HOME > BOOK >

『地域文化と学校―三つのタイ農村における「進学」の比較社会学』

尾中 文哉 20021025 北樹書房,185p.


このHP経由で購入すると寄付されます

尾中 文哉  20021025 『地域文化と学校―三つのタイ農村における「進学」の比較社会学』,北樹書房,185p. ISBN-10:4893848828 \2400 [amazon][kinokuniya] ※ e02

■内容
(「MARC」データベースより)
地域文化の強い国、タイの農村を研究対象とした進学に関する研究書。「進学機会拡大=善」「より高い進学=善」を前提することなく、進学することとしないことについて考える。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
尾中 文哉
1962年、京都市生まれ。北区、旭川市、世田谷区、中野区、新宿区、三鷹市、水戸市、バンコク市、チェンマイ市などを経て現在、川崎市に居住。日本女子大学西生田キャンパスに勤務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次
第1章 序論 (12)
 第1節 何に注目するのか (12)
  第1項 「進学」という問題/第2項 「進学」の研究史
  第3項 従来の「文化的不平等論」の問題点/第4項 「地域」という視点
  /第5項 「地域文化」という視点
 第2節 アプローチの方法 (22)
  第1項 「深い比較」という方法/第2項 具体的方法
 第3節 接近する相手 (24)
  第1項 なぜタイなのか/第2項 対象とする「地域」   第3項 取り上げる「地域文化」の三領域/第4項 なぜ農村か   第5項 タイ農村研究の流れ/第6項 「言説分析」と「地域文化」の視点   第7項 「共同体文化」論・「市民社会」論と 「地域文化」の視点   第8項 「ネットワーク」と「コミュニティ」/第9項 タイ農村に関する「進学」  研究/第10項 取り扱う「進学」のレベルについて/第11項 調査の実施  第4節 タイの学校制度と「進学機会拡大策」 (34)
  第1項 現在の学校体系/第2項 「進学機会拡大策」の起源/第3項 「進学機会  拡大策」の現在

第2章 北タイ・ナーン県H村の「地域文化」と「進学」
       ―「もうひとつの発展」運動を中心に― (37)
 第1節 はじめに (37)
  第1項 「もうひとつの発展」とは何か/第2項 H村の概要/第3項 H村
  における「地域文化」/第4項 調査の実施
 第2節 ナーン県H村略史 (42)
  第1項 1940年代まで/第2項 1950年代〜80年代前半/第3項 1980年代後半以降
 第3節 H村における「もうひとつの発展」の活動 (45)
  第1項 「複合農業グループ(クルム・カセート・パソムバサーン)」/第2項「主  婦グループ(クルム・メーバーン)」/第3項 「若い世代のグループ(クルム・ヤォ  ワチョン)」/第4項 「貯蓄グループ(クルム・オームサップ)」/第5項 「も  うひとつの発展」をささえる人的基盤/第6項 「もうひとつの発展」とH村学校
 第4節 「進学」とH村における「もうひとつの発展」 (54)
  第1項 「進学」したい高校/第2項 「もうひとつの発展」のネットワークと「進  学」希望/第3項 「進学」と親の経済的地位/第4項 親の階層を考慮したときの  「もうひとつの発展」の影響
 第5節 「村で暮らしたい」という価値観 (61)
  第1項 「村で暮らしたい」という価値観/第2項 「村で暮らしたい」という価値  観と階層
 第6節 「将来つきたい仕事」 (64)
 第7節 小結 (65)

第3章 東北タイ・コンケン県N村における「地域文化」と「進学」
       ―「モラーム」を中心に― (69)
 第1節 はじめに (69)
  第1項 「モラーム」という芸能/第2項 N村の概要/第3項 N村における「地  域文化」/第4項 調査の方法
 第2節 N村の概史 (75)
  第1項 1922〜1950年代/第2項 1950年代〜1980年代後半/第3項 1980年代後半  〜1996年
 第3節 N村における「進学」の特徴 (75)
 第4節 N村における「地域文化」の変容 (79)
  第1項 バニャー(phanyaa)/第2項 N村におけるモラームの古い形/第3項 N  村における「仏教」の再興/第4節 サラバンの始まり/第5項 N村におけるモ   ラーム の新しい形/第6項 N村における「仏教」の変容/第7項 サラバンの現  在/第8項 「もうひとつの発展」運動のきざし/第9項 「若者歌謡(プレーン・  ワイルン)」の登場
 第5節 N村における「地域文化」の人的基盤 (88)
  第1項 モラームをささえる人的基盤/第2項 「仏教」をささえる人的基盤/第3  項 「もうひとつの発展」の人的基盤/第4項 「N村学校」の位置
 第6節 「モラーム」・「仏教」と「進学」との関連 (93)
  第1項 モラームになるということ/第2項 女性モラームの教育熱心さ/第3項   「仏教」と「進学」
 第7節 中高生の「進学」志向・地域志向・「地域文化」 (98)
  第1項 中高生の「進学」志向と「地域文化」/第2項 中高生の地域志向と「進   学」志向/第3項 中高生の地域志向と「地域文化」/第4項 「地域文化」・「進  学」意識・地域志向
 第8節 小結 (102)

第4章 南部国境地帯・パタニ県A村の「地域文化」と「進学」
       ―「ポノ」を中心に― (102)
 第1節 はじめに (105)
  第1項 「ポノ」とは何か/第2項 「ポノ改編政策」の経緯/第3項 「ポノ」の  研究史 第4項 研究史上の問題 
 第2節 A村について
  第1項 A村の概要/第2項 A村における「地域文化」/第3項 調査の実施/第  4項 A村における「進学」の動向
 第3節 A村概史 (117)
  第1項 1950年代まで/第2項 1960年代〜1980年代/第3項 1990年以降
 第4節 「ポノ」A (119)
  第1項 「ポノ」Aの概要/第2項 「ポノ」の外観/第3項 「ポノ」の1日/第  4項 「ポノ」での生活の特徴/第5項 「ポノ」での学習の特徴/第6項 息抜き  としての「タイ文化」/第7項 「ポノ」Aのイスラム学/第8項 「学生」である  ことの終わり/第9項 「ポノ」Aをささえる人的基盤
第5節 「ポノ」Åと外部の関係 (134)
  第1項 「ポノ」ÅとÅ村/第2項 「ポノ」ÅとÅ村学校/第3項 「ポノ」Åと  「スコラ」B/第4項 「ダッワー」(布教活動)
 第6節 小結 (140)

第5章 結論 (143)
 第1節 三つの軸 (144)
  第1項 「地域文化志向」/「非地域文化志向」という軸/第2項 「地元志向」/   「都会志向」という軸/第3項 「進学」/「非進学」という軸
 第2節 「進学機会拡大策」と「非地域文化志向的進学」の帰結 (145)
  第1項 かつての「進学機会拡大策」/第2項 最近の「進学機会拡大策」
 第3節 「分離運動」的立場と「地域文化思考的非進学」の帰結 (148)
 第4節 「地元志向」的で「地域文化志向」的な「ほどほどの進学」
      という選択 (149)
 第5節 「地域文化」の構造と「地元志向」 (150)
 第6節 「地域文化」をささえるもの (151)
  第1項 「ネットワーク」と「地域文化」/第2項 「社会経済的地位」と「地域文  化」/第3項 「大衆文化」と「地域文化」/第4項 NGOと「地域文化」/第5  項 「村の学校」と「地域文化」
 第7節 得られた結果の実践的意味 (154)
 第8節 得られた結果の理論的意味 (156)
 第9節 日本社会にとっての意味 (160)
 第10節 残された課題 (162)

注 (163)
参考文献 (173)
あとがき (184)

■引用
「かつては、例えば「貧困」が「進学機会」を妨げている最大のものだったが、最近は、「文化差」こそが最大の原因だ、と変化しつつある、このように形をかえつつ、「進学機会拡大」論は拡大を続けている。
 そこで本研究では、「進学機会拡大=善」「より高い進学=善」を前提することなく、「進学すること」と「進学しないこと」について考える、さらには、そこにおける「文化」的観点について吟味し直す、という作業を行ってみたい。(p.13)」

「その中で見出されたのは、三つの対立軸である。第一に、「地域文化志向」/「非地域文化志向」という軸であり、第二に、「地元志向」/「都会志向」という軸であり、第三に、「進学」/「非進学」という軸である。(p.143) 」

■書評・紹介

■言及
 


*作成:松村 菜摘子
UP:20081028 REV:20090724
尾中 文哉  ◇教育/フリースクール  ◇身体×世界:関連書籍 2000-2004  ◇BOOK
 
TOP HOME(http://www.arsvi.com)