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『人事労務管理の歴史分析』

佐口 和郎・橋元 秀一 編 20030315 ミネルヴァ書房,454p.


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佐口 和郎・橋元 秀一 編 20030315 『人事労務管理の歴史分析』,ミネルヴァ書房,454p. ISBN-10: 462303786X ISBN-13: 978-4623037865 ¥6000 [amazon][kinokuniya] w0106

■内容(「BOOK」データベースより)
本書は、戦後日本における採用・賃金・訓練・生産能率管理・労使関係・退職の諸制度の展開過程を、制度の補完関係を重視しながら1950年代から60年代に焦点をあて、総合的・体系的に明らかにする。さらに、中国・韓国での人事労務管理の展開過程と対比して、日本の経験を相対化するとともに、新しい国際比較の可能性を探る。

内容(「MARC」データベースより)
戦後日本における人事労務管理諸制度の展開過程を、制度相互の補完関係を重視しながら総合的・体系的に解明。さらに韓国・中国における人事労務管理の歴史を比較分析する。

■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
佐口 和郎
1955年生まれ。1984年東京大学大学院経済学研究科第二種博士課程単位取得修了。現在、東京大学大学院経済学研究科教授。経済学博士

橋元 秀一
1955年生まれ。1986年東京大学大学院経済学研究科第二種博士課程単位取得修了。現在、国学院大学経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■引用
「振り返ってみると20世紀は,企業の「外側」にいた一般の労働者を,雇用関係のもとに「内側」に抱え込んでいく過程であったといえる。企業の「内側」にいた職員層とは異なり,それまで熟練労働者は技能形成の面でも生活保障の面でも企業からは一定の独立性を保っていた。他方,常に代替可能な不熟練労働者は企業の「外側」に排除された存在であった。しかし大量生産方式の生成や社会関係の変化は,一般の労働者を企業の「内側」に,正式な構成員として抱え込んでいくシステムを要請した。企業は自ら労働者を能動的に働かせ,育て上げ,生活を保障していくことに責任を負っていったのである。さらに企業での正式な構成員としての労働者は,そこでの公正さの実現を求めていった。いいかえれば企業での労働や生活に関わる諸制度のルール形成の一方の担い手となったのである。そしてこのような雇用労働者として「内側」に抱え込んでいくシステムは,当然のこととして企業の効率性と両立させねばならない。目的意識的な人事労務管理制度が生成してくる根拠はこうした変化にあったといえる。」(p.3)

「最後に,人事労務管理としては,定着管理の過程で積み重ねられていった変化が基礎になっていった。多くの場合造船企業で現業員として働くことへの心構えは就職過程では作られて折らず,定着管理の課題としてもち越されていた。また仕事そのものへの不満も根強かった。こうしたタイプの労働者群に対し,現場では勤労課員と課長が新しい関係を形成しつつきめ細かい対応を繰り返していったのである。「人を育てる」という理念も,単なるスローガンではなくそうした過程に裏打ちされていた。そしてその理念を直接反映したのがND運動であった。さらに賃金制度・昇進制度・人事考課制度の連続的改定がなされ,「能力」の正確な測定と開発を意図した諸制度が作られた。新規高卒者中心の採用制度は,こうした諸制度によって補完され,一つのシステムに組み込まれていったのである。」(p.51)


*作成:橋口 昌治
UP:20081201 REV:20090805
佐口 和郎  ◇日本における働き方/働かせ方  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
 
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