『ソーシャルワーカーのための社会学』(社会福祉基礎シリーズ 13)
岩上 真珠・川崎 賢一・藤村 正之・要田 洋江 編 20021010 有斐閣,308p.
■岩上 真珠・川崎 賢一・藤村 正之・要田 洋江 編 20021010 『ソーシャルワーカーのための社会学』(社会福祉基礎シリーズ 13),有斐閣,308p. ISBN-10: 4641055378 ISBN-13: 978-4641055377 \2100 [amazon]/[kinokuniya] ※
■内容
(「BOOK」データベースより)
社会福祉の問題の背後にある社会構造・社会変動についての理解を深め、自分たちが社会に関わり、社会現象を作り出しているという視点を手に入れ、社会的現実を相対化する視点と方法を学び、新たな視点で現実をとらえ直すこと、を柱として構成した。
■目次
1章 ソーシャルワークと社会学
1 社会学とソーシャルワークとの関係
1-1 科学・学問/実践知。日常知:学問的営為と社会福祉実践
1-2 社会学の学問的態度:リアリティ(社会的現実)をいかにとらえるか
1-3 社会学が果たすべき役割
2 ケアへの社会学的接近
2-1 ケアとは何か
2-2 ライフコースとケア
2-3 ケアとジェンダー化
2-4 ケアのジェンダー化
2-5 ケアの社会化と専門化
2-6 シティズンシップとしてのケア:ケアする権利、ケアされる権利
2章 ライフコースと家族
1 ライフコースへの着目
1-1 「ライフコース」論の登場
1-2 ライフサイクルと家族周期論
1-3 家族へのライフコース的接近
2 ライフコースの変化と家族
2-1 少子・高齢化社会のライフコース
2-2 女性のライフコースの変化
2-3 多様なライフコースと家族
3 個人のライフコースと家族の生活課題
3-1 ライフステージと家族
3-2 「標準的」な出来事経験と生活課題
3-3 「標準的」でない出来事経験と生活課題
4 ケアと家族
4-1 ウェルビーイングの追及
4-2 ケア役割とジェンダー
4-3 家族への社会的サポート
3章 地域社会
1 生活変動と地域社会
1-1 生活課題への対応と地域社会
1-2 産業化と社会生活の変容
2 産業都市の誕生と都市研究
2-1 都市研究の科学化
2-2 都市社会問題の変容
3 都市と農村の社会変動
3-1 戦後日本の人口動態
3-2 生活変動と地域の生活課題
4 地域社会の実相
4-1 地域社会のコンフリクト
4-2 町内会・自治会の課題
5 あらたなコミュニティ形成に向けて
5-1 異質性のもとで共同生活の探求
5-2 コミュニティと居場所
4章 現代社会の変動
1 情報化とサービス産業化
1-1 情報化、サービス産業化とは何か
1-2 ニッポン社会におけるサービス産業化の趨勢
1-3 個人を対象としたサービス産業化
1-4 日本における情報化の推移
1-5 情報の個人化
1-6 情報化の問題点と今後
2 医療の社会学
2-1 医療と社会変動:社会問題としての医師―患者関係
2-2 医師―患者関係への関心の歴史的背景
2-3 社会学における医師―患者関係
2-4 医療の問題への社会学的アプローチ
3 汚染・環境問題
3-1 環境問題の見取り図
3-2 経済成長と郊外の激化
3-3 自然環境の保全と「豊かさ」の質
3-4 地域環境問題の時代
3-5 公害と環境問題の現在
3-6 地球規模で考え、地域レベルで行動する
5章 ライフスタイルと文化システム
1 文化システム
1-1 文化システムとは何か
1-2 国民文化とサブカルチャー
1-3 グローバル文化システムとローカル文化システム
2 ライフスタイル
2-1 ライフスタイルとは何か
2-2 ライフスタイルの2つの起源:個人主義と集団主義
2-3 ライフスタイルの現代的意味:消費主義的文脈
3 ライフスタイルと関連要因
3-1 階級・階層とライフスタイル
3-2 ジェンダー・世代等の社会学的要因の重要性
3-3 消費文化、メディア文化、ポピュラー・カルチャー
4 ライフスタイル・文化的グローバリゼーション・日本文化
4-1 文化的グローバリゼーションとライフスタイル
4-2 日本的ライフスタイルの意味
4-3 新しいライフスタイルの必要性:エコロジカルなライフスタイル
6章 組織とネットワーク
1 集団・組織とは何だろうか
2 組織分析のいくつかの視点
2-1 組織の内部と外部
2-2 ヒエラルキーからネットワークへ:組織の動態化と流動化
3 福祉を動かす組織活動(1)
3-1 福祉多元主義の時代へ
3-2 官僚制としての政府組織:政策実地過程と政府間関係
3-3 ストリート・レベルの官僚制
4 福祉を動かす組織活動(2)
4-1 NPOとボランティア
4-2 組織の機能分担とネットワーク
5 福祉組織の中で働く/生活する
5-1 職業であり専門職たる福祉
5-2 施設内の管理と自由
7章 社会参加 セルフヘルプという方法
1 アスカさんの体験
1-1 どん底を経て
1-2 セルフヘルプ・グループとの出会い
1-3 癒される体験
1-4 サポートする立場になって
2 セルフヘルプ・グループの概観
2-1 セルフヘルプ・グループとは
2-2 セルフヘルプ・グループの成り立ち
2-3 セルフヘルプ・グループの種類
3 セルフヘルプ・グループの中で体験すること
3-1 孤独感から仲間(コミュニティ)意識へ
3-2 誰かを援助することで、自分も支えられる経験
3-3 モデルとの出会い
3-4 体験的知識の獲得
3-5 自分の物語を書きかえる
4 セルフヘルプ・グループにおける専門職の関わり
5 おわりに
8章 社会調査と現実理解
1 社会調査の経験
1-1 サーベイの経験
1-2 サーベイへの「違和感」
1-3 異なる「現実」
2 フィールドワークという方法
2-1 もう一つの社会調査の経験
2-2 他者理解としてのフィールドワーク
2-3 フィールドワークの方法
4 ソーシャルワーカーにとっての社会調査
9章 社会問題と差別 整理する知から実践する知へ
1 「実態・状態」としての社会問題
2 「活動・言説」としての社会問題
3 「問題」としての差別
3-1 差別をめぐる2つの見方
3-2 硬直した啓発発言
3-3 差別を限定して語ったり、曖昧にしたりする言説
4 「生きる手がかり」としての差別
4-1 “差別の日常"を実感するセンス
4-2 “差別する(かもしれない)私”を評価すること
5 差別から社会問題を見抜くこと
10章 社会的価値の変遷と人権保障
1 福祉国家の新潮流
1-1 福祉国家の成立と第2次世界大戦の歩み
1-2 市民社会の成熟と1970年代の大転換
2 人権の視点から福祉の場の何が問われたのか
2-1 当事者が問いかけたこと:パラダイムの転換
2-2 福祉国家のなかの「官僚制」と「専門職化」から生じる問題と「場の権力性」
3 人権の視点から福祉政策の何が問われるのか
3-1 男性中心的な社会政策の見直し
3-2 国民国家を基盤とした社会政策の見直し人権保障
4 人権に基づく社会福祉実践を創造する
4-1 新しいソーシャルワーク実践
4-2 社会福祉制度・社会サービスを人間化する社会システムの必要
Seminar 社会福祉士試験過去問題
より深い学習のために
索引
Column
1 QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)
2 仕事と家庭生活の両立
3 社会変動連関図式
4 医療・福祉分野の情報化
5 日本のポピュラー・カルチャーとライフスタイル
6 クイック社会学:マクドナルド化が示す組織の合理性
7 ミステリーにみるアメリカのセルフヘルプグループ
8 「注文の多い料理店」という「現実」
9 映画から差別を考える
10 オランプ・ドゥ・グージュ
■引用
■書評・紹介
■言及
■著者紹介
岩上真珠[イワカミマミ]
1949年生まれ。1977年、早稲田大学大学院文学研究科社会学専攻修士課程修了。1981年、駒沢大学大学院人文科学研究科社会学専攻博士後期課程修了。現在、聖心女子大学文学部教授
川崎賢一[カワサキケンイチ]
1953年生まれ。1980年、東京大学大学院社会学研究科博士課程中途退学。現在、駒沢大学文学部教授
藤村正之[フジムラマサユキ]
1957年生まれ。1986年、筑波大学大学院社会科学研究科社会学専攻博士課程修了、博士(社会学)。現在、上智大学文学部教授
要田洋江[ヨウダヒロエ]
1951年生まれ。1977年、明治学院大学大学院社会学研究科博士課程中途退学。現在、大阪市立大学大学院生活科学研究科助教授
*作成:三野 宏治