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『老人病院――青梅慶友病院のこころとからだのトータルケア』

黒川 由紀子 編 20020820 昭和堂,243p. ASIN: 4812202256 1575 


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■黒川 由紀子 編 20020820 『老人病院――青梅慶友病院のこころとからだのトータルケア』,昭和堂,243p. ASIN: 4812202256 1575 [amazon][kinokuniya] ※

黒川由紀子[クロカワユキコ]
慶成会老年学研究所所長。大正大学人間学部大学院教授

内容(「BOOK」データベースより)
多様な高齢者をチームで支える臨床心理士、介護士、看護師、リハビリ職、レクリエーションワーカー、ソーシャルワーカー、精神科医、内科医など専門職の具体的な報告。

内容(「MARC」データベースより)
臨床心理士、看護士、リハビリ職、レクリエーションワーカー、精神科医など、各専門職の具体的な報告を収載。高齢者のこころを支えるための、多職種による、包括的統合的関わりを論じる。

第1章 老人病院ってどんなところ
第2章 高齢者のこころ 神定 守 1-16
第3章 高齢者を支える臨床心理士
第4章 高齢者を支える介護職
第5章 高齢者を支える看護職
第6章 高齢者を支えるリハビリ職
第7章 高齢者を支えるレクリエーションワーカー
第8章 高齢者を支えるソーシャルワーカー
第9章 高齢者を支える精神科医
第10章 高齢者を支える内科医
第11章 高齢者を支えるための課題
座談会 大塚 宣夫・黒川 由紀子・桑田 美代子・草壁 孝治 207-239

■引用

第2章 高齢者のこころ 神定 守 1-16
 「大往生で見送ります
 老人の時間は死と隣り合わせです。元気な方がいいのは当たり前ですが、どんな人にも必ず死はやってきます。不幸にして病院で死を迎える人にはできるだけいい死、大往生をさせてあげなければなりません。
 老人病院は死を避けるためにいたずらに延命措置をするようではいけません。大事なことは、必要な医療処置はする、不必要な処置はしないということです。考えられ<0015<る処置をすべてしておかけないと万一訴えられら負けると思う医療者にとって、これは「言うは易く行うは難し」かもしれません。しかしその人の人生を知り、家族とのコミュニケーションを図っていればそんなことは問題になりません。」(神定[2002:16])

座談会 大塚 宣夫・黒川 由紀子・桑田 美代子・草壁 孝治 207-239
 大塚 […]例えば「ご飯を食べない」、「さあ、起きましょうね」と言って、本人は「やだ」と言うのは、家族にしてみたらそれは本人のわがままですよね。本人は「もう死にたい」と言っているのに、家族が「あんた、なんて馬鹿なことを言うの」と、はじめから決めつける。あるいは本人の意思表示に関係なく、家族が「一瞬でも長く生きるようにお願いします」と医者に頼み込んで、チューブをつけたり人口呼吸器をつけたりして強制的に生かし続ける。まあこんなのも、だいたい同じ発想のなかにあるんですね。つまり、この期におよんで家族のために無理やり生きなきゃいけない。自分のわがままというか、自分のやりたいことができない、というところがありますよね。
 桑田 あります。<0223<
 黒川 いままで日本では、どちらかというと家族の意向を重視する傾向がありましたが、どちらかというと家族に告知を先にする。それが少しずつシフトしてきているのでしょうか。
 大塚 社会にすごく気兼ねして生き、年とったら家族にすごく気兼ねして生きていてね、結局、最後の最後までずーっと気兼ねしながら生きていて、本当の自分のやりたいことって言いだせないままに終わってしまう人って、けっこうたくさんいるみたいなんですよね。
 黒川 本人の気持ちや意思を、最大限に尊重することが、とても大切なことのような気がします。私の印象では、大塚先生はご家族を非常に重視してらっしゃるように思っていましたが、今日のお話を聞くと、ご本人はさらに大事だと。
 大塚 我がこととなると、そりゃ家族よりは自分の意志を尊重してもらいたいですね。
 桑田 人のこころって変わるじゃないですか。前にある患者さんが「私がこんなになったら、もういいからね」と元気な頃に息子さんと話をしていたそうです。<0224<その患者さんが入院して状態が悪くなったので、息子さんが「お母さん、もういいよね」とたずねたら、首を横に振ったと言うのです。実際に生き死にのことになってくるとちがう。いまは私たち、元気ですから、「もういいわよ、あんなになったら」と思うかもしれませんが、高齢者であっても気持ちは変わると思います。そういうことはどうなのでしょうか。
 黒川 リビングウイルとかいろいろ前もって書いても、いざというときは変わる可能性がありますよね。それから死にたいという気持ちは、人間は誰でももつことがあります。先生、ないですか。
 大塚 毎日思ってますよ、それは(笑)。
 黒川 ですよね。
 大塚 いや、死にたいという気持ちよりも、むしろ「もういい」って感じでね。
 黒川 本当にそうだろうなと思うんですね。人って「もういいや」「もうたくさん」と、死に引かれる気持ちは、若くて元気なときでもあるのですから、ましてや病気や障害をお持ちのお年寄りは、積極的に「自害したい」とまでは思わないまでも、「もうお迎えが来てほしい」と思われることがある。そういう思いを<0225<ていねいにするお聞きすることはとても大切だと思います。話は変わりますが、この病院にはずいぶんおおぜいの心理職がいて[…]」(大塚・黒川・桑田・草壁[2002:207-239])

■言及

◆立岩 真也 200802101 「(連載・29)」,『現代思想』


UP:20061229 REV:20080114
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