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『暴走するインターネット――ネット社会に何が起きているか』

鈴木 謙介 20020930 イーストプレス,237p.

last update:20120224

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■鈴木 謙介 20020930 『暴走するインターネット――ネット社会に何が起きているか』,イーストプレス,237p. ISBN-10:4872573021 ISBN-13:978-4872573022 \1575 [amazon][kinokuniya] ※ ms07 s

■内容

商品の説明
暴走するインターネット ネット社会に何が起きているか
論旨は完全にこなれていないし、表面をなぞっただけに思える分析も散見される。しかしそれ以上に若々しいエネルギーにあふれた、意欲的なインターネット論だ。著者は先鋭的な発言を続ける社会学者の宮台真司氏に大学院で学んだことがあるミュージシャンでありWebデザイナーでもあるという変わり種。前号で紹介した「ネクスト」(マイケル・ルイス著、アスペクト刊)が具体的な事例を通じてネットの影響に迫るジャーナリズム的手法を駆使しているのに対して、本書は社会学の分析手法を使ってインターネットが社会に与える影響を考察している。
全体は「ネット」「ネット内に形成される『出会い系サイト』のような個々の領域(ドメイン)」「ネットで展開されるコミュニティ」をそれぞれ扱った3部に分かれている。特に第2部と第3部では「オンラインショッピングにおける信用は個々の店にではなくシステムにある」「引きこもりはコミュニケーション不足なのではなくネットでのコミュニケーション過剰」「ネット・コミュニケーションを規定するのは、回線容量やサーバーの速度といったコミュニケーションのための資源である」「ネットコミュニティは私的なままで公的に開かれた場だ」――などなど刺激的な言説が続出する。先鋭的なだけに違和感を感じる人も多いだろう。しかしそれ以上に、著者がインターネットの現場を理解するための核となる考え方を提示したことを評価したい。本書を読んだ者は著者に賛同するにせよ反対するにせよ、さらなる先を自分で考える方向に誘導される。自分の頭を使ってインターネットと社会の在り方について考えようという意欲のある人に、お薦めできる一冊である。
(ノンフィクションライター 松浦晋也)
(日経パソコン 2002/10/28 Copyrightc2001 日経BP企画..All rights reserved.)

内容(「BOOK」データベースより)
“出会い系”から“2ちゃんねる”まで26歳の気鋭社会学者が過激化するインターネットの現在を読み解く。

内容(「MARC」データベースより)
気鋭の若手社会学者がインターネットで起こっている現象を鮮やかに分析。9・11テロから出会い系、2ちゃんねるとさまざまなトピックを縦横無尽に論じた新しいテキスト!

出版社 イースト・プレス
”出会い系”から”2ちゃんねる”まで、気鋭の社会学者が過激化するネット社会の<現在> 宮台真司氏も絶賛!
著者は社会システム理論を専攻する若手気鋭の社会学者で、宮台真司氏の公式ウェブサイト「MIYADAI.com」の管理人charlieとしてネットではよく知られた存在。
本書では、ネットカルチャーと社会学理論を自在に往還しつつ、”出会い系”や”2ちゃんねる”など、ますます過激化し、混沌とするネット社会の現象を鋭く解読しています。
「興味深いのは、当事者である若い人たちが『ネット世界だからこそ、リアル世界の流動性に対抗できる』と証言することだ。初めて聞いたとき私は混乱した。なぜならば、冒頭に述べたネット世界における公共性の困難をめぐる定説と、矛盾するように感じたからだ。しかし、詳しく分析してみると、一貫した理路が見えてくる」(宮台真司・本書解説より)

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
鈴木 謙介
1976年福岡県生まれ。東京都立大学大学院博士課程在学中。専攻は理論社会学。社会学者・宮台真司のオフィシャルウェブサイト「MIYADAI.com」の管理人“charlie”としてネットの中ではよく知られた存在。同サイトの運営にあたりながら、自身もネットや雑誌などに多数の原稿を執筆している。ネットカルチャーと社会学理論を自在に往還しつつ、「人と人との関係」によって生じる様々な社会現象を分析する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

000 Preface
 まえがき

Part1 NETWORK――暴走するネットワーク
 001 A New War
  911テロと「2ちゃんねる」がつながったとき、なぜ「祭り」が起こったか?
   インターネット上の「グランド・ゼロ」
   メディア・イベントという「体験」
   フレームとリアリティ
   情報への欲求
   2ちゃんねるの「祭り」騒ぎ
   噂の公式
   人と人との間の不安
   善意の影で
   インターネットが持つ可能性
   つながるはずのなかった人とつながる
 002 START
  インターネットと軍事技術との「親密な関係」は何を生んだか?
   コンピュータとインターネット――冷戦の影で
   技術者が語る未来
   コンピュータという哲学
   コンピュータが計算できるものとは
   汎用計算機としてのコンピュータ
   ネットワークがなぜ必要か
   電子ネットワークとモールス信号との違い
   パケット交換の理論
   TCP/IPとドメインネーム
   世界中がひとつのプロトコルでつながる
   ネットワークが「ある」ということ
   コミュニケーションの接続
 003 Contents of Others
  Webビジネスは人を「ミー・ファースト」にするのか?
   ネットワークとしてのインターネット
   インターネットとビジネス
   管理人不在のIT部門
   インターネットベンチャーの流行?
   激務を強いられるインターネットベンチャー
   情報産業の弱点
   モノを売らないということ
   何のために働くのか
   ミー・ファーストはエゴイズムか
   曖昧な不安にとりつかれて
   「遊ぶように働こう」
   IT時代の新しい労働観
   パソコンとネットで社会は変わるのか

Part2 DOMAIN――錯綜するドメイン
 004 Real Encounter?
  「出会い系メディア」はなぜ私たちを惹きつけるのか?
   「出会い系メディア」とは何か
   広義の「出会い系メディア」
   出会い系メディアの誕生
   性関係の個人化
   性的コミュニケーションの氾濫
   システムとは何か
   他から区別されることの意味
   複雑性とは何か
   複雑性の縮減
   偶発性の増大と無害化
   「無害な少女」から「メディアの切断操作」へ
   アンダーグランドからオーバーグランドへ
   前提となったコミュニケーションスタイル
   無害なメディアとしての出会い系
   出会い系を舞台にした犯罪
   事件が起こる「原因」は選択的
   コミュニケーションによるコミュニケーションの補完
   メル友の一発逆転
   「学習」の必要性
 005 Trust
  オンラインショッピングは危険なのか?
   オンラインショッピングと不安
   ユーザーからカスタマーへ
   オンラインショッピング/サービスプロバイダ
   細分化されるニーズ
   個人認証にまつわる問題
   オンラインショッピングは危険なのか
   なぜ知らない人と取引ができるのか
   慣れ親しみの関係
   人格的な信頼――一般的な予期
   コミュニケーションとは賭けに出ることだ
   システムへの信頼
   オンライン取引とオフライン取引
   システムへの信頼を高めるために
   監視「する」社会
   インターネットの自由は守られるべきか
   高リスク社会のしくみ
   リスクとは何か
   監視する社会を認めるか否か
 006 Addicted to Communication
  オンラインゲームの廃人たちは「人間嫌い」か?
   ネット上のコミュニケーションに耽溺する
   「廃人」になったネットゲーマー
   仮想現実とは何か
   認証される関係
   ネット中毒=コミュニケーション不足?
   ネット中毒の何が問題になるのか
   処方箋はあり得るか
 007 Our Domain
  ネットの中で「自分自身という領域」は守れるか?
   増え続ける情報、飽和するWeb
   米国でも始まった日記サイト
   プライベートな話題が提供される日記
   個別の心理、全体の働き
   プライバシーの表出
   プライバシーとは何か
   パブリックな場所の成立
   プライバシー=秘匿する場所
   インターネットにおけるプライバシー
   私的なまま「この私」として認められる
   「ドメイン」を持つということ
   「ドメイン」=意味が接続する場所

Part3 COMMUNITY――誕生するコミュニティ
 008 Public Community
  なぜネットコミュニティで「荒らし」は放置されるのか?
   ネット上に散在するコミュニティ
   「ふさわしい」コミュニケーション
   相手の出方の予想の予想
   なぜ行為に踏み切れるのか
   「ありそうもない」理由
   チャットにおけるルールの形成
   「出会い系」とは異なる場
   接続されたコミュニケーション
   「荒らし」の問題
   《ネットコミュニティ》とは何なのか
   入れ替え可能な参加者が形成する
   公的な場所に開かれた私的な集まり
   パブリック・コミュニティの可能性
 009 Sharing the life
  インターネットに新しいコミュニティは生まれるのか?
   パブリック・コミュニティとして
   暖かくない社会
   アソシエーションとは
   市民社会の失敗
   異なる人間関係の捉え方
   コミュニティなのかアソシエーションなのか
   新しいタイプの市民運動
   第三の道
   公的領域として
   共有資源のシェアリング
   インターネットに新しいコミュニティは生まれるか
   新しい「人と人との関係」のモデルを考える
 010 Re:Start Network
  インターネットは私たちを幸せにするのか?
   パブリック・コミュニティとしてのネットコミュニティ
   三つの問題
   役に立つとは限らない
   レスで接続されるコミュニケーション
   ネタ的ということ
   ネタとマジレス
   ネタの源泉
   データベース的消費・シュミラークル
   自己目的化するコミュニケーション
   「2ちゃんねる閉鎖騒動」が教えること
   物理的な資源の上で
   遊び場を守るために
   見えてくるふたつの可能性
 011 Exit
  出口、あるいはどこかへの入口

解説 私たちは恐るべき困難な時代を生きている

■引用

■書評・紹介

■言及



*作成:樋口 也寸志
UP:20120224 REV:
宮台 真司 ◇社会学 sociology  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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