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『高齢者ケアをどうするか――先進国の悩みと日本の選択』

池上 直己・Campbell, John C. 著/高木 安雄 監修・訳 20020720 中央法規出版,256p. ASIN: 4805820489 3150


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■池上 直己・Campbell, John C. 著/高木 安雄 監修・訳 20020720 『高齢者ケアをどうするか――先進国の悩みと日本の選択』,中央法規出版,256p. ASIN: 4805820489 3150 [amazon][kinokuniya] ※, b fm/a01

■内容

(「BOOK」データベースより)
「介護保険」という新制度を選択したわが国日本だが、高齢者ケアの施策をどうするかについては、諸外国がもつ共通の課題である。理想的な高齢者ケアシステムの構築に向けて、われわれはどうアプローチすべきか。どのようなフィロソフィーをもつべきか―。先進諸国ならびにわが国の識者たちが、その手がかりと論点を照射する。

(「MARC」データベースより)
理想的な高齢者ケアシステムの構築に向けて、われわれはどうアプローチすべきか。先進諸国と日本の識者たちが、その手がかりと論点を照射する。98年に慶応義塾大学三田キャンパスで開催されたシンポジウムの内容をまとめる。


■目次

第1章 家族・社会の観点から
 1高齢者の視点から
 2高齢者ケアスタッフの質の向上と量の拡充
 3ケアの社会的側面と医療との関係
 4ケアにおける女性の役割
 5高齢者ケアにおける家族の役割 袖井 孝子 045-055
 6インフォーマルケアとフォーマルケアの関係
第2章 ケアの臨床の観点から
 1虚弱な高齢者の身体機能の維持
 2老人医療の学際的チームにおける医師の役割
  ……
 8高齢者ケアと痴呆 Whitehouse, Peter J. 111-118
ほか
第3章 政治・経済の観点から
 社会保険方式による理想的な介護システムの財源
 理想的な介護システムの設計―OECD諸国の経験から学ぶ
 ほか
第4章 政策を展望する
 効果的なケアマネジメントのあり方
 日本の介護保険制度―サービス提供者への影響
 ほか
補章
 OECD各国における高齢化と公的支出の関連
 効果的な在宅ケアのための報酬とは
 ほか

「高齢者ケアにおける家族の役割」 袖井 孝子 045-055
 「施設に入居している高齢者の家族にとって、もっとも重要で難しい意思決定は終末期のケアである。老人ホームでは医療、とくに高度な治療は認められていないので、高齢者は死期が迫れば、病院に送られる。しかし、筆者自身も含め、多くの家族は高齢の親をできれば病院に入れたくないと思っている。なぜなら、終末期に施される高度医療は、不要な苦痛を長びかせるだけだからだ。リビング・ウィルやインフォームド・コンセントは日本ではまだ広まってはおらず、多くの情報がすべての人に開示されてはいない。そこで、死期の迫った親のケアはほとんどすべて医師の手に委ねられることになる。」(袖井[2002:52])

「高齢者ケアと痴呆」 Whitehouse, Peter J. 111-118
 「<終末期のケア>
 厳密にいえば、終末期のケアは先に述べたケア全体の調整と医療と社会モデルの統合問題に分かれる。ここでは現在軽視されているが、将来は重要になるという理由から別個に取り上げたい。ホスピスの哲学とプログラムは、さまざまな病気で死に向かう患者の助けとなっているが、痴呆のために特別に開発されたものではない。おわりのないお葬式といわれるような病気を抱えた患者に対して、最期の問題にどう取り組めばよいのか。こうした患者は多くの場合、家族やスタッフと言葉でまったくコミュニケーションがとれない。
 さらに、保健医療に対するコストの抑制が次第に厳しくなっており、終末期にある患者にどのくらいのケアを提供できるのか考える必要がある。経管<0116<栄養の挿入は終末期いケアにおいて重大な判断になると考えている。保健医療制度の社会的な目標と同じように臨床うえの目標についてもっとよく考えるようになり、重度痴呆症の終末期患者に提供されるケアは現在より少なくなくかもしれない。抗生物質や経管栄養の利用も減るだろう。ケアの目標について考える場合、単なる財政的な動機ではなく、倫理的な検討と研究成果への配慮が生かされることが重要である。
 まとめ
 今後は痴呆患者が増え、保健医療制度は圧迫されるにちがいない。生物学的・心理社会的に統合されたケアモデルが重要な要素となる。痴呆症に対応できて、患者と介護者のニーズに応えられる介護モデルを開発する必要がある。理論的には、ケアの成果に対する評価が指針となって、地域と施設の介護の成功の鍵が明らかにされよう。とくに重度の痴呆の場合、単なる生命の持続ではなく、生活の質に関心を払うことが重要だろう。また、患者や介護者の精神的なニーズへの配慮も、ケアプログラムに盛り込む必要がある。医療モデルと社会モデルの統合は容易でないが、資源を最大限に必要するには重要なことである。」([116-117])


UP:20061213 REV:
池上 直己  ◇医療経済  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
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