『日本精神科医療史』
岡田 靖雄 20020901 医学書院，274p.
■岡田 靖雄
20020901 『日本精神科医療史』，医学書院，274p. ISBN-10:4260118750 ISBN-13:978-4260118750 \7140 [amazon]／［kinokuniya］ ※
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内容(「MARC」データベースより）
古くは奈良時代の「養老律令」から江戸時代の「病名彙解」、そして戦前から1960年代に至る、日本国内の精神科医療の歴史について、政治経済史・社会史を骨組みとして解説する。
（紀伊国屋HPより）
日本精神神経学会が創立100周年を迎えた2002年8月に，わが国の精神科医療史研究の第一人者である著者が大部分を書き下ろした力作。豊富な資料と，この上もなく深い歴史認識により，1）江戸時代以前，2）江戸時代，3）戦前，4）戦後を語る。わが国の精神科医療は21世紀，どのように変革されるべきか。
■目次
第I篇 江戸時代前
第1章 奈良時代
1.養老律令
養老律令、癲狂の意味
2.いくつかの記録
神話時代、齊名天皇ほか、救療の制度
3.『日本霊異記』を読む
『日本霊異記』の中の狂気、説話の意味するもの
・第1章文献
第2章 平安時代
1.癲狂の和名
2.当時の医説
『医心方』、『大同類聚方』
3.いくつかの記録から
「磯辺偶渉」から、救療などの制度・施設、天皇家の病い、二つの物語ほか
4.風病、もののけ、ほか
風病、もののけ
5.『病草紙』から
『病草紙』、癲狂に関係のある絵、『病草紙』模本
・第2章文献
第3章 鎌倉・室町時代
1.医療・医学の状況
医療制度および医事、救療施設、当時の医説から、不食病のこと
2.人と病と
『平家物語』における平清盛の死病、その他の人、『医学天正記』
3.狐事談、謡曲にみる狂
医師高天の事、狐瑞から狐妖へ、謡曲にみる物狂
4.癲狂治療所の始まり
灸寺、爽神堂
・第3章文献
第II篇 江戸時代
第1章 医説を中心に
1.『病名彙解』から
精神神経疾患の病態、脳と心
2.江戸時代の医説から（その1）
−漢方の医説−
漢方医学の流れ、『酒説養生論』、『牛山活套』、『一本堂行余医言』、
異色の乱病神論をといた安藤昌益、永富獨嘯庵、中神琴溪、つきもの
『癲癇狂経験編』、和田東郭、今泉玄祐ほか、江戸医学館の考試辨書
『癲癇狂辨』
3.江戸時代の医説から（その2）
−西説をうけて−
蘭学の始まり、『増補重訂内科撰要』、緒方洪庵訳『扶氏経験遺訓』、
その他の翻訳内科書、西説の影響、心気の説
・第１章文献
第2章 治療・処遇など
第III篇 戦前
第1章 文明開化
第2章 精神病者監護法の前後
第3章 精神科病院と精神病学との発達
第4章 呉秀三と精神病院法
第5章 敗戦まで
第IV篇 戦後
第1章 精神衛生法の制定とその後
第2章 現在史
付章 精神科医療史研究の意義と課題
日本精神科医療史年表
あとがき
事項索引
人名索引
■引用
第IV篇 戦後
第1章 精神衛生法の制定とその後
「ロボトミーが（前頭葉白質切載を中心とする精神外科）が精神科でさかんになったのは、1947年からで、その頃か<0205<ら外科医でなく精神科医によっておこなわれることもふえた（戦地で外科手術をこなしてきたことが、精神科医を大胆にした、という要因も指摘されている）。一時期はロボトミーが乱用されたいってもよく、他治療をほとんどうけていない患者にそれが適用されたり、また、ロボトミーされたといっても、骨にだけ痕があって脳が無傷な例もあちこちで経験された。」（岡田［2002:206］）
（1960年以降のことを書きにくい理由として）「それぞれの歴史的評価が定まっていないことにくわえて、まだご存命の方や没後間もない方の名をあげてのズバリ評価が困難なこと、また自分も関与した出来事については自分の感情的評価をぬぐいがたい」（岡田 ［2002:263］）。
■書評・言及
◆立岩 真也 2013 『造反有理――身体の現代・１：精神医療改革／批判』（仮），青土社 ※
◆立岩 真也 2011/08/01 「社会派の行き先・10――連載 69」，『現代思想』39-(2011-8): 資料
◆小川恵，20030110，「『日本精神科医療史』
岡田靖雄[著]医学書院（2002年8月刊）」『精神医療』29: 147-54.
＊作成：三野 宏治