HOME > BOOK >

『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ』

苅谷 剛彦 20020520 講談社,382p

last update:20120203
Tweet

このHP経由で購入すると寄付されます

苅谷 剛彦 20020520 『知的複眼思考法 誰でも持っている創造力のスイッチ』,講談社+α文庫,382p. ISBN-10:4062566109 ISBN-13:9784062566100 \880+税 [amazon][kinokuniya]

■内容

出版社/著者からの内容紹介
全国3万人の大学生が選んだベストティーチャーの奥義!!
逆風の時代を生き抜くには、知識を超える「何か」が必要になる。
正解を見つける力より問題点を見出す力を。
真実が見える瞬間のスリルが人生を変える!!
常識にとらわれた単眼思考を行っていては、いつまでたっても「自分の頭で考える」ことはできない。自分自身の視点からものごとを多角的に捉えて考え抜く ――それが知的複眼思考法だ。情報を正確に読みとる力。ものごとの筋道を追う力。受け取った情報をもとに自分の論理をきちんと組み立てられる力。こうした基本的な考える力を基礎にしてこそ、自分の頭で考えていくことができる。全国3万人の大学生が選んだ日本のベストティーチャーによる思考法の真髄!

内容(「BOOK」データベースより)
常識にとらわれた単眼思考を行っていては、いつまでたっても「自分の頭で考える」ことはできない。自分自身の視点からものごとを多角的に捉えて考え抜く― それが知的複眼思考法だ。情報を正確に読みとる力。ものごとの筋道を追う力。受け取った情報をもとに自分の論理をきちんと組み立てられる力。こうした基本的な考える力を基礎にしてこそ、自分の頭で考えていくことができる。全国3万人の大学生が選んだ日本のベストティーチャーによる思考法の真髄。

■目次

序章 知的複眼思考法とは何か
1.知的複眼思考への招待
2.「常識」にしばられたものの見かた
3.知ることと考えること
第1章 創造的読書で思考力を鍛える
1.著者の立場、読者の立場
2.知識の受容から知識の創造へ
第2章 考えるための作文技法
1.論理的に文章を書く
2.批判的に書く
第3章 問いの立てかたと展開のしかた―考える筋道としての〈問い〉
1.問いを立てる
2.〈なぜ〉という問いからの展開
3.概念レベルで考える
第4章 複眼思考を身につける
1.関係論的なものの見かた
2.逆説の発見
3.〈問題を問うこと〉を問う
コラム
あとがき
リーディングガイド

■引用

◆…どんな本でも、書いている過程には、さまざまな試行錯誤が含まれます。つまり、活字になった文章といえども、そこにいたるまでには、いろいろ他の文章になる可能性を切り捨てて、今あるかたちを選び取った結果、その文章になっているのです。…/こうして、書くプロセスに含まれている迷いや選択ということを念頭においておくと、別の人が書いたものを読むときでも、すでに出来上がって動かない完成品として見る見かたから少しは逃れることができます。他の可能性の中でそれぞれのことばや表現が選ばれていった末に、目の前の活字になっている。…/著者と同じ立場に立つということは、そうした選択の過程を、読み手の側から確認していくことなのです。…/「ほかの文章になる可能性のあったもの」として目の前の活字を追っていく。つまり、「私だったらこう書いたかもしれない」とか、 「どうして著者はここで、こんなことを書いているのか」を考えながら、文章を読んでいく。/どんな偉い著者も人間です。したがって、間違えることもあれば、気づかないうちに飛躍して文章を進めてしまうこともあります。根拠としたデータが不正確なこともある。いい加減さや、間違いや、論理不整合な部分の混入も含めて、さまざまな可能性のうちのひとつのかたちとして、目の前の活字があると考えたほうがよいのです。/ このように活字メディアをとらえ直してみると、それを読むという行為の意味が違ってきます。ざっと読み流して、簡単に納得してしまうのではない読書。次に何が書かれる可能性があったのかを、探りながら文字を追っていく読書。 書き手が行きつもどりつしたように、読み手も自分の理解のペースで情報を獲得していく読書。活字メディアを相手にすることで、他のメディア相手ではできない、「行間」に目を向けることや、論の進め方をじっくりとらえることも可能になるのです。 …/こうした著者との関係を築くことは、複眼思考を身につけるうえでの基本的な姿勢になります。というのも、相手のいい分をそのまま素直に受け入れてしまうのではなく、ちょっと立ち止まって考える習慣が身につくようになるからです。[2002:80-83]

批判的読書のコツ 20のポイント
批判的読者は……
1.読んだことのすべてをそのまま信じたりはしない。
2.意味不明のところには疑問を感じる。意味が通じた場合でも疑問に感じるところを見つける。
3.何か抜けているとか、欠けているなと思ったところに出会ったら、繰り返し読み直す。
4.文章を解釈する場合には、文脈によく照らす。
5.本についての評価を下す前に、それがどんな種類の本なのかをよく考える。
6.著者が誰に向かって書いているのかを考える。
7.著者がどうしてそんなことを書こうと思ったのか、その目的が何かを考える。
8.著者がその目的を十分果たすことができたかどうかを知ろうとする。
9.書かれている内容自体に自分が影響されたのか、それとも著者の書くスタイル(文体)に強く影響を受けているのかを見分ける。
10. 議論、論争の部分を分析する。
11. 論争が含まれる場合、反対意見が著者によって完全に否定されているのかどうかを知る。
12. 根拠が薄く支持されない意見や主張がないかを見極める。
13. ありそうなこと(可能性)にもとづいて論を進めているのか、必ず起きるという保証付きの論拠(必然)にもとづいて論を進めているのかを区別する。
14. 矛盾した情報や一貫していないところがないかを見分ける。
15. 当てになりそうもない理屈にもとづく議論は割り引いて受け取る。
16. 意見や主張と事実との区別、主観的な記述と客観的な記述との区別をする。
17. 使われているデータをそのまま簡単に信じないようにする。
18. メタファー(たとえ)や、熟語や術語、口語表現、流行語・俗語などの利用のしかたに目を向け、理解につとめる。
19. 使われていることばの言外の意味について目を配り、著者が本当にいっていることと、いってはいないが、ある印象を与えていることを区別する。
20. 書いていることがらのうちに暗黙のうちに入り込んでいる前提が何かを知ろうとする。[2002:92-93]

◆調査などの統計を読む場合、その数字の根拠がどこにあるのかに目を向ける。対象者がどのような人たちであり、また、どのように選ばれたのかを気にすることで、単純な誤解は避けられる。/とくにアンケート調査の場合には、パーセントで回答率が示されることが多いので、そのパーセントを算出するための母数がどれくらいかを見ておくことが重要になる。そうした情報抜きにパーセントだけが示されているときは要注意だ。[2002:111-112]

◆批判力を身につけるためのひとつの方法は、すぐれた「論争」を読むことである。ひとつの事件やことがらをめぐって、複数の論者が論戦を戦わせる。雑誌や新聞紙上で繰り広げられる論争や、それらを集め一冊の本にしたものを材料に使うのだ。この方法の利点は、すぐれた論者たちの批判のしかたを実例をもって学べるところにある。[2002:117-118]

◆選んだ本の一段落なり、一節なり読んで、そこまでの情報をもとに、次に著者がどんな議論を展開するのかを自分で予想してみるのだ。著者のそれまでの議論を材料に、自分なりの議論を組み立ててみる。その後で、実際に著者がどのように書いているのかを確かめるという方法だ。これによって、自分の展開した議論と著者の議論とで、詰めの厳しさ、甘さを比べたり、結論が同じ方向に向かっていたかどうかを点検することができる。/さらには、著者が問題を提示したところで…どんな方法を使って著者が論証しようとするのかを予想する。どんな証拠を持ってくるか。どんな資料に当たるのか。「自分だったら」という立場に立って、こうした点を検討してみるのである。[2002:118-119]

◆書評は、本のエッセンスをとらえたうえで、まだ読んでいない人にもわかりやすく説明し、さらには読み手の問題意識に引きつけて、批判やコメントをする文章のことである。したがって書評を書くことは、その文章のエッセンスを的確にとらえ、それを明確に表現する練習となる。[2002:120]

◆問題点を探し出すことで止まってしまっては、「批判的読書」は思考力を鍛える半分までの仕事しかできません。考える力をつけるためには、もう一歩進んで、「代案を出す」ところまで行く必要があるのです。[2002:127]


論理を明確にするためのコツ
1.まず、結論を先に述べ、それから、その理由を説明するというスタイルをとる。…
2.理由が複数ある場合には、あらかじめそのことを述べておく。また、説明をいくつかの側面から行う場合にも、あらかじめそのことを述べておく。…
3.判断の根拠がどこにあるのかを明確に示す。…
4.その場合、その根拠にもとづいて、推論をしているのか…、断定的にいっているのか、わかるようにしておく。…
5.別の論点に移るときには、それを示すことばを入れておく。…
6.文と文がどのような関係にあるのかを明確に示す。…。[2002:149-151]

◆…どのような立場の違いがあるのかを明らかにしていくことが、反論を書くためのスタートラインになります。/そして、そうした立場の違いから、問題のとらえかたがどのように違ってくるのかを考えていきます。問題にしている文章の書き手や話し手のとっている前提では、どのような問題がカバーできないのか。ある前提にとらわれているために見えてこない問題は何か。いわば、立場によって拘束された見かたの限界ということを明らかにする。そして、その限界を示すことで、その前提のまちがいを論じていくのです。[2002:157-158]

◆複眼思考とは、ものごとを単純にひとつの側面から見るのではなく、その複雑さを考慮に入れて、複数の側面から見ることで、当たりまえの「常識」に飲み込まれない思考のしかたです。したがって、ひとつの問いを複数の問いに分解し、それぞれのつながりを考えていく方法を身につけることによって、私たちは複数の視点を得ることができるようになります。[2002:182]

◆…「なぜ」という問いを基点にして、新しい問いを発見していく。…ちょっと問いをずらしてみることで、最初の問題を真っ正面から見ているだけでは見えてこない側面をとらえる、もうひとつの視点、すなわち、複眼が見つかるのです。[2002:195]

◆…「なぜ」という問いを立てたら、今度は「どうなっているのか」という実態を問う問いを間にはさんでいく…。[2002:219]

◆…複眼思考を身につけるためには、概念のレベルで問題を考えていくことが重要となります。なぜなら、個別のケースの中だけで考えているかぎり、そのケースを越え出る問題の広がりには目が向かないからです。[2002:241]


■書評・紹介


■言及




*作成:箱田徹片岡稔
UP: 20101022 REV: 20101206 20120201 0202 0203
アカデミック・スキルズ  ◇身体×世界:関連書籍  ◇BOOK
TOP HOME (http://www.arsvi.com)