題があるのか
 医療の方向性
 医療の効率化と医療難民
 医療の平等性の弊害
 医療報酬の減額が意味するもの
 日本の医療の病巣
 最大の問題点
 日本の医療の国際評価
 医師は何をなすべきか

]T 医療の未来を考える

おわりに
図版の引用・出典一覧
 図表3 厚労省『国民医療費の概況』
 図表4 厚労省『国民医療費』各年版
 図表5 厚労省資料
 図表7 厚労省資料
 図表8 厚労省資料(イラスト)
 図表9 厚労省資料
 図表10 OECD Health Data, 1998
 図表11 AIU保険会社、2001年
 図表12 OECD Health Data, 1998
 図表13 厚生統計協会『厚生の指標』・菅谷良男『日本の医療と欧米の比較』
 図表14 厚生統計協会『厚生の指標』・菅谷良男『日本の医療と欧米の比較』
 図表15 厚生統計協会『厚生の指標』・菅谷良男『日本の医療と欧米の比較』
 図表16 高岡善人『病院が消える』(講談社、1993年)
 図表17 厚生統計協会『国民衛生の動向』
 図表18 厚生統計協会『国民衛生の動向』
 図表19 厚生統計協会『国民衛生の動向』
 図表20 厚生統計協会『国民衛生の動向』
 図表21 厚生統計協会『国民衛生の動向』
 図表22 国立社会保障・人口問題研究所調査
 図表23 OECD国別統計,1997年
 図表24 OECD国別統計,1997年
 図表25 中医協診療報酬基本問題小委員会海外調査
 図表26 浜六郎『薬害はなぜなくならないのか』(日本評論社、1996年)
 図表27 医療問題新政策研究会
 図表28 薬業時評者『薬事ハンドブック2002』
 図表29 経産省等資料
 図表30 ミクス『医療ランキング2001年版』
 図表31 医療経済研究機構
 図表32 厚労省『医療機器の流通慣行に関する調査』研究報告書
 図表33 厚労省資料
 図表34 AIU保険会社、2000年
 図表35 社会保険庁『医療給付受給者状況報告書』
 図表36 国際麻薬統制委員会資料
 図表38 内閣府資料
 図表39 厚労省資料,2001年
 p203・p204 「日本醫事新報」第1919号

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:竹川 慎吾 更新:樋口 也寸志
UP:20100726 REV:20100819
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