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『精神障害者サバイバー物語――8人の隣人・友達が教えてくれた大切なこと』

月崎 時央 20020325 中央法規出版,255p.


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■月崎 時央 20020325 『精神障害者サバイバー物語――8人の隣人・友達が教えてくれた大切なこと』,中央法規出版,255p. ISBN-10: 4805821841 ISBN-13: 978-4805821848 1890 [amazon][kinokuniya][kinokuniya][bk1]  ※ m

■説明

内容(「BOOK」データベースより)
いつでも安心してかかれる精神医療がほしい。だれでも利用できる精神保健福祉がほしい。改革に不可欠な患者=消費者の生の声を気鋭のジャーナリストが描き出したインタビュー集。「障害」と「健常」を超える未来がこの本の中にある。

内容(「MARC」データベースより)
いつでも安心してかかれる精神医療がほしい。だれでも利用できる精神保健福祉がほしい。改革に不可欠な患者=消費者の生の声を気鋭のジャーナリストが描き出したインタビュー集。「障害」と「健常」を超える未来を求めて。

■目次

早坂潔―生きることが、社会復帰。病気を語るのが、商売なんだ
宇田川健―アメリカの仲間が教えてくれたネバーギブアップの精神
有村律子―子育てがくれた豊かな力と生活感を、患者会活動に生かしたい
菊井俊行―ユーモラスに楽しく。ひと味違った人生、ボチボチもいいやんか
広田和子―生活保護のコンシューマーは、素人の“国家公務員”なの
夢村―花鳥風月 そして童子たち 日本の原風景を描き続けたい
小島康―弥勒菩薩にはなれなかったけれど、自分の道が見えたんだ
山本深雪―体験者の眼差しで、精神医療サービスの未来を見つめる

■書評・紹介・言及

◆立岩 真也 2003/01/25 「サバイバーの本の続き・3」(医療と社会ブックガイド・23),『看護教育』44-01(2003-01):48-49

■引用

◆「精神障害者がグループを形成する時の困難な点」に該当する箇所の引用

宇田川健
p48
日本だと、例えば障害者の集まりがあったとして

p49
も、そのなかに入ると、けっこう大変なんです。国民性の違いなのでしょうか。当事者のなかに入るのは向こう(アメリカ―引用者)のほうが楽ですね。日本は人間関係が濃いというか…。日本の人たちのなかに入ると、僕はどういうわけか、もてなす側になるんです。この人が寂しそうにしてるとか、あの人とまだしゃべってないとか、そういうふうになるとだんだん大変になってきて。身体障害とか、知的障害の人たちの集まりにも時々行くんですけど、精神障害の人たちといるよりは、身体障害とか、知的障害の人たちといるほうが楽だったりするんですよね。気を遣わないで済むから」
――ああ、当事者間でもそうなんだ。私は、当事者間の入り組んだ感情はよくわからないし、そこまで気を回す余裕もないので、冷たい人と思われてもいいやと、最近思っている。
「自分と相手が、同じ病気であっても、やっぱりなにか違うんですよ。うん。なんかこう、傷つきやすい人々で、その傷つきやすさも、一人ずつ違うし、その辺の奥ゆかしさ、言わない部分の傷つきやすさの見え方が、ちょっと辛い時があるんですね」
――それって個人差ではなく文化の違いなのかしら。
「うーん。そうでうね。アメリカでは、アクティブな人たちは、けっこうそうなんだけど、自分の弱点を言葉で説明してくれるので理解しやすい。例えば、ある人がいきなり泣き出すとします。日本で泣き出したとしたら、『何言ってんの。あんたなんかにわかんないわよ』みたいなことを言うでしょ。それがアメリカだったら、『だって私は、感情障害なのよ』って言って。そういうふうなことをぱっと言うように、泣いててもわかるから安心していられる」

p73
もともと慢性的な病気のある人が、自分たちだけの力で運営しているので、活動内容が健

p74
康状態に左右されることが多いのが、患者会活動の特徴でもある。

広田和子
p155
『患者会も入りたくない人』『作業所も行きたくない人』『保健所もなんか断られちゃった人』『断られなくても、本人が行きたくない人』たち。いろいろ試みても、結局だめだったような人でも、広田和子にたまたま電話して、話をすればそれでいいやという人もいる。

◆「薬の使用」に該当する箇所の抜き書き

宇田川健
p46
――病気とつきあうに当たって、服薬するかどうかは、個人の考え方によって違うということなのね。
「やっぱり欧米の『サバイバー』の人たちは薬に頼らない分、自立心が強い。自分たちが強制的な医療で傷ついた経験を大切にしているし、医療は受けずに医者から離れていく生き方を選択する人もいる。僕自身は服薬して病気をコントロールしているから、『コンシューマー』の人々とつきあっている。海外の会議とかで『サバイバー』の人たちに会うと、薬を飲んでいないこと

p47
を主張して『君たち、薬を飲むなんて、そんな危ないことやめたほうがいいよ』とかすごい」

p57
例えば『朝になると体がだるくって、気持ちが落ち込むし、夜もよく眠れない、鬱なんで抗鬱剤をくださ

p58
い』とか『今ちょっといきなりいらいらしたり、周りに向かって手が伸びていく感じです。躁になったかもしれないんで躁の薬を頓服で持たせてください』とちゃんとお医者さんにわかる言葉で、説明しています。そして薬を飲んだら、その分たくさん寝ます。だから、だからもし、薬でもっと微妙な調節ができたとしても、具合の悪い時期に、休まないでいられるわけではないと思います。海外へ行って帰ってきたら、すごい疲れるから、抗鬱剤を飲んで、家でのんびりして、外出も、自転車で行ける範囲にするなど気をつけます」

「多分、薬がね、一般的にアメリカの友達と比べても、多いんじゃないかと思う。薬を飲んでても、みんななかなか疑問に思わないで、『嫌だな』とは思っていても『なんでこんな薬を飲んでるのかを説明してください』というふうに、言わないんですね。

p59
例えば入院した時に、薬をこれまでのものと急に変えられたりするんだけど、僕の場合は『説明がないと飲めない』と言って、拒否するんですね。そうすると看護婦さんが困っちゃって『お願いだから飲んでください』と言われたりします。でもそんなことを言われても、僕怖くて飲めないですよ。最後にやっと、お医者さんが来て、『これは、こういうふうな症状のための薬です』と説明してくれるんだけど。自分のことなのに患者が薬について知ったり、拒否するのが難しすぎるのは変だと思う」

薬が多すぎるという話は取材していてもよく耳にするわ。
「友達でも『薬多いんじゃないの』って言っても、『医者が減らしてくれない』と。それで、『減らしてほしいと頼んだの』と聞いても、『別に言ってない』って言うんですよ」

「そう。薬を飲むからには、しっかり、自分の意思で飲まなくちゃいけないと思うんですよね。自分で先生にどこに効くんだからということを教わって、すごい副作用があれば『これはちょっと困る』というふうにお医者さんに言ってあげないと。自分が病気とつきあっていくんですから。ただ与えられるまま飲んで『減らしてくれない。薬が強すぎてなにもできない』と言っ

p61
てるだけじゃ。薬を選ぶのは、お医者さんと自分との共同作業でやらないと…」

実は今もね、帰国したばかりで、そういうふうに薬をたくさんもらっているんですよ。

広田和子
p131
私は睡眠薬がなくちゃ眠れないから、いつも薬で睡眠をコントロールしているんで、時差ボケなんてないのよ

p138
そして促されるまま薬局に行くと、色とりどりのたくさんんの薬を渡された。広田さんは自分の病名も薬についての説明もなかったので、薬を飲む気にはならなかった。
 次の診察の時、広田さんは「薬を飲んでも今の状態がよくなるとは思えないので、飲まなかった」と正直に告げた。

p141
 診察で睡眠が十分にとれていることを話すと、睡眠薬と安定剤だった処方は、安定剤だけになった。この時も安定剤について、医師からなんの説明もなかったので、広田さんはほんの気紛れに、たまに薬を飲んでいた。

p144
これは注射の副作用ですから、副作用止めを打ちます」と、また別の注射をされた。だが状況はますますひどくなり、一日中足踏みをして、歩き回るような状態となった。さらによだれも流れてくるようになった。通院中のバスの中でも足踏みが止まらない。これは、いわゆる向精神薬の副作用と呼ばれる、アカシジアという症状だった。

p149
「医者の判断ミスは、こちらが一生、障害を負うわけね。私の場合、その注射を打たれて、今日もずっと薬を飲み続けなくては一睡もできないんだから。その薬を飲んでるためにこれだけ口が渇いて、さっきから水をがぶがぶ飲んでるでしょ。思考障害とかいろんなことがあるわけじゃない。そういうことを医者は、一本の注射でしちゃうわけ」

夢村
p171
「看護婦さんから、薬を飲むまなあかんぞとは、言われておったんです。せやけど、病気になって入院して薬飲むのはわかるけども、退院したんだから治ったんだ。治ったんだから薬は飲む必要はないと。そういうふうに簡単に考えてたんです」
 現に、その時夢村さんは幻聴もなく、普通の状態だった。薬を飲むと、かえってだるくなり、病人みたいな感じになってくるのも不愉快だったので、さっさと薬もやめてしまった。

p173
病気を明かさずに仕事をしているために、堂々と服薬することはためらわれた。
 また、薬を飲むと手が震えて、細い線が描きにくくなるし、舌がもつれて言葉が不明瞭になるなどの不都合があり、夢村さんは、またしだいに薬を飲まなくなっていったのだ。
でもやっぱり、薬を飲んでなかったら再発しました。

p178
最初のころっていうのは、先生に対して、本当はこの薬飲んだらすごく副作用が辛いというような時でも言えなくて、飲んでいないのに『飲んでます』とウソ言うてみたりね。そういうこともあったんですけどね。今やったら、『今日は夜もよく眠れましたんで、朝の薬、こんだけ飲みませんでした』とかね。例えば、『休肝日を設けたいので、薬を飲みませんでした』と言うてみたりとか。薬以外のことでも、心おきなく、なんでも話せる関係ができましたから


*作成:松枝亜希子立命館大学大学院先端総合学術研究科
UP:20070717 REV:20081026,20090709, 0712
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