◇社会福祉における資源配分をめぐる研究史
「政策現象としての社会福祉を研究する学問は、イギリスでは社会行政学ないし社会政策・行政学(Social Policy and Administration)と呼ばれている。この研究分野の発展に尽力したティトマスが、その課題に触れて、「基本的に<<4<<は一連の社会的ニードの研究と、欠乏状態のなかでこれらのニードを充足するための組織(それは伝統的には社会的諸サービスとか社会福祉と呼ばれるものである)がもつ機能の研究に携わることになる」〔Titmuss,1968(三浦監訳,1971,p.15)]と述べた一節は有名である。
この引用文にある「欠乏状態のなかで」という一句の原文はin conditions of scarcityとなっているから、「希少状態のなかで」とか「希少性を条件として」と訳すこともできるだろう。これはニーズを持つ人びとが欠乏状態にあると述べたものとして考えがちであるが、文脈からはそうではなく、社会的ニーズを充足するための組織、すなわち社会福祉が資源の希少性という制約を受けている、あるいは、その条件のなかで機能していると述べたものと理解すべきである。」(4-5)
※Titmuss, R. M. [1968],Commitment to Welfare,George Allen & Unwin(三浦文雄監訳『社会福祉と社会保障――新しい福祉の地平を求めて』東京大学出版会
※Parker, R. A. [1967]“Social Administration and Scarcity: The Problem of Rationing" Social Work, Vol.24, No2,
Reprinted in, E. Butterworth and R. Holman (eds) [1975], Social Welfare in Modern Britain, Fontana.