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『20世紀優生学が障害者の生存・生活・教育に及ぼした影響に関する総合的研究』

中村 満紀男 研究代表者 200203 平成11〜13年度科学研究費補助金(基盤研究(A)(1)),471p.

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last update:20170531


■中村 満紀男 研究代表者 200203 『20世紀優生学が障害者の生存・生活・教育に及ぼした影響に関する総合的研究』,平成11〜13年度科学研究費補助金(基盤研究(A)(1)),471p. ※r

■目次

はじめに 20世紀欧米先進国における優生学の普及・展開と後進国における導入……中村 満紀男

T.戦間期イギリスにおける優生断種運動の新展開……宮崎 孝治
 1.はじめに
 (1)課題と方法
 (2)1918年以前の状況――特殊教育(special education)を中心として
 2.断種法案作成・審議過程と断種事例
 (1)優生学教育協会の断種法案起草の背景
 (2)1931年断種法案に関する議会での攻防
 (3)断種の実例
 (4)断種法案と断種事例に関する考察
 3.戦間期の新聞に見る断種論の展開
 (1)断種の賛否に関連する記事
 (2)精神欠陥の結婚問題
 (3)海外事例の紹介
 (4)新聞記事内容の変遷からの考察
 4.おわりに――任意断種委員会と優生断種運動の特質
 (1)断種法制定に向けての新たな活動
 (2)ブロック委員会

U.アメリカ合衆国における優生断種の開始と定着――最も正統的な事例
 1.はじめに――アメリカ優生学運動の位置……中村 満紀男
 2.1910年代までの精神薄弱増殖防止としての断種――精神薄弱者問題の国家問題への昇格……中村 満紀男
 (1)退化発生防止策としての断種論の提起――欠陥遺伝説への傾斜と精神薄弱の位置
 (2)精神薄弱者の生殖防止論と婚姻制限
 (3)外科的生殖防止論の成立と精菅切除術の実用化
 (4)精神薄弱遺伝論の科学的確立と国家発展の障害としての精神薄弱――社会的不適の典型としての「精神薄弱」と新興諸科学の役割
 3.1920年代におけるコミュニティ生活の増加と退所促進のための断種――精神薄弱問題の社会的地位の低下
 (1)精神薄弱者の社会適応可能の判明と仮退所制度の導入――1910年代までの小コロニーの設置とコミュニティ生活の再生過程およびその背景……中村 満紀男・米田 宏樹
 (2)精神薄弱者の退所促進のための断種――1920年代までのカリフォルニア州を中心とする精神薄弱者の断種とコミュニティ生活の再生過程およびその背景……中村 満紀男・米田 宏樹
 (3)P.ポピノーの優生断種構想における対象論……曹 周希・中村 満紀男
 4.1930年代における選択断種論とその形骸化――生活維持・貧困防止の回避と近代原理
 (1)精神薄弱者施設長の選択断種論への転換とノーマルな生活論――アメリカ優生学運動における1930年代以降の新局面……中村 満紀男
 (2)断種の根拠の継続と日常化……中村 満紀男
 (3)断種と社会階層……中村 満紀男・曹 周希
 (4)任意断種論の一般的受容と精神薄弱以外の障害に対する断種論……中村 満紀男・岡 典子・佐々木 順二
 (5)精神薄弱者本人と親族の立場……中村 満紀男・曹 周希
 5.第二次世界大戦後の断種論と親としての精神薄弱者の是認……中村 満紀男
 (1)戦後におけるC.J.Gambleの保護断種論と断種実施の動向
 (2)精神薄弱者の親となる権利の承認とその実現

V.ドイツにおける優生学運動
 1.ドイツ社会事業成立期の優生学・優生思想の制度化と変貌――積極的優生学と消極的(否定的)優生学の不置を通して……岡田 英己子
 (1)序
 (2)「社会的なるもの(社会的援助)」の制度化の開始と乳幼児・母性保護授業の登場
 (3)社会事業成立期に制度化される対人援助の問題点
 (4)ナチズム期の強制断種・消極的(否定的)優生学の制度化――変貌する社会事業と職業倫理
 (5)結――優生学・優生思想の制度化におけるドイツ的特徴
 2.ドイツ優生学と障害児教育……荒川 智
 (1)ヴァイマール期までのドイツ優生学と障害児教育
 (2)補助学校廃止論と新しい補助学校像
 (3)補助学校の優生学的意義
 (4)ナチズム期優生政策と障害児教育
 (5)教育の論理・常識の維持とナチズム体制による侵蝕
 (6)おわりに

W.フランス優生思想における独自の立場……星野 常夫
 1.はじめに
 2.歴史的経緯――フランス19世紀末知的障害児教育の成立と優生学思想の受け入れられ方
 (1)知的障害児教育の源流たるフランス――D.M.ブルヌヴィル
 (2)優生学思想の受け入れられ方――フランス19世紀末ブルヌヴィルの否定的優生思想に対する見解を通して
 3.知的障害者と「優生学思想」の現在と状況
 (1)はじめに
 (2)知的障害者に対する優生的処置としての断種・不妊手術の実態
 (3)中絶と避妊に関する2001年7月4日の法律第588号について

X.北欧の優生学――国家発展の手段としての活用
 1.スウェーデンにおける「精神薄弱」問題の展開と断種法の定位……加瀬 進
 (1)はじめに
 (2)20世紀初頭における「精神薄弱」者問題の風景
 (3)ベトーレンの略歴
 (4)ベトーレンの活動概要
 (5)国立「道徳的欠陥」児施設の設立と展開
 (6)「反社会性」を示す成人「精神薄弱」者に対する国立施設設置要求とその展開
 (7)おわりに
 2.デンマークにおける「断種に関する法」――ヨーロッパ初の断種法の制定……石田 祥代
 (1)はじめに
 (2)「断種に関する法」制定までの過程
 (3)「断種および去勢に関する法」の改正
 (4)断種法の制定による実態
 (5)おわりに

Y.社会主義と優生学……渡邊 健治
 1.はじめに
 2.ソビエトにおける優生学の出現・消失の過程
 (1)ソビエトへの優生学の導入
 (2)ソビエトにおける優生学研究と断種をめぐる議論
 (3)ロシア優生学協会の消失
 3.ソビエトにおける優生学と障害児教育問題
 (1)道徳的障害理論の克服
 (2)児童学と優生学
 4.優生学研究者の生物学、医療−遺伝学等への転換
 5.まとめ

Z.中間的な地域における優生学の確立――植民地における優生学……中村 満紀男
 1.オーストラリア
 2.南アフリカ

[.日本における優生学の障害者教育・福祉分野への影響――日本の知的障害者施設経営者への優生学の影響と断種問題……平田 勝政
 
 1.はじめに
 2.愛護協会発足以前における知的障害者施設経営者への優生学の影響
 (1)石井亮一(滝乃川学園)の場合
 (2)岩崎佐一(桃花塾)の場合
 (3)川田貞治郎(藤倉学園)の場合
 (4)三田谷啓(三田谷治療教育院)の場合
 3.愛護協会と久保寺保久における優生学の影響
 (1)愛護協会設立要旨及び総会における優生学的論調
 (2)機関誌「愛護」にみられる優生学の論調
 (3)久保寺保久における優生学の影響とその「精神薄弱児」処遇観
 4.日本における「精神薄弱」者の断種問題――実態解明の手がかりを求めて
 (1)戦前における「精神薄弱」者の断種問題
 (2)戦後における「精神薄弱」者の断種問題
 5.おわりに

補章 知的障害者に対する日本人大学生の実態(英文)……渡辺勧持他

むすび.20世紀優生学の歴史的・現代的意義
 1.選択断種・任意断種の社会下層および発展途上国に対する適用――断種の復興と優生学的生殖防止論の維持をめぐる政治的環境……中村 満紀男
 2.発展途上国における優生学の現状――スリ・ランカにおける障碍者と優生学(予備的研究)……古田 弘子
 (1)はじめに
 (2)障害者教育・福祉関係者及び当事者の優生学に関連した言説
 (3)スリ・ランカの障害者と優生学の関係に関する考察
 (4)おわりに
 3.不妊手術(断種)から派生する諸問題――自己決定と親となること・重篤障害新生児……中村 満紀男
 (1)自己選択と自己決定の実現をめぐる問題
 (2)精神遅滞者が親となることの問題
 (3)障害のある胎児・重篤な障害新生児への対処問題
 4.小児人工内耳と優生思想……中野 聡子・金澤 貴之
 (1)問題の所在
 (2)本研究の目的
 (3)方法
 (4)結果
 (5)結語――人工内耳のこれから


*作成:安田 智博
UP:20170531 REV:
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