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『レポート・論文の書き方入門 第3版』

河野 哲也 20021225 慶應義塾大学出版会,116p.

Last Update:20140710
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■河野 哲也 20021225 『レポート・論文の書き方入門 第3版』 慶應義塾大学出版会 116p. 1000+税 ISBN-10: 4766409698  ISBN-13: 978-4766409697 [amazon][kinokuniya]  ※


■内容

Amazon.co.jp
大学などの講義でレポートや論文の提出を求められ、どのように書けばいいのかとまどった人におすすめの1冊。レポートや論文のまとめ方の基本的な考え方やルールをていねいに解説したハウ・ツー本である。
まず、論文には論文の形式がある。論文は、あるテーマにもとづく「問い」から始まり、「議論」を経て「答え」に至る「序論―本論―結論」で構成されていなければならない。論文での説得は論理と実証によって行わなければならないので、文学的美文は必要ないが、論理的・実証的説得力が不可欠となる。そこが、感想文やエッセイとの大きな違いであると著者は説く。レポートも論文の一形態であり、基本的な定義・要件は論文と変わらない。

本書では、「論文の要件と構成」を簡潔に説明した上で、「テーマ・問題の設定、本文の組み立て方」「注、引用、文献表のつけ方」「見本レポート」「インターネットの利用法」などを具体的に解説する。また、導入部に「テキスト批評」の章を設け、実際のゼミナールの場面を想定し、テキスト批評の方法を記述しているのも特徴といえる。テキスト批評とは、ある論文や著作を要約し、そこから自分なりの問題を発見・提起して議論を展開していくことであり、論文をまとめていく上で有効な訓練となる。

レポートを求められたにもかかわらず、作文を提出する大学生が多いようだが、そのことに問題を感じていない学生にこそ、本書を手にしてもらいたい。(清水英孝)

内容紹介
1997年に初版を刊行して以来計4万部以上のロングセラーとなっている好評な学習実用書の増補改訂版です。

旧版で好評を博しました、レポートや論文作成の基本知識と新しい練習方法に加え、インターネットを使った資料検索の方法や、情報倫理の問題、インターネット上の著作権の扱いなどについて学生が注意すべき点をまとめた項目を増補しました。

■目次

1章 大学での勉強とレポート・論文の書き方―はじめてレポートを書く人のために―
2章 テキスト批評という練習法
3章 論文の要件と構成
4章 テーマ・問題の設定、本文の組み立て方
5章 注、引用、文献表のつけ方
付録1 「見本レポート」
付録2 接続語・接続表現による文の論理的結合
付録3 インターネットの利用法
付録4 最近の引用注のつけ方について
参考文献
あとがき

■引用

◆…卒業論文を書かなくてはならない段になっても、多くの学生が入学時からあまり進歩していないのが実情です。とくに、学生にとっての悩みの種はテーマ設定とテーマに関する問題設定です。卒業論文では、自分自身でテーマを設定しなければなりませんが、テーマは、突然思いつくものではないからです。/そこで本書が推薦する有効な練習方法がテキスト批評です。「テキスト批評」とは、ある論文なり著作なりを読んで要約し、そこから自分なりの問題を提起して、その議論を展開させる文章です。批評(コメンタリー)を書くことは、その文の主張を鵜呑みにするのでなく、検討し考えながら読む練習になります。それと同時に、自分独自のテーマ(主題)で論文を書くための、非常によい準備にもなります。重要な著作を読みながら、自分のテーマや問題を形成していく過程を学ぶことができるからです。[2002:3]

◆…大学では、現在要求されている専門知識の習得を目指す一方で、これまでの知識や理論、常識をいったん疑い、それが本当に正しいかどうか確かめる批判的検討能力や、なにが真の問題なのかを発見し、新たな解決法や対処法を見つけだしていく問題発見−解決能力の養成が求められます。[2002:6]

◆古典と呼ばれるものは、単に古き良き教養をつけるために読むのではなく、そこに表れている著者の現実の捉え方、ものの見方を学ぶためにあるのです。…/このように著者の現実の捉え方をいったん理解したうえで、そのやり方(プログラム)で、本当にうまく事態が理解できるのか(情報を整理できるか)、問題が解決できるのか(期待されたアウトプットができるか)、見落としてしまうものはないのか(読み込めない情報はないか)、別の問題にはどのように対処するのか(汎用性があるか)、など著者の主張をさまざまな問題や事例に適用しながら検討していくことこそが、問題意識やテーマ設定能力を養うことにつながります。テキスト批評ではこれを行います。[2002:16]

◆書くべき分量は…数ページのテキストの批評の場合には、A4のレポート用紙に2−3枚程度、十数ページの場合には、4−6枚程度が目安になると思います。…
(1)目的の提示:

(1-a)どんなテキストのコメントを行うのか、著作の部分であるならそれはどのような部分か、などを簡単に紹介し、
(1-b)論じてゆく内容の順序をやはりごく簡単に紹介する。

(2)要約:

○テキストの要約ですから、丸写しではだめで、著者の主張を自分なりにつづめる必要があります。…各段落(パラグラフ)を…1−2行程度の一文に要約しておくとよいでしょう。それは、文段の文章のうち、派生的なものを切り捨て、著者の主張が端的に表れたもっとも重要な一文を見つけることでもあります。/すべて読み終わった後、各文段に与えた「一文要約」をつなげて、全体の要約をつくります。…
○このとき、ひとつ注意してほしいことは、要約箇所がテキスト上のどの部分に該当するのか、ページ数を丸カッコの中に入れて示しておくことです。…これはレポート・論文での出典を明示するための注の役割をします。…
(3)問題の提起:
テキスト批評で一番重要なのは、この「問題提起」であり、批評全体の成否はここで決まってしまいます。…
(3-a)テキストの中心的な主張のピック・アップ:
まず、テキスト中で、自分で関心を持った主張、重要と思われる意見をピックアップします。…理由や根拠を示す必要があります。…
(3-b)問題提起:
テキストからピック・アップした原著者の主張について、疑問、是認、反論(ないし批判)を行います。…
(4)議論:
…テキストの著者の主張について、自分の主張を展開してゆき、一定の結論へ至るように議論します。…/結論へと至る議論の展開の仕方には、例えば、次のようなものがあり得るでしょう。
(a)「反論−否定的結論」型
…著者の主張を批判していき、否定的な結論にまとめることです。…
(b)「反論−代案の提示」型
著者の主張の問題点から、その主張に反論し、最後に自分の代案を提示します。…その場合、著者の主張よりも自分の主張がよりよいことを示す必要があります。
(c)「著者の主張の限定−補足・代案の提示」型
著者の主張を限定的に否定、すなわち限定的に肯定し、補足的な主張や代替案を提示する形です。…
(d)「批判的検討−肯定(補足)」型
批判的検討を経て、著者の主張を肯定するやり方も可能です。ただし、その場合、単に「正しい」と言うのではなく、あり得る反論に対して再反論しながら肯定する必要があります。…/また、著者の主張を自分で補足していくのもよいでしょう。…
(5)まとめ:
最後に、これまでの全内容を手短にまとめます。とくに、著者の主張のピック・アップからの流れを考慮しながら、自分のコメントを要約します。[2002:17-27]


(1)まず、論文とはコミュニケーションの一形態で、それも複数の人間に読まれ得ることを想定した公共性を持った文章表現です。…
(2)論文において著者は、あるテーマのもとで問題を立て(「序論」)、それについて論理的・実証的に論述を展開し(「本論」)、最終的に提出した問題に解答(「結論」)を与えなくてはなりません。/つまり、論文は基本的に、問いから始まり、議論を経て、解答に至る「序論−本論−結論」という形式で構成されていなければならないのです。…
(3)論文の目的は、論理的・実証的論述によって、読者に対して自分の結論的主張を説得し、納得させることです。[2002:32-33]

◆…レポートとは、出題者によってテーマあるいは問題が定められた(小)論文のことです。…こうしたレポートは、講義の理解度を見ることが、大きな目的のひとつです。[2002:34]

◆…レポートと学術論文とは目的が異なっています。学術論文の目的は、独創的な主張の提示にあります。一方、レポートは講義やテキストの内容が十分に理解されているかどうかを見ることがまず第一の目的です。/ですから、レポートでは、講義やテキストの内容に即して問題が出題されています。学生も、講義やテキストの内容を理解していることを示しながら、議論を展開し、提示された設問に解答しなければなりません。…
(1)まず第一に、レポートは、講義を行なった教師(ないしはテキストの著者)とのあるテーマについての対話です。…対話とは、相手の議論や主張を理解したうえで、今度は自分の主張や疑問を相手に返答することです。つまり、レポートでは、講義やテキストの内容を的確にまとめ、その後に、設問の解答に至るように、自分なりの主張や疑問、調べた内容を論じるという理解と返答の二段階の過程が要求されるのです。…
(2)レポートも、論文の一形態です。よって、「序論」「本論」「結論」の論文構成によって書かなければなりません。…とくに人文・社会科学のレポートの「設問」では、漠然とした問題提起をしている場合がしばしばあります。それは、設問を自分なりに捉え直し、もう一度、明確に定義し直せるかどうかを見るためなのです。…つまり、いきなり「本論」を書き出さずに、「設問」において何が問われているのかを、講義やテキストの内容に照らしあわせて明確にする必要があるのです。…これをせずに無計画に本論を書き始めると、設問の意味をとり違えたり、議論が設問の意図から離れていってしまう危険性があります。/また、同様に、議論の最後にかならず結論を出し、議論の総括をしなければなりません。…
(3)講義やテキストの内容について十分言及し、そこから自分の議論を始める必要性も協調しておきます。…レポートでなされるべきものは…根拠のある主張どうしの対話なのです。[2002:36-39]

◆…文段どうしは相互に論理的に結びついていなければなりません。文段を論理的に展開するためには、接続詞や文章表現の使い方がしばしば要点となります。[2002:47]

◆次のものが実証のための証拠となります。
(a)実験・観測(観察)・アンケート調査・インタビューなどによる実証的な証拠、いわゆる「事実」。
(b)証言、または信頼できる専門家の意見。
(c)一般に確認された見解、すでに証明された主張、あるいは、いわゆる社会的通念、常識。
自分の主張・意見を打ち出すときには、上であげたような証拠で裏うちしなければなりません。…自説の依っている証拠が、どういった種類の証拠であるか、またどれくらい信頼性のあるものであるかを常に示しながら議論を進める必要があります。[2002:48]

◆最後に指摘しておきたいのは、現在論じていることが、誰の意見であるのか、あるいはどこからの出典であるのか、その言明の帰属元や出所をはっきりさせることです。[2002:49]

◆…議論を展開する大筋が決まったら、それに関連する二次的・補助的な文献や資料を集めます。/主要文献が、対話・討議の相手ならば、補助的な資料や文献は、自分の証言に立ってくれる証人とでも言うべきでしょう。自分の主張を裏打ちしてくれる資料や文献、反論したい主張をうまく批判している資料や文献を集めます。さらに、逆に、自分の立場と相反し、自分のとる主張に批判的なものも検討します。主張は、反論を説き伏せることで堅固になっていくという討議の主張を忘れないでください。[2002:60]

■書評・紹介


■言及





*作成:片岡 稔
UP:20110621 REV:20140701 0703 0707 0708 0710
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