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『企業社会と会社人間』

宮坂 純一 20020310 晃洋書房,181p.


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■宮坂 純一 20020310 『企業社会と会社人間』,晃洋書房,181p. ISBN-10: 4771013373 ISBN-13: 978-4771013377 2415  [amazon]

■内容(「BOOK」データベースより)
企業忠誠心は崩壊するのか?ビジネスエシックスで読み解く会社人間の現在・過去・未来。会社が変わる、サラリーマンも変わる。会社人間に学ぶ会社との「正 しい」つきあい方。すべてのサラリーマンに贈る“会社人間の教訓”。

内容(「MARC」データベースより)
団塊の世代を、サラリーマンそして会社人間を象徴する存在として念頭に置き、会社人間という概念を明確にし、その存在意義を確認し、今後も企業で働きつづ ける人々と企業との関わり方を、特に忠誠心との関連で展望する。

■著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
宮坂 純一
1948年生まれ。現在、奈良産業大学経営学部教授。経営学博士。専攻は経営学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

■目次

第1章 日本型企業社会と会社人間
第1節 会社人間の誕生
第2節 会社人間の再生産構造
 2−1 人間類型としての会社人間
 2−2 何故,日本企業に会社人間が生まれたのか?
第3節 会社人間の再生産構造
 3−1 会社人間の功罪――競争主義的企業内人生の在り方
 3−2 会社人間再生産のメカニズムの動揺
第4節 おわりに

第2章 会社人間の動揺
第1節 会社人間と内部告発
第2節 会社人間の動揺
 2−1 会社人間の生態
 2−2 多発する内部告発――内部告発は会社人間を拒否する人々の出現を意味するのか
第3節 会社人間の動揺
 3−1 内部告発と会社に対する忠誠心の関係
 3−2 企業内人生の変容――共同態としての企業からのステイクホルダー企業への転換
第4節 おわりに

第3章 会社人間再生産構造の崩壊
第1節 はじめに
第2節 終身雇用神話の崩壊
 2−1 終身雇用とは何だったのか
 2−2 神話崩壊のあとに
第3節 年功序列的処遇から能力主義(成果主義)的処遇へ
 3−1 年功賃金から能力主義賃金(職能給)へ,そして成果主義賃金へ
  3−1−1 成果給の典型としての年俸制
  3−1−2 成果給として「衣替えした」職務給と職能給
 3−2 「グローバル・スタンダード」としてのコンピテンシー給の普及
第4節 おわりに――現在生じていることの意味

第4章 変革を余儀なくされるに至った日本型企業社会
第1節 必然性としてのステイクホルダー企業への転換
第2節 内部崩壊の後に
 2−1 アメリカ企業の賃金政策を貫いている公正原則
 2−2 日本型企業社会と「公平な」社会――トラストの再構築は可能か
第3節 企業人間は「消滅」するのか
 3−1 現実から見えてきたこと
 3−2 ビジネス・エシックスから見た企業と従業員の関係
 3−3 小括

あとがき
索引

■引用
「今後の日本型企業社会における会社人間の「増減」という点に限定すれば,彼らの動向が1つの「分岐点」になる.この点,結果的には,量的には,(ノンエ リートを含めて)「非」会社人間が増える,と推察される.
 だがその実態はかなり複雑な様相を呈することになろう.なぜならば,現実の問題として,多くのサラリーマンにとって当該会社以外に生活の糧を得る場所が ないことそしてまた他に寄るべき共同体が存在しない現状を考えると,会社に意識的であれ無意識的であれしがみつかざるをえない状況が続くことが充分に予想 されるからである.そして,そのような「根無し草」的存在になる可能性を多分に有しているサラリーマン層の間で「契約」の更新をめざして新たな競争が始ま ること(⇒競争の多層化)は充分に考えられることであり,その過程において,様々な選択(会社か仕事か,それとも私的生活を優先させるのか)を迫られるこ とであろう.とすれば,短期的展望としては,依然として,競争主義的企業内人生に,自分の本来の意図とは関係なく,「巻き込まれる」サラリーマンが多数存 在するような状況が続いていくことになりし,長期的に考えても,競争がおこなわれない企業社会はあり得ない,という理解にたてば,「企業内人生=競争主義 的企業内人生」という方程式は成立するであろう.」(p.23)

「2001年以降の事例に限定したとしても,従業員に「早期退職」を促す企業が続出している.そのなかには(食中毒,リコール隠し,等々の)企業不祥事で 業績が悪化した企業が含まれているが,大半の企業は,通常の業務の結果として経営不振に陥り,希望退職の募集に踏み切った企業である.ただしこの一連の流 れのなかで,関係者の「予想外の」ことが生じている.「希望退職者が募集を上回」ったのである.これは,中高年層のスリム化(ヨリ端的に言えば,「人減ら し」)を狙った希望退職に,(本来の目的であった中高年を「厳しい肩たたき」で追い出す予定で設定した応募枠を超えて)30歳代の中堅層が応募してきた結 果である.このような応募者の「殺到」は高額の「割り増し退職金」に惹かれたものであろう.だが人事担当者が「応募は絶対に損」と語っていることから考え ると,それは表面的な理由であり,その裏にはヨリ本質的な原因が隠れている.簡単に言えば,「不要社員の最終処理」とも言われている会社側の対応(希望退 職の募集)に「明日は我が身か」,という意識が強くなり,社員が終身雇用の「幻想」に気づき,その結果として「応募」に踏み切ったのではないだろうか.本 書の文脈で言えば,それは「企業は共同態である」という意識が若い世代になればなるほど希薄になっていることを証明する現象である.
 このような早期退職の実施は確実に失業者を増加させることになる.例えば,2001年3月に募集枠を超えて大幅な希望退職者がでたマツダでは,その後再 就職ができた元社員は7月末時点で25%程度であった.この事情は比較的職を見いだしやすいといわれてきた30−40歳でも例外ではなく,求人側と休職側 のミスマッチが大きく再雇用が厳しい状況下にあることが改めて浮き彫りになっている.(…)」(p.65)


UP:20071010
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