HOME BOOK

『物語としてのケア――ナラティヴ・アプローチの世界へ』

野口 裕二 20020601 医学書院,シリーズケアをひらく,212p


このHP経由で購入すると寄付されます

野口 裕二 20020601 『物語としてのケア――ナラティヴ・アプローチの世界へ』,医学書院,シリーズケアをひらく,212p. ISBN:4260332090 2310 [amazon]  ※ b sm n08

■内容説明[bk1]
ナラティヴ・セラピーを中心に、臨床領域におけるナラティヴ・アプローチの考え方とその実践を紹介し、さらに、それがケアという世界にどのような新しい視界を切り開くのかを検討する。

■内容紹介(by白石正明

書 名: 物語としてのケア――ナラティヴ・アプローチの世界へ
著 者: 野口裕二(のぐち・ゆうじ) 東京学芸大学教授
仕 様: A5版、タテ組、並製、214ページ
定 価: 2200円+税
発行日: 2002年6月1日  ISBN4-260-33209-4

人はなぜ、話を聴いてもらうだけで生きる意欲がわいてくるのか。話を聴くことは、果たしてそれだけで〈ケア〉といえるのか――
これらは看護にとって重要な問いですが、一方で「考えても仕方のない問題」とさえ思われてきました。それは哲学上の問いであり、医学とは別のところで考える話、というように。そのことの重要性を言おうとすると、「精神論だ」の一言で済まされてきたのではないでしょうか。

「語り」や「物語」を意味する〈ナラティヴ〉は、人文諸科学領域で衝撃を与えつづけてきました。そしてこの言葉は、「ナラティヴ・セラピー」の登場によって、ついに臨床の風景さえ一変させました。まさに臨床の物語論的転回です。
物語論を通してみると、「話を聴く」ことの意味が、「精神論vs.技術論」「主観主義vs.客観主義」等々の古くさい二項対立の間から息を吹き返してくるように思われます。まったく新しい、「役に立つ」ケア論の登場です。

■目次
I
まえがき

第1章 言葉・物語・ケア
  1 言葉と臨床
  2 言葉と現実
  3 物語と現実
  4 物語とケア

第2章 物語としての自己
  1 自己とケア
  2 セルフ・ナラティブ
  3 臨床の物語/臨床の語り
  4 自己物語の特徴
  5 自己を語る言葉

第3章 物語としての病い
  1 病いの意味
  2 病いのナラティブ
  3 説明モデル
  4 モラル・ウィットネス

II
第4章 外在化とオルタナティブ・ストーリー
  1 内在化と外在化
  2 「問題」の外在化
  3 ユニークな結果
  4 ドミナント・ストーリーとオルタナティブ・ストーリー
  5 テクスト・アナロジー

第5章 「無知」のアプローチ
  1 「問題」がシステムをつくる
  2 無知の姿勢
  3 治療的質問
  4 いまだ語られなかった物語

第6章 リフレクティング・チーム
  1 ワンウェイ・ミラー
  2 セラピーの変化
  3 ポジションの変化
  4 関係性の変化

III
第7章 三つの方法
  1 二つのナラティブ
  2 三つの場所
  3 三つの手がかり
  4 権力の問題

第8章 新しい専門性
  1 三つの専門性
  2 傾聴と共感
  3 物語の再構成
  4 構成主義は徹底できるか

第9章 ナラティブ・コミュニティ
  1 セルフヘルプ・グループ
  2 フェミニスト・セラピー
  3 べてるの家
  4 ナラティブ・コミュニティ

第10章 物語としてのケア
  1 セラピーとケア
  2 ケア的関係と競争的関係
  3 外在化とケア
  4 言葉の呪縛
  5 ナラティブの時代

引用文献/参考文献
あとがき


■引用
太字見出しは作成者による
ナラティブ・アプローチ
 もちろん、「臨床」の世界も例外ではない。例外でないどころか、「臨床」の世界こそが、このような視点をもっとも必要としていた。臨床の場は「語り」に満ちている。病者は自らの病いについて語り、医療者はそれにじっと耳を傾ける。あるいは、医療者の「語り」に病者がじっと耳を傾ける。病者と医療者のかかわりは、相互の「語り」を通して展開していく。臨床の場とはすなわち「語り」によってなりたつ場であるといえる。
 同時に、臨床の場は「物語」の展開する場でもある。たとえば、「闘病記」という形式がこのことを象徴的に示している。病者は、自分の半生を、病いの物語、闘いの物語として描き出す。臨床の場は、その物語の重要な一場面となり、医療者はその物語の重要な登場人物となる。臨床の場とは、物語が展開する場であるといえる。
 臨床をこのように「語り」と「物語」という視点から眺め直す方法、それが「ナラティブ・アプローチ」である。(pp.14-15)

セルフ・ナラティブ
 それでは、「自己」は、そもそもどのようにして成り立っているのであろうか。この問題について、社会心理学者のガーゲン[Gergen, 1985, 1992, 1994]や文化心理学者のブルーナー[Bruner, 1990]がきわめて興味深い考え方を示してきた。それを一言でいえば、「自己とはセルフ・ナラティブself-narrativeである」というものである。(p.37)

物語の二つの作用
物語には二つの作用がある。ひとつは、現実理解に一定のまとまりをもたせてくれる「現実組織化作用」、もうひとつは、現実理解を方向付け制約する「現実制約作用」である。このことは、「自己」という現実にもそのままあてはまる。(p.44)

◆立岩 真也 2008 『…』,筑摩書房  文献表


UP:2002 REV:20070421 20080418(追加者:篠木 涼、追加内容:目次・引用)
ナラティヴ  ◇医療社会学  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOPHOME(http://www.arsvi.com)