『精神医学の権力:コレージュ・ド・フランス講義1973-1974年度(ミシェル・フーコー講義集成IV)』
Foucault,Michel 2003 Le pouvoir psychiatrique: Cours au Collège de France. 1973-1974,Seuil/Gallimard
=20040205 慎改 康之訳 筑摩書房 viii+469p.
last update:20101210
■Foucault,Michel 2003 Le pouvoir psychiatrique: Cours au Collége de France. 1973-1974,Seuil/Gallimard
=20060210 慎改 康之訳 『精神医学の権力:コレージュ・ド・フランス講義1973-1974年度(ミシェル・フーコー講義集成W)』,筑摩書房 476p. ISBN-10: 4480790446 ISBN-13: 978-4480790446 \5800+税 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
(「BOOK」データベースより)
20世紀最大の思想家ミシェル・フーコーの、「知」のエスタブリッシュメントの頂点に立つコレージュ・ド・フランスにおける講義(講座名;思考諸体系の歴史)の貴重な記録。1971年から死の直前の84年6月までの伝説的な講義では、壮大な思考の全容が各年度の尖鋭なテーマに沿ってスリリングに明かされてゆく。ピネルやエスキロールによる19世紀前半の実践から、ルーレなどの「道徳療法」の局面を経て、神経学の登場そしてシャルコーの舞台へと至るまでの精神医学の歴史的変容を、そこに働く「権力のテクノロジー」に焦点を定めつつあざやかに分析する。
■目次
緒言
一九七三年十一月七日 (3) *以下()内の数字はページを示す
精神病院の空間と規律の秩序
治療の操作と「道徳療法」
治癒の舞台
『狂気の歴史』に対してこの講義が行う問題の転換
(一)「諸表象」の分析から「権力の分析論」へ
(二)「暴力」から「権力のミクロ物理学」へ
(三)「制度的規則性」から権力の「配備」へ
一九七三年十一月十四日 (25)
ジョージ三世の治癒の舞台。「君主権のマクロ物理学」から「規律権力のミクロ物理学」へ
狂人の新たな形象
治癒の舞台の小百科
催眠とヒステリーの実践
精神分析の舞台、反精神医学の舞台
キングズリーホールのメアリー・バーンズ
狂気の取り扱いと真理の計略。メイソン・コックス
一九七三年十一月二十一日 (51)
「規律権力」の系譜学。「君主権的権力」。規律権力と君主権的権力における主体機能
規律権力の諸形態。軍隊、警察、徒弟、仕事場、学校
「正常化=規範化の審級」としての規律権力
規律権力のテクノロジーと「個人」の構成
人間科学の出現
一九七三年十一月二十八日 (79)
規律の装置の歴史を構成する諸要素。中世における修道者共同体。教育による若者の占
領支配。パラグアイにおけるイエズス会の任務。軍隊、仕事場、労働者居住区
ジェレミー・ベンサムのパノプティコンモデルにおける、これらの装置の形式化
家庭制度および心理学的なもの【プシ】の機能の出現
一九七三年十二月五日 (115)
精神病院と家庭・禁治産から監禁へ。精神病院と家庭との断絶
精神病院、治癒の機械
「身体にかかわる機構」の類型学
狂人と子供
メゾン・ド・サンテ
規律の装置と家庭の権力
一九七三年十二月十二日 (151)
精神医学による介入の目標としての子供の構成
精神病院的かつ家庭的なユートピア。オアーズ県クレルモンの精神病院
原始的精神医学の実践における現実と真理との「両義的主人」としての精神科医から、現実的なものを「強化する者」としての精神科医へ
精神医学の権力と真理の言説
ヒステリー患者の偽装と蜂起に関する問題
精神分析の誕生の問題
一九七三年十二月十九日 (175)
精神医学の権カ
フランソワ・ルーレの治療法とその戦略的諸要素
一、権力の不均衡化。二、言語の再利用。三、欲求の調整。四、真理の言表
病の快楽
精神病院という装置
一九七四年一月九日 (211)
精神医学の権力と「指導=監督」の実践
精神病院における「現実」の作用
医学的にしるしづけられた空間としての精神病院と、その医学上ないし運営上の指導=監督の問題
精神医学の知のしるし(a)尋問の技術〈b)医療と処罰の作用(c)臨床提示
精神病院における「権力のミクロ物理学」
心理学的なもの【プシ】の機能と神経病理学の出現
精神医学の権力の三重の運命
一九七四年一月十六日 (247)
精神医学の権力の一般化の諸様態と、幼少期に対する精神医学的意味の付与
白痴の理論的種別化。発達の基準。白痴の精神病理学と精神遅滞の出現。エドワール・スガン。本能と異常性
精神医学の権力による白痴の制度的併合。白痴の「道徳療法」。スガン。白痴を監禁し、それに危険性の烙印を押すプロセス。変質概念への訴え
一九七四年一月二十三日 (289)
精神医学の権力と真理の問題。尋問と告白。磁気療法と催眠。麻薬
真理の歴史のための諸要素。T出来事としての真理とその諸形式。司法的、錬金術的、医学的実践。U論証的真理のテクノロジーへの移行。その諸要素。(a)調査の手続き。(b)認識の主体の制度化。(c)医学と精神医学における分利の除外と、その諸々の支え。精神病院の規律的空間、病理解剖学への訴え。狂気と犯罪との諸関係
精神医学の権力、ヒステリーの抵抗
一九七四年一月三十日 (333)
医学と精神医学における診断の問題
精神医学的疾病分類学における身体の位置。進行麻痺のモデル
医学と精神医学における分利概念の運命
精神医学における現実性の試練とその諸形態。I尋問と告白。臨床提示の儀礼。「病理的遺伝」と変質についての注記
U麻薬・モロード・トゥールとハシシュ。狂気と夢
V磁気療法と催眠。「神経学的身体」の発見
一九七四年二月六日 (373)
神経学的身体の出現・ブローカとデュシェンヌ・ド・ブーローニュ
鑑別診断のための病と、絶対診断
「進行麻漉」のモデルと神経症
ヒステリーの戦い。I「症候学的シナリオ」の組織化
U「機能的操り人形」の術策と催眠。偽装の問題
V神経症と外傷。性的身体の闖入
講義要旨 (421)
講義の位置づけ (431)
解説 (461)
索引
*作成:箱田 徹