『福祉社会と社会保障改革――ベーシック・インカム構想と新地平』
小沢 修司 20021030 高菅出版,195p.
last update:20120110
■小沢 修司 20021030 『福祉社会と社会保障改革――ベーシック・インカム構想と新地平』,高菅出版,195p. ISBN-10: 4901793047 ISBN-13: 978-4901793049 \2310 [amazon]/[kinokuniya] ※ bi p06 p0206
■内容
本書の特徴は二つ。一つは、戦後「福祉国家」下の社会保障制度の揺らぎの意味を、世界的に進行する家族ならびに労働のあり方の変化という基礎構造の変化から捉えると同時に、日本においては「企業中心社会」的特徴をもっている社会経済システムならびに社会保障制度が機能しなくなっているという視点から捉えている点。もう一つは、ベーシック・インカム構想というヨーロッパを中心に大きな関心を呼びながら日本ではまだ研究が緒についたばかりの議論を展開していることである。
内容(「MARC」データベースより)
戦後「福祉国家」下の社会保障制度の揺らぎの意味を明らかにしながら、これからの人間福祉の実現を図る社会経済システムならびに社会保障制度のあり方を探る書。
■目次
T 企業中心社会と社会保障改革
第1章 いま何故、社会保障改革か
1 家族・労働の変化と社会保障制度の揺らぎ
1 家族の変化
2 労働の変化
2 わが国社会保障制度の「企業中心社会」的特徴
3 「企業中心社会」の弊害
1 個人生活の自由度の制約
2 「企業中心社会」と少子化の進展
3 少子化の要因への対応の視点
4 「男女共同参画社会」と戦後税制の転換
1 「男女共同参画社会」を目指して
2 政府税制調査会「基本方針」における個人所得課税の見直し
3 配偶者控除、配偶者特別控除の異質性
第2章 国民負担から見た社会保障改革
1 「福祉ビジョン」の描く「社会保障の給付と負担」像
1 破綻した「日本型福祉社会」論
2 「福祉重視」型への転換と国民負担増
2 社会保障の「国民負担」
1 「国民負担」に隠された国民負担の実像
2 「国民負担」論義と「社会保障構造改革」
3 80年代からの「受益者負担」戦略の評価
1 医療における自己負担金
2 福祉における自己負担金
3 社会福祉「自己負担金」の推計
4 国民負担から見た社会保障と国民生活
1 国際比較に見る社会保障水準の低さ
2 個人負担と国民生活
3 国民負担のあり方と社会保障改革の方向
U ベーシック・インカム構想と福祉社会の展望
第1章 ベーシック・インカム構想の新展開
1 ベーシック・インカム構想の系譜
1 ベーシック・インカム構想の系譜
2 日本におけるベーシック・インカムへの言及
3 ベーシック・インカムとシチズンズ・インカム
2 戦後「福祉国家」の見直しとベーシック・インカム構想
1 福祉制度改革の課題
2 1980年代以降の社会経済変化
3 最低限所得保障の諸類型とベーシック・インカム構想
1 負の所得税とベーシック・インカム
2 参加所得とベーシック・インカム
3 社会配当とベーシック・インカム
4 小括
第2章 労働の変容と所得保障
1 ゴルツの「ベーシック・インカム保障+大幅時短セット論」
1 労働の変容と所得保障構想の変化
2 所得と労働の一体性を実現する「ベーシック・インカム+時短セット」論
2 社会的排除と貧困
1 社会的排除
2 貧困の現れとしての社会的排除
3 ワークフェアと所得保障
1 社会的排除と所得保障
2 ワークフェアとベーシック・インカム
4 ベーシック・インカム保障と労働時間の短縮が切り開く道
1 オランダモデルへの注目
2 消費から見たもう一つの「所得と労働の関係」
5 小括
終章 日本におけるベーシック・インカムの可能性
あとがき
参考文献
■引用
■紹介・言及
◇野崎 泰伸 200706 「生活保護とベーシック・インカム」『フリーターズフリー』第1号、人文書院、282-292
◇立岩 真也 2006 『希望について』文献表
◇橋口 昌治 200908 「格差・貧困に関する本の紹介」, 立岩 真也編『税を直す――付:税率変更歳入試算+格差貧困文献解説』,青土社
*更新:樋口 也寸志