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『税制改革のグランドデザイン――よくわかる税金の今と近未来』

湯元 健治 編 20030320 生産性出版,227p. 


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■湯元 健治 編 20030320 『税制改革のグランドデザイン――よくわかる税金の今と近未来』,生産性出版,227p. ISBN-10: 4820117548 ISBN-13: 978-4820117544 1890 [amazon][kinokuniya] ※ t07.

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内容(「BOOK」データベースより)
恣意的な数字を排し、客観的・具体的データに基づく詳細な独自シミュレーションを示し、「公正・活力・簡素」な総合的税体系のあり方を提起する。

内容(「MARC」データベースより)
抜本改革で経済活力を取り戻せ! 恣意的な数字を排し、客観的・具体的データに基づく詳細な独自シミュレーションを示し、「公正・活力・簡素」な総合的税体系のあり方を提起する。

■目次

第1章 日本の税制改革論議どこが問題か――抜本改革の座標軸
第2章 持続的に経済活力を高める税制とは――レーガン税制の教訓を踏まえて
第3章 資本市場活性化と税制――リスクテイクを促進する税制
第4章 税の空洞化論をただす――広く薄い税負担は本当に必要か
第5章 経済・社会構造の変化と税制――ライフスタイルに中立な税体系とは
第6章 企業活力と税制――努力した企業が報われる税制とは
第7章 地方の自立・活性化と税制――交付金・補助金・税制の三位一体改革が必要
第8章 構造改革と税制――消費税の大幅引き上げは避けられない

■引用

◆岩崎 薫里 20030320 「持続的に経済活力を高める税制とは――レーガン税制の教訓を踏まえて」,湯本編[2003:25-52]
 「限界税率の低下が労働供給に与える影響は、男性についてはほとんど認められていないというのが、多くの研究結果から導き出されている。これは経済学的にいえば、税引き後の賃金が上昇すると労働意欲が促進される「代替効果」が働く一方、手取り収入が上昇すると労働意欲が低下する「所得効果」も働くためである。  なお、OECDが税引き後賃金の労働供給への影響についての研究を集めたところ、男性については労働供給の弾性値は最大で0%、最小で▲0.2%の結果となり、税引き後賃金の上昇で労働供給は変わらないかむしろわずかながらも減少することが確認された。ちなみに、既婚女性については、この弾性値が最大で2.3%、最小でも0.45%と、税金後賃金が上昇すると労働供給は促進されるとの結果であった(OECD[1997:59])。もっとも、既婚女性の平均労働時間は男性より少ないこともあり、既婚女性の労働供給が促進されても、労働供給全体への影響は限定的に止まることに留意する必要があるだろう。
 一方、税率変更の貯蓄への影響も、やはり認められていない。[…]
 このように、レーガン税制は当初の予想に反し、労働や貯蓄の促進を通じたサプライサイドの強化に対してほとんど効果がなかったといえよう。その一方で、減税によって可処分所得が増加し、それが個人消費を押し上げるというケインズ的需要刺激効果が働いたことは確認されている。」(岩崎[2003:44])

◆蜂谷 勝弘 20030320 「税の空洞化論をただす――広く薄い税負担は本当に必要か」,湯本編[2003:95-121]
 「@理論的観点からの検討
 一般に、所得税率の引き下げが経済活力に与える効果には、需要サイドの効果と供給サイドの効果の2つが存在する。需要サイドの効果とは、税率引き下げによる税負担の軽減が可処分所得の増加を通じてGDPを押し上げる効果、いわゆるケインズ効果である。これに対し、供給サイドの効果とは、税率の引き下げが労働供給や貯蓄率の変化を通して経済に影響を与える効果である。ちなみに、税率のフラット化の効果という場合、通常、供給サイドの効果を指している。
 このうち、税率の引き下げによる経済活性化効果が確実に見込まれる<0112<のは、需要サイドの効果である。もっとも、この効果の大きさは、可処分所得のうちどれだけを消費に回すか(いわゆる消費性向の高さ)に依存する。したがって、仮に、最高税率引き下げの目的が需要拡大にあるのであれば、一部が貯蓄に回る減税よりも、支出分が100%需要増大に結び付く公共事業の方がより大きな需要創出効果が期待できる。
 一方、供給サイドの効果は一義的には定まらない。これは、税引き後の実質賃金率の上昇によって労働供給が増えるか否かは、所得効果と代替効果の大きさに依存するためである。要するに、税率の引き下げによって手取り効果が増加した場合に、余暇を減らして少しでも多く働こうとするか(代替効果)、労働を減らして余暇を楽しもうとするか(所得効果)は、人によって異なる。わが国の高所得層について、所得効果と代替効果のどちらが大きいかは、生活に余裕のある高所得層ほど、手取り収入が増えたことで余暇を楽しむ傾向にあると考えられる。そうした場合には、最高税率の引き下げは、引き下げ論者の主張とは逆に、労働供給にマイナスに作用することになろう。
 A第2章でもみたとおり、最高税率の引き下げの先進国である米国の経験をみても、経済活性化効果が明確に現れたとする確証は得られていない。[…]<0113<
 B現実的観点からの検討
 […]高額所得者の場合、退職金やフリンジ・ベネフィット(福利厚生費)を利用した事実上のタックスシェルター(租税回避の仕組み)が存在している[…]わが国の所得税の最高税率が諸外国と比べて依然高い水準にあり、将来的にこれが優秀な人材の海外流出につながる懸念は否定できない。これを理由に、将来的に最高税率の引き下げを目指す場合でも、最高税率引き下げ単独ではなく、公平な税体系構築の一環と位置付けたトータルでの議論を行うべきであろう。」(蜂谷[2003:112-114])

■言及

◆立岩 真也 2008-2009 「税制について」,『現代思想』 資料

◆立岩 真也 編 200908 『税を直す――付:税率変更歳入試算+格差貧困文献解説』,青土社 ※


UP:20081211 REV:20090719
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