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『異議あり!「奇跡の詩人」』

滝本 太郎・石井 謙一郎 編 20020628 同時代社, 236p

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last update:20170722

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■滝本 太郎・石井 謙一郎 編 20020628 『異議あり!「奇跡の詩人」』,同時代社,237p. ISBN-10:4886834752 ISBN-13:978-4886834751 1300+ [amazon][kinokuniya] ※ m/nhk, d00b, cp, c07

■内容紹介

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NHKスペシャル「奇跡の詩人~11歳 脳障害児のメッセージ」と題された、2002年4月28日に放映されたドキュメンタリーについて、さまざまな立場から推考し異議を唱えた検証本。「奇跡の詩人」は、『ひとが否定されないルール』の著者、日木流奈君。脳性麻痺のため自身で動くことも発話することもできないが、ドーマン法という民間療法のリハビリの成果で奇跡的に知能が回復した。番組では献身的な家族の協力を得て日々過酷なリハビリに励み、詩やエッセイを執筆し、各地で交流会を開く様子が放送された。
しかし、「詩人」の意思伝達や執筆は、すべて母親の手の力を借りて50音の文字盤を指差す方法(ファシリテイテッド・コミュニケーション、略称FC)でなされていたため、「本当に詩人のことばなのか?」という疑問や検証を求める声がNHKに多数寄せられた。それにこたえた会見で「科学的検証はできないが、スタッフが確認しているからすべて真実」とだけ説明されたため、ネットの掲示板で番組の信憑性について大きな議論となった。本書では掲示板の有志が情報収集と資料作成に一役かっている。

ドーマン法を試して成果を出せなかった脳障害児の母親たちから寄せられた手記が興味深い。同じ障害児の母として「詩人」を見守る視線は優しいが、「普通」の脳障害児をもつ親への影響を無視した番組構成であったと厳しく批判している。また、小児神経学専門医、理学療法士、弁護士らが、それぞれの立場から番組を検証し、疑問点や矛盾点を明確にすることで、放送責任と出版責任を問うている。

ドーマン法とFCについての詳解、アメリカの諸学会が発表したFCに関する声明・決議の訳文、「週刊文春」記者の取材日記、番組の全スクリプトも併せて掲載されており、番組を見ていない人でも、この問題の全容を知ることができる。番組に異議を唱える人やドーマン法とFCに興味をもつ人はもちろんのこと、メディアの責任問題に関心のある人にも一読をすすめたい。(五十嵐アキエ)

■出版社/著者からの内容紹介

2002年4月28日放映のNHKスペシャルには、これだけの問題がある。
ドーマン法とFCの真実。
各界の専門家による寄稿と障害児をもつ母たちの手記を収録!

■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

滝本/太郎
1957年、神奈川県生まれ。市井の一弁護士。1989年11月、友人の坂本弁護士一家拉致事件を契機にオウム真理教被害対策弁護団に入る。情報収集、山梨県上九一色村住民の代理人等をしてきたが、1993年7月から脱会カウンセリング(話し合い活動)を始める。それら活動と話し合いのための「空中浮揚」(写真)が教祖に睨まれたからか、1994年5月、運転する直前の自動車外部にサリンをかけられる。1995年6月、脱会者の集まり「カナリヤの会」を組織し、その窓口。また日本脱カルト研究会の常任理事・事務局

石井/謙一郎
1961年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。出版社勤務を経て、1992年より「週刊文春」記者。統一教会問題などの取材に携わる

■目次

まえがき…… 石井謙一郎  1

第1章 「奇跡の詩人」とその周辺―「週刊文春」記者取材日記……11
各紙絶賛!/私たちは取材を開始した/「奇跡の詩人」以前にも「?」/わいてくる幾つもの疑問/取材相手の反応
取材記事―奇妙な教団との接点  21
反響は大きかった
取材記事―それでも擁護するのか  32
揺らぐNHKの対応
取材記事―都合の悪いことは封印?  37
「この上映会は違法です」/「偶然、時期がかさなっただけ」

第2章 私の心はかき乱された―母たちの手記を読む……47
【手記@】ドーマン法に振りまわされた私たち……冷川 祐子(仮名)  47
「地獄」の脳外科病棟体験/ドーマン法にのめり込んでいた時期/「重症児は人の心を打つ力をもっている」/NHKにお願いをしたが/あらためて心が乱されて/いちばん迷惑を蒙ったのは誰?
【手記A】最初は自責の念にかられました……竹中かず子(仮名)  61
ありのままをみんなが愛してほしい
【手記B】ドーマン法に対する疑問……沢木 綾子  65
ドーマン法の厳しい講演会/子どもになしうる教育の最終目標は?/ドーマン法の経済的負担/傷ついたいくつかの言葉/ドーマン法を止めたきっかけ
【手記C】不安な時期に「治る」と言われたら……吉村 養子  75
放映には強い不快感
【手記D】民間療法は危険と背中合わせ……田中由美子(仮名)  79
「M式健康食品法」のさそい/これは大きな「罠」ではないか/NHKには猛省をうながしたい
寄稿 自分自身の言語表現を援助すべきでは――理学療法士・富山政道(仮名)さんに聞く  85

第3章 ドーマン法とFCの真実……95
1 ドーマン法訓練の実態  95
2 ドーマン法の成立と変遷  98
3 民間療法であり、かつ検証を拒否するドーマン法  104
4 FCとは何か  110
寄稿「奇跡の詩人」とファシリテイテッド・コミュニケーション(FC)  中島 定彦  115
5 ドーマン法で使われているFC  123
寄稿「奇蹟の詩人」について―小児神経学専門医の立場から  杉本 健郎  128

第4章 「異議あり」とするほかない……131
1 脳機能障害というもの  131
2 藁をもつかむ気持ち―ドーマン法  135
3 裸の王様―流奈君のFCを紹介したNHK  142
4 放送法に違反している  147
5 詐欺商法である  152
6 流奈君一家のこと  156
7 「精神世界」  160
8 立証責任について  164

参考文献……167

〔特別寄稿〕流奈君とドーマン法――その閉ざされた世界  児玉 和夫  172
〔特別寄稿〕麻原彰晃が「空中浮揚」した八〇年代、究極の霊感商法が破綻した九〇年代、そしていま「奇跡の詩人」に思う   有田芳生  188

資料編〔T〕NHK放映の全容……199
資料@NHKスペシャル「奇跡の詩人」〔二〇〇二年四月二八日〕(大要)
資料ANHK「土曜スタジオパーク」〔二〇〇二年五月一一日〕(大要)

資料編〔U〕アメリカにおける諸学会の声明・決議等(FC)……225
資料@ファシリテイテッド・コミュニケーションに関する声明(国際行動分析学会)
資料Aアメリカ児童青年精神医学会議方針声明
資料Bファシリテイテッド・コミュニケーションに関する米国心理学会の決議
資料Cアメリカ小児科学会障害児委員会(声明)

あとがき……滝本 太郎  233


■関連HP



La Maison inonde de Lumiere Lunaire
http://www2.odn.ne.jp/luna/

NHKアーカイブス保存番組検索結果詳細
http://archives.nhk.or.jp/chronicle/B10002200090204280130005/

NHK SPECIAL HOME PAGE
奇跡の詩人 〜11歳 脳障害児のメッセージ〜
http://www.nhk.or.jp/special/libraly/02/l0004/l0428.htm

NHK SPECIAL HOME PAGE
4月28日放送「奇跡の詩人」について
http://web.archive.org/web/20031003001632/http://www.nhk.or.jp/special/schedule/top2-0205xx.html

第155回国会 決算行政監視委員会 第2号(平成14年11月14日(木曜日))
http://www.shugiin.go.jp/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/005815520021114002.htm

奇跡の詩人映像サイト HOME
http://kisekinoshijin.web.infoseek.co.jp/

NHK奇跡の詩人捏造嘘放送に関する意見書・質問書
http://homepage3.nifty.com/nhkq/

■言及

◆立岩 真也 2018 『不如意の身体――病障害とある社会』,青土社


*作成:植村要 更新:岩ア 弘泰
UP:20080403, REV:20110124, 20170722, 20180904
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