『医療の〈てつがく〉的冒険』
野田 茂徳 20030331 五月書房,152p.
■野田 茂徳 20030331 『医療の〈てつがく〉的冒険』,五月書房,152p. ISBN-10: 4772703861 ISBN-13: 978-4772703864 \1995 [amazon]/[kinokuniya] ※ ms n04
■内容
(「BOOK」データベースより)
かけがえのない生命と貴方はどう向き合いますか。“患者にやさしい医療”の実現のために。
(「MARC」データベースより)
かけがえのない生命と貴方はどう向き合いますか? 患者にやさしい医療の実現のために、さまざまな角度から医療を「てつがく」する。『月刊新医療』連載をもとに単行本化。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
野田 茂徳
1940年12月生まれ。現在、筑波大学哲学・思想学系教授。哲学者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
一、地域に根ざすということ
筑波大学四半世紀/地元に根ざすことを求めて
看護学校での講義/実学としての〈てつがく〉をもとめて
二、「リベラル・アーツ」の大切さ
看護学校での倫理学講義/個体死ではない「脳死」認識
登内眞先生の言葉/医者と看護師は「対等な関係」
三、ギリシアで感じた“仁”について
アテーナイからデルポイまで/世界の仲間と路線バスに揺られる
〈仁〉を印象づけたペペの行動/『走れメロス』を髣髴とさせる
四、汝自身を知れ
デルポイ遺跡を歩く/他教排除で破壊されたギリシア建造物
宝庫が語る人間の悲喜劇/対立しながら共存する「神託」と「碑文」
五、ピランデッロの“栄誉”について
ムッソリーニに抵抗したノーベル賞作家/ファシズムへの非協力を貫く
作品に溢れるシチリア語/歴史と文化の宝庫シチリアを愛す
演劇を通して語った「真理の相対性」/深い人間理解が生む本物の〈てつがく〉
六、向かい合う“やさしさ”について
新入生に贈る「やさしい看護」/全員に伝わる看護の理念と感動
他者を排除していたと語る学生/〈存在の痛み〉発見から〈てつがく〉が始まる
七、フーヘランドの“医の倫理”
ゲーテの同時代人フーヘランド/著作『医戒』に医の倫理盛り込む
医師は他人のために生を受く/使命感の精神が蘭学者の心を打つ
八、知の冒険者―空想・自由な発想から実現へ
大学改革の重い扉/大学院化・バブル清算の渦に翻弄される
椎貝学長の「環境宣言」/大学の使命と〈いのち〉の実践を明確化
文科・理科の統合に情熱/山科大・山科医大統合で「総合科学」誕生
九、セレモニーの後はいつも“勉強会”
登内学校長を囲む〈勉強会〉/医療者としての自立と行動を喚起
椎貝病院長の「治療」の視点/患者の〈いのち〉介助に徹する
看護師へのメンタルケア/悩みの共通体験を分かつ場が必要
十、国境を越える“ヒッポクラテス”の末裔たち
ヒッポクラテスの「医の倫理」/医師のあるべき姿を明確に示す
ユニークな黄院長の存在/任官辞退し臨床医として生きる
普遍性貫く医療行為/他者のため心を込めた治療行う
十一、人間存在に向かい合う看護の“現場”
患者が下す医療施設への評価/やさしく丁寧な対応こそが病院の顔
医療の最前線を支えるのは何か/医療現場は看護で成り立つ
茨城県看護協会の看護職への教育理念/社会・自然環境への取り組みを掲げる
十二、「愛している」という言葉と行為
国家経済が瀕死のイタリア/希望を持って人間存在に向かい合う
的確に語る「愛している」の言葉/口に出すことで他者との関係性を確認
夕闇を散策するローマ人/人生を楽しみ。友情を心底から示す
十三、医師になった詩人について(上)
ラディゲに巡り合った詩人・丸山豊/内奥から発する言葉は人間存在に迫る
戦争の記憶は抜歯のきかぬ虫歯/極限状況での人間を描く医師丸山
十四、医師になった詩人について(下)
詩人丸山豊を戦後生き続けさせた原点/軍を背いて兵士を助けた水上中将の魂
不条理な死であがなわれる己のいのち/開業医として若き詩人に愛をそそぐ
あとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:岡田 清鷹