『カント――世界の限界を経験することは可能か』(シリーズ・哲学のエッセンス)
熊野 純彦 20021125 日本放送出版協会,125p.
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■熊野 純彦 20021125 『カント――世界の限界を経験することは可能か』(シリーズ・哲学のエッセンス),日本放送出版協会,125p. ISBN-10:414009303X ISBN-13:978-4140093030 \1050 [amazon]/[kinokuniya] ※ ki03 p
■内容
内容(「BOOK」データベースより)
ひとはなぜ世界の始まりや果てについて考えてしまうのか。「不可能なもの」をめぐる経験とはなにか。カントの哲学的思考を鮮やかにとらえる。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
熊野 純彦
1958年神奈川県生まれ。東京大学文学部倫理学科卒業。同大学院博士課程単位取得退学。東北大学文学部助教授等を経て、現在、東京大学文学部助教授。専門は倫理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
■目次
序章 青ぞらのはてのはて
1 問いの始まりへ
「ビッグバン」の、そのてまえ
問いの始まり、思考の始まり
有限なじぶんを超えるもの
2 世界の始まりをめぐる思考
拒むことも答えることもできない問い
神、自由、魂の不死、世界の始まり
世界の始まりをめぐる思考
第一章 世界は始まりをもつか?
1 世界の限界をめぐる問いへ
アンティノミーとはなにか
四つのアンティノミー
第一アンティノミー
2 世界は有限か、無限か?
背理法による証明をめぐって
テーゼの証明について
アンティテーゼの証明について
3 過ぎ去った永遠、空虚な時間
テーゼの証明・再考
「無限量」という問題をめぐって
アンティテーゼの証明・再考
4 世界は経験を超えている
超越論的観念論という立場
第一アンティノミーはほんとうの「対立」になっているか
「現象の総括」としての世界
5 世界は有限でも無限でもない
「経験的遡源」という視点
第一アンティノミーの「解決」
カントじしんによる説明――矛盾対当と弁証論的対当
第二章 神は世界のそとにある?
1 「見ること」とその形式
超越論的観念論・再考
超越論的感性論の課題
形式と素材の区別について
2 見えるもの、見えないもの
認識は経験から開始される
空間はア・プリオリな形式である
「現象」と「物自体」の区別、あるいは超越論的観念論
3 時間と空間を超えるもの
超越論的感性論の位置について
超越論的感性論がなぜ重要なのか
「一般的注解」について――神は時空を超越する
4 神の存在は証明できるか?
第四アンティノミーについて
第三アンティノミーについて
神の存在論的証明をめぐって
5 思考の底知れない裂け目
因果律による証明、目的論的な証明、存在論的な証明
最高存在の独語――「理性の深淵」について
なぜ偶像崇拝が禁止されるのか――「崇高なもの」へ
第三章 「不可能なもの」をめぐる経験
1 感覚と、感覚を超えるもの
道徳神学の問題――「理想」論から「要請」論へ
『判断力批判』の課題――感性的なものと超感性的なもの
『判断力批判』の構成をめぐって
2 美しいこと気高いこと
「情感的判断力」の問題
「美しいもの」と「崇高なもの」
『美と崇高なものの感情にかんする観察』
3 他のすべてを超えて大きなもの
数学的崇高と力学的崇高の区別
数学的に崇高なもの――比較を絶して巨大なもの
大きさの「情感的な評価」という問題
4 無限なものと〈不可能なもの〉
美と崇高の区別・再考――かたちなきかたち
無限なものの影、〈不可能なもの〉の経験
呈示されえないものを呈示すること――構想力にとっての「深淵」
5 〈境界〉をめぐる思考
大きすぎること、近すぎること、遠ざかりすぎること
崇高と不可能なもの――〈境界〉をめぐる経験
〈境界〉をめぐる思考
カント小伝
読書案内
あとがき
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:樋口 也寸志